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学生の就活の優先条件
2019年11月28日
近年の就活市場は空前の「売り手市場」。
大卒生の有効求人倍率は年々増加傾向にあり、2019年春にはついに1.8倍を越えました。
不足する労働力の奪い合いは激化の一途をたどっており、人手不足はどの企業にとっても死活問題だと言えるでしょう。
とりわけ大企業の人気に押されがちな中小企業において、求人状況は厳しさを増しており、その格差は広がるばかり。人材不足を原因とした倒産・廃業が起こるなど、採用難はより深刻化しています。
そこで今回は、現代の学生が就職の優先条件として挙げる項目をご紹介。
学生が職場に求める要件から、採用難を乗り切るカギを考えてみましょう。
2020年卒マイナビ大学生就職意識調査では、学生が企業選択する際のポイントとして、以下のような回答が得られました。
「安定している会社」「勤務制度、住宅など福利厚生の良い会社」「休日、休暇の多い会社」などの項目にみられるように、現代の若者は、企業の安定性や働きやすさを重視していることが読み取れます。
また働き方改革が叫ばれ始めた数年前と比較すると、
特に「休日、休暇の多い会社」の項目におけるポイント増加が著しく、
若者たちのワーク・ライフバランスへの意識の高まりが見て取れます。
さらに若者とワーク・ライフバランスに関して、以下のようなデータも得られています。
上記は、育休取得に関する意識調査(生産本部調べ)。
男性新入社員の約8割が「育児休業を取得したい」と回答しました。
女性の福利厚生の整備のみならず、男女共に働きやすい職場環境が求められていることがわかりますね。
人材不足の現代においては、若者のニーズに沿った職場環境の整備が急務。
つまり働き方の魅力を高めることは、採用を行う上で非常に有効な戦略なのです。
現状、多くの企業がこの事実に気が付き、動き始めています。
今年4月には「働き方改革関連法案」も施行され、働き方を見直す動きは今後さらに加速していくでしょう。
出遅れることなく、”今”働き方改革に取り組めるかが、会社の今後を大きく左右すると言っても過言ではありません。
これまで「女性のもの」「福利厚生」と捉えられてきた働き方改革。
しかしその実は、働き方改革=採用戦略、ひいては経営戦略なのです。
解説:佐々木希海
出典:「2020年卒マイナビ大学生就職意識調査」「2015卒マイナビ大学生就職意識調査」
公益財団法人 日本生産性本部「育休取得に関する意識調査」