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【メディア実績】「ブルガリア・キャピタル・ウィークリー」紙にギュロヴァ記者による小室淑恵インタビューが掲載されました!

更新日:2020年12月24日

【メディア実績】「ブルガリア・キャピタル・ウィークリー」紙にギュロヴァ記者による小室淑恵インタビューが掲載されました!

「ブルガリア・キャピタル」はブルガリアで週刊紙及びオンライン・ニュースを発行しているメディアです。ウィークリー誌で日本社会や働き方について特集され、小室淑恵がインタビューされました。

紙面、および和訳文を掲載いたします。
ブルガリアで日本社会は、日本の働き方やその未来は、どのように取り上げられたのか。
是非ご覧ください!


1 「安倍総理の遺産~女性が輝かなくてはならない社会~」

(1)アベノミクスは、その生みの親が政権から退いた後も長く生き続ける政治ブランドである。安倍総理は、2012年に二度目の総理大臣就任を果たした際、世界第3の経済大国を不況という長い昏睡状態と慢性的なデフレの状態から目覚めさせるため、ショック療法を行うと宣言した。アベノミクスとして有名になったその計画は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という3本の“矢”から成る。

(2)安倍総理は、第3の矢の一環として、「女性が輝く社会」の創設を約束した。ウィメノミクスと名付けられたこのイニシアティブは、経済への女性の参画を謳ったものだ。日本経済において、その潜在性が最も活用されていないのは女性であるというのがそのロジックである。また、ゴールドマン・サックスの調査によれば、女性の所得と雇用状況を男性並に引き上げることで、GDPの15%成長を達成出来るという。

(3)今年8月末、日本史上最長の任期を誇った安倍総理が、健康上の理由により突然辞任を表明した際、日本国中がその後継者選びに注目した。しかし、誰が後継者になろうとも、安倍総理の路線が引き継がれることは確かであろう。

(4)賞賛と批判を同時に受けてきたアベノミクスである
が、今の日本にその代替選択肢は存在しない。また、その成功も失敗も、他の国にとってはいずれも興味深いデータを提供する。他の先進諸国も、高齢化、低い経済成長率、巨大な債務、低金利にも関わらず改善しないデフレ等の症状を含む日本病を、同じく罹ってしまったようである。そしてこれは、COVID19が始まる前の話である。

2 終身雇用とストレスの多い生活

(1)富める国の中で日本は、高齢化社会、労働力不足、高額な債務、低出生率という様々なネガティブな統計上のトップを走っている。この国では、ペットの数が15歳以下の子供の数を上回っている。昨年誕生した新生児の数は、1899年以降の観測史上最低の数字となった。2055年までに労働力は40%減ずるとの予測もある。

(2)コンサルタント会社「ワーク・ライフ・バランス」の創設者であり代表取締役社長を務める小室淑恵氏は、これらの人口と経済の問題全てに対するレシピを提案する。それは、殺人的とも言える長時間労働という日本文化にピリオドを打つことである。「私は1900社以上の企業に対し、如何にして残業を無くすかについて相談にのってきました。業務時間を減らしても企業の業績が落ち込むことはなく、むしろ逆の効果があることが分かっています。日本は、月に80時間以上の残業をしている人口が最も大きい国です。しかしその生産性は先進国の中で最も低い国の一つです。それは、人々が疲れ果て、プライベートの時間を持つ余裕がなく、肝心の仕事で新しいアイディアを提案することが出来ないからです。まさに悪循環です」と小室社長は言う。

(3)某総合商社のような大企業に対し、如何に企業文化を変え、従業員がより優れたワーク・ライフ・バランスを得ることが出来るかの相談にのる他、小室社長は政府が主導する多種の委員会のメンバーも務めている。小室社長によれば、ここ数年、日本は安倍総理の下、女性の参画に係る政策に関して歴史的変革を遂げたという。その一例が、月当たりの残業時間数の上限の設定である。これにより男性が家族と過ごす時間が増え、子供や高齢の両親の世話に当てる時間の確保が促される。ある調査結果は、男性の配偶者が家事に取り組むことで、女性は第二子を生むインセンティブが高まるとの結果を示している。その他の重要なステップとして、幼稚園・保育園の開園時間の延長とその数の拡大がある。

(4)「政府は、これは緊急に実現しなくてはならない事項であり、無駄にする時間はもはや残っていないことを認識したのです。それが叶わない場合には、労働力は急激に減少し、国家財政は崩壊します。他方で、企業からは大きな反発があり、彼らは最大の抵抗者となっています。それは、彼らが短期的視野でしか物事を見られていないからです。これら改革の速度が遅いのは、そのためです」と小室社長は述べる。

(5)深く根ざした文化的ステレオタイプと衝突する時、最も斬新的な政策でさえその威力は減じられる。法律上は、女性と同様に男性にも育児休業の権利があるが、該当する男性の6%しか同制度を活用していないのが現実である。育児休業を終えて仕事に戻った時の周りからの圧力がその理由である。小室社長は、「とある企業で、ある男性が勇気を出して2週間の育児休業を取得しました。彼が職場に復帰したとき、彼は窓のない暗い部屋での業務に配置換えされていました」と語る。

 しかし、希望の光も見える。5月、日本銀行は138年の同行史上初めて女性を理事に任命した。また、昨年小泉進次郎環境大臣は育児休業を取得し、批判に対して、硬直的で古典的な考えであると返した。

3 変革か将来を失うか

(1)問題はあるが、結果は出ている。安倍総理の任期中、労働年齢層にある女性の就業率は73.6%から78%近くまで向上した。これは2百万人以上の女性が労働市場に参入したことを意味する。
 問題は、女性の就業が量的には向上したが、質の上では必ずしも改善されていないということにある。女性の多くが仕事に関して、男性が享受しているような保障を得られていない。約半数がパートタイムまたは期間限定契約の就業形態を取っている。この事実は、働く女性がより脆弱な環境に置かれ、コロナ禍による衝撃の大部分を被ることが明らかとなった今、より強く実感されている。最も厳格な感染予防対策がとられた4月、まさにこの「非正規雇用」の状態にある人々が最大の被害者となったが、解雇された97万人中71万人が女性であった。

(2)アベノミクスから引き出される最大の教訓は、いずれの国も、紙幣増刷や予算措置による生産性向上や競争力強化で人口問題を補うことは出来ないということである。
 中央銀行による政策や財政的刺激はある程度の威力を発揮するが、しかしそれ以降は、経済構造を改造する改革のみが、問題を解決出来るのである。安倍総理の後継者は、ウィメノミクスを通じて、安倍総理が達成出来なかったことを成し遂げなくてはならない。小室社長の言葉を借りれば、「ワーク・ライフ・バランスは、日本経済の将来を左右する」からである。(了)

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