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社会を変えるイベントレポート

働き方改革、DE&I の最新トレンドを共有!2023 年 12 月経営者様交流会

更新日:2024年05月10日

事例1

ご参加企業一覧

  • ANAホールディングス株式会社
  • アイシン・ソフトウェア株式会社
  • アメリカンホーム医療・損害保険株式会社
  • 一般社団法人日本橋梁建設協会
  • サイボウズ株式会社
  • さくらインターネット株式会社
  • ダイハツ九州株式会社
  • タイムズサービス株式会社
  • パシフィックコンサルタンツ株式会社
  • ヤマトホールディングス株式会社
  • 株式会社D2C
  • 株式会社LITALICO
  • 株式会社アイシン
  • 株式会社アドウェイズ
  • 株式会社オーテック
  • 株式会社サカタ製作所
  • 株式会社じょうてつ
  • 株式会社ネクストフィールド
  • 株式会社バンダイ
  • 株式会社ビッグベル
  • 株式会社フォトクリエイト
  • 株式会社ベアレン醸造所
  • 株式会社みずほフィナンシャルグループ
  • 株式会社リクルート
  • 株式会社守谷商会
  • 株式会社昭和コーポレーション
  • 株式会社大本組
  • 株式会社日立産機システム
  • 株式会社日立製作所
  • 株式会社テレビ新潟放送網
  • 丸紅株式会社
  • 研冷工業株式会社
  • 国立大学法人新潟大学
  • 三井住友信託銀行株式会社
  • 三菱地所プロパティマネジメント株式会社
  • 三菱電機冷熱プラント株式会社
  • 山崎醸造株式会社
  • 新菱冷熱工業株式会社
  • 大高電気株式会社
  • 大塚倉庫株式会社
  • 長崎大学
  • 東亜建設工業株式会社
  • 東京ガス株式会社
  • 東京商工会議所
  • 日揮グローバル株式会社
  • 日本マクドナルドホールディングス株式会社
  • 日本マクドナルド株式会社
  • 日本電信電話株式会社
  • 豊田鉄工株式会社
  • 明治安田生命保険相互会社

2023年12月11日、経営者交流会をオンラインで開催しました。社会を変革する志を共にする多数の経営者の皆様にご参加いただき、働き方の最新トレンドを共有するとともに、ゲストスピーカーによる取組み事例の発表が行われました。その内容をレポートします。

1 働き方最新トレンドの解説

株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長 小室淑恵

主な内容

  • 日本と他国の少子化対策の違い
  • 女性が働くと少子化になる?
  • 先進国が少子化になる理由は“片働き”
  • 日本と他国の労働法の比較
  • 少子化を解決したフランスの仕組み
  • DEIがなぜ重要なのか
  • 睡眠に関する最新データと勤務間インターバルの進捗
  • リモートワークをしながら生産性を上げることが重要
  • 各種宣言に企業が続々と参加!
  • 多くの企業でステージアップが実現!

事例2

◎豊田通商株式会社 加留部前会長(現トヨタ自動車アドバイザー)からのメッセージ

豊田通商はトヨタグループ唯一の商社ですが、自動車関係に限らず、再生可能エネルギーや電子部品など新しい分野にも果敢に挑戦しており、特にこの20年でM&Aを通じて変貌を遂げ、純益は35倍の2,800億円に、時価総額は25倍の3兆円へと大きく成長しました。
一方で、M&Aにより多種多様な人材が揃ったためにアンバランスな面も顕在化したので大きな変化の必要性を感じておりました。2011年に社長に就任した私は、2014-2017年の4年間、小室社長率いるワーク・ライフバランス社にリードしていただきながら、社員中心に働き方改革を進めることにしました。
徐々にコンサルタントから「自立」することを視野に進め、毎年ワーク・ライバランスコンサルタント養成講座の受講も進め、社内に伝道師が育ったのを見極めた上で、2018年に「イキワク活動」として自走をはじめ現在に至りました。この間、残業時間短縮、有給休暇取得率向上、男性育休取得率向上などの実績を上げながら、業績的にも毎年最高益更新や時価総額更新を継続できているのはありがたい限りです。

この活動から学んだことは(1)トップのコミットメント、(2)社員の自主性尊重、(3)(社員に伝える必要性はないが)出口戦略ありきで逆算した大日程表の管理、の3点です。豊通で、これからも『多種多様な人材が、健康かつ有意義に毎日の仕事と生活をエンジョイしてもらえれば』と願っています。

豊田通商様でのコンサルティング成果

豊田通商様では、4〜5のトライアルチームからスタートして、翌年は社内コンサルタントを養成しながら、弊社がコンサルするチームと自走チームを作り、翌々年はさらに社内コンサルタントを作り、自走チームを増やし……という形で、4年間で自立されました。同じ時間でできる業務量を3倍にし、残業時間を50%削減し、労働時間を過去最低にして、有給取得率を過去最高にしたという大きな変化を実現されています。

◎株式会社オンワードホールディングス 保元代表取締役社長からのメッセージ>

働き方改革に取り組もうと決意したのは、自社の働き方が世の中の変化に対応しきれていないと感じていた2018年のことです。当時の私が思っていた理想の働き方について、理論的・情熱的に語る小室さんの講演に「まさにこれだ」と驚いたことを今も覚えています。すぐに小室さんの『働き方改革』という赤い本を購入しました。同じ講演会に参加した管理職が「ハンマーで頭をたたかれたような衝撃だった」と言っていたのも印象的でした。

過去の成功体験や、「この働き方が当たり前」という意識から脱却するのが難しく、ワーク・ライフバランス社にコンサルティングに入っていただくことにしました。「働き方デザイン」プロジェクトを立ち上げ、5年間伴走いただいています。経営者から率先して変わるべきとのことで、私も17日間連続のテレワークの実行したところ、デジタル技術をうまく活用すれば、働く場所を問わず、また限られた時間であっても質の高い仕事ができると実感でき、テレワーク徹底活用の素早い判断ができました。

また、グループ会社も含めた全役員に、ワーク・ライフバランス社の「心理的安全性研修」を実施したことは大きな転機になりました。私も毎回その研修に参加し、他の役員とひざを突き合わせて議論し、学びあっています。心理的安全性やコミュニケーションスキルについて経営者が学んだからこそ、カエル会議で若手社員と本音でディスカッションでき、それを経営の意思決定に反映させることができました。
そのおかげで、全社の月間平均残業時間が10時間減少して月間8時間になりました。1日約25分です、利益率は15%伸び、生産性の高い働き方を手に入れることができました。

働き方改革に徹底して向き合ったことで、かつてからの課題であった女性活躍推進が大きく進み始めたことは驚きでした。全社的な働き方が変化したことで、管理職になりたいという意欲を女性側からも強く持ってもらえるようになりました。評価する側の役員の考え方も、短時間で高い成果を上げてくれる女性の働き方こそが優秀なのだと歓迎するようになったことは大きな変化です。

2030年女性役員比率3割達成の具体的な目標を社内で合意することができ、女性部長を役員に育成していくプログラムが始まっています。ダイアログ・セッションという名前で、これから経営に携わっていく当事者の女性達と私自身が対話をしていくもので、ワーク・ライフバランス社の大塚さんが女性部長からも、私からも本音を引き出してくださるファシリテーションで、少し言いにくい話や遠慮してしまう本質的なテーマにも果敢に切り込むことができています。

また、広報もサポートしていただき、働き方の変革がブランディングにもつながっていることを実感しています。

ファッション企業である当社の社員は、生活者としての等身大の感覚を忘れずにいることが大変重要です。そのためにも、ワーク・ライフバランスをあるべき形に保つ努力を続けていってほしいと考えているため、引き続き、働き方改革、ダイバーシティ推進施策を経営課題として取り組んでまいります。

2 ゲスト登壇者様より取り組み事例のご発表

(1)〈みずほ〉の働き方改革に向けた取り組み
株式会社みずほフィナンシャルグループ 執行役 グループCPO兼グループCCuO 秋田夏実様

■担当コンサルタント・川本孝宜のコメント

お話を聞きながら、私も共有会の盛り上がりを思い出しました。当初、共有会への役員の参加について事務局の皆様にご相談をさせていただいたときは、「役員に参加してもらう意味がわからない」「忙しい役員の2時間の時間を取ることは難しい」というお話があり、粘り強く交渉したことを覚えています。

おそらく役員というポジションが雲の上にありすぎるため、役員におけるこの取り組みの優先度を高めることが非常に大変だったのではないかと思います。

そのような中、実際に役員の皆様が共有会に出てくださり、「アドバイスをもらえたり一緒に考えてもらえたりしたのはとても良かった」「共有会の熱量がものすごく高かった」とメンバーの皆様が口を揃えておっしゃっていたのが印象的でした。これが、みずほの組織の中で、心理的安全性を皆さんが体感した瞬間だったのではと感じています。

これは他の組織にも活用していただきたいポイントだと思います。今の秋田様のご説明も活用しながら、今日参加されている企業の中でも一緒に変化を起こしていきたいと思います。

(2)テレビ新潟の「Happyワークチャレンジ!」

株式会社テレビ新潟放送網 代表取締役社長 正力源一郎様 ◎放送局が直面している変化

以前のテレビ新潟は、皆仕事が大好きで、ずっと会社にとどまって仕事をするのが当たり前でした。残業が非常に多く、仕事も属人化する傾向がありました。テレビ業界は、タイムマネージメントがとても苦手な業界です。放送自体は時間が決まっていて、最終的な締め切りはありますが、それまでの時間配分については「とにかく時間をかければかけただけ、いいものができる」という昔からの考え方のもとで仕事をしてきました。

事例3

◎「Happyワークチャレンジ!」をスタート

自由な発想で、新しいコンテンツ・新しいビジネスを生み出していくにあたっては、働く人が幸せでなければなりません。社内で試行錯誤していたところ、小室さんに出会いました。

事例4

そして「Happyワークチャレンジ!」という社内キャンペーンをスタートさせました。自分たちの中で今までやってきた仕事を見直し、未来に向けて、どう取り組んでいくのかを考えていく試みです。

1年目の2021年は番組を制作するセクションと営業セクションのコンサルティングからスタートし、一方ですべての部署でカエル会議を実施しました。また、管理職に対して新しい働き方を考える研修も実施しました。

◎率直な意見をもとに業務を改善

具体的な取り組みとしては、番組の制作部門は「物が多い、備品がどこにあるかわからない」という課題をもとに、断捨離で物を探す時間を削減しました。まずは足元の問題に向き合い、快適な職場環境実現のために取り組んだというものです。

事例5

番組作りに関しても、効率のよいコンテンツ制作にチャレンジしました。放送の中でリモート出演を活用したり、作業時間の長いVTRコーナーを見直し、生放送に切り替えたりするようなことを行いました。

従業員アンケートから出た、「部長が残業しているから帰りにくい」という意見から制作部長が帰る時間を意識するなど、会社に残る時間を減らす工夫をしました。

営業部門では、営業スキルの属人化を解決すべく、企画書のフォーマット化や勉強会を実施し、お互いに意見を出しながら積極的にカバーできる環境づくりに務めました。

その結果、「会社全体で新しいことにチャレンジしようする雰囲気がある」という社員の満足度が45%向上、「自己研鑽や人脈づくりに時間がとれている」は12%、「自分のやりたい仕事ができている」は10%向上しました。

◎残業時間の削減にもつながった

続く2年目は、1年目の改革をさらに加速させるため、「中堅社員リーダーの研修」を集中的に行いました。現場のリーダーが、働き方改革を「自分事」としてとらえることが重要であると考えて行ったものです。また、役員のワークショップ、営業管理部門などへのチームコンサルティング、全部署でのカエル会議、管理職研修も実施しています。

もともと時間外労働の削減を目的としたわけではありませんが、結果的に2年目を終えた2022年度は、法定時間外労働が年度平均で減少しています。また、年次有給休暇の取得率も向上しています。

事例6

◎自分事として自走できるように取り組みを拡大

2年目を終えて、確かに社員の皆さんの満足度は高いものの、古い成功体験がある人たちは、なかなかマインドチェンジしきれない悩みがあり、部署によって進捗に差が出てくることがありました。また、カエル会議に思うような時間が割けない、自分事にならずにやらされ感が出ている、といった課題も見えてきました。

そこで、3年目を迎えた「Happyワークチャレンジ!」では、自分事として自走できることを目標に取り組んでいます。具体的には、新役員を対象に役員ワークショップを実施したほか、部長、局長といったポジションの人たちの会議を強化したり、改革をグループ会社に拡大したりする取り組みを進めているところです。先日も、グループ会社を巻き込んでワークショップを実施したところ、「私たちにもこういう取り組みができます!」という声が上がるなど、拡大して良かったと実感しています。

また、管理職も、ライン管理職、専門管理職などの階層に分けての研修を実施しており、チームコンサルは報道セクションにも拡大しています。カエル会議は引き続き実施しています。

◎「TeNYは新潟を幸せにしているか?」

私たちテレビ新潟は「TeNYは新潟を幸せにしているか?」というグループパーパスを2023年4月に導入しました。新潟の放送局として、新潟県を幸せにするのが一番の目標であり、そのために様々な情報を提供し、様々な取り組みにチャレンジしていかなければならないと考えています。

これからも正確な情報、価値ある情報を伝えながら、地域課題の解決に取り組みたいと思います。働き方を変えて、自分たちも幸せになり、新潟の人たちも幸せにして、関連する県外の方々、日本全国の方々にも幸せを届けるような、ワクワクさせる総合コンテンツ企業を目指す。その脱皮を図っている中で、現在進行形のお話をさせていただきました。

■担当コンサルタント・松尾羽衣子のコメント

正力社長に初めてお会いしたとき、「Happyワークチャレンジ!」を続けることに対してどのようにお思いか尋ねたところ、「当たり前のことですよね」とおっしゃったのが大変印象的でした。現業が忙しい中で、「こういうことは、わかるけれども、どうなの?」とおっしゃる経営者の方もまだ一部いらっしゃいます。正力社長が「当たり前だよね。何か疑問を呈することがあるのだろうか」とおっしゃっているのを見て、「この方は本当にトップとして素晴らしい方だな」と思ったのを覚えています。今、ご一緒して3年目ですが、社員が幸せに働いて、より良い仕事をすることでイノベーションを起こし、テレビ業界を盛り上げていきながら業績を上げるという最終目的に向けてブレずに進められています。

特にTeNYさんは、自社で進めるところと外部のワーク・ライフバランスの支援を受けるところを、とても丁寧に設計されています。事務局の皆さんからもこまめに相談をいただきますし、正力社長をはじめ、皆様が会社の中のことを丁寧に教えてくださいますので、「だったら、この部分は私たちがお手伝いできそうです」「この部分は、皆様でやってみましょうか」とお話しながら伴走しています。

3年目で取り組みも進化されている中で、サポート内容を最初からきっちり決めてしまうのではなく、いったん始めた上で、後半は状況を見ながらサポートに入るところを考えたり研修を実施したりと、今も常日頃話し合いをしながら組み立てをしています。他社様もTeNYさんのように、「こういうことやってみたいんだけど、どうかな?」「今の状況はこうなんだけど、どうかな?」と言っていただけると、私たちの上手な活用方法につながると思います。

正力社長はじめ、これからもTeNYの皆様とご一緒できるのが大変楽しみです。

 

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