Case Study

社会を変えるイベントレポート

男性育休が当たり前になる世の中へ。長崎大学にて「父親学級」を開催!

数年前まで男性の育休取得率はわずか数%。男性が育休を取得することは「珍しい」ケースでした。しかし、2021年6月、育児休業法が改正。「企業・組織側から本人に育児休業取得を打診すること」が義務付けられることになり、男性の育休取得を取り巻く状況は、今後大きく様変わりすることが予想されます。
20代を中心に「子供が生まれたら育休を取りたい」と思う男性も増えている中、育休を取得したいという従業員へ、組織としてどんなかたちで後押しができるだろうか。
そのひとつの答えとして、長崎大学様と当社とでオープン型の父親学級を開催しました。第1回は80名以上の方にお申込みいただきました。

私たちが目指す、新しい父親学級の在り方

育児休業を取得した男性の割合は、2019年は7.48%、2020年は12.65%。1年間で5%以上取得率が上がったものの、取得日数については半数が1週間以内にとどまっており、女性の8割以上が取得していることと比べると、高い水準とは言えません。

一方で、男性の育休取得に対する意見を聞くと、87.1%が「男性の育休取得に賛成」(2019年比+5.1ポイント)という調査結果があるなど、図らずもコロナ禍で家族との時間が増え、社会全体で「家族との時間を大切にしたい」というムードの高まりも感じるようになりました。

まだまだ男性の育児休業についての経験談やケーススタディが多くはない中、男性が出産・育児についての情報を得る場所のひとつとして父親学級があります。

<父親学級>と聞いてまず思い浮かべるのは、病院や自治体が提供する父親学級ではないでしょうか。
それらの多くは妊娠期や出産に関する内容を主としており、無事に出産するまでのサポート指導と、出産直後の母親・赤ちゃんのケアに関する知識の習得に重点を置いています。

一方で、私たちワーク・ライフバランス社が推進している”企業主導型父親学級”とは、企業が、自社の従業員に向けて開催するもの。産前産後に必要な知識や妻と共に乗り切るためのヒントの他、育休期間の過ごし方や工夫、男性育休パイオニア世代であるパパたちのモヤモヤを解消するための知識など、出産をゴールと捉えるのではなく、出産後に長く続く子育てと仕事の両立生活、夫婦でキャリアを作っていくための実践的な内容をお伝えしています。

さらに開催企業内だけでなく地域や取引先も参加を可能とすることにより、社会貢献やブランディング、社内の男性育休取得推進を同時に目指します。

長崎大学とワーク・ライフバランス社が組んだワケ

長崎大学は、学内でさらにダイバーシティ推進をしていきたいという目標だけではなく、地域の人口減への課題感や、附属病院に産婦人科があるからこそ直面していた「産前産後にまつわる問題は女性だけのものではない」という想いを抱えていました。

また当社としても、産後の女性の死因の1位は自殺であり、産後うつのピークと言われる産後2週間から一か月間に男性が育児休業を取得することが、妻、そして子の命を救うことにもなりうるということを広く届けたいという思いがありました。

そこで今回、長崎大学とワーク・ライフバランス社がタッグを組んで、オンラインにて父親学級の開催を決定。大学内の職員だけではなく、全国の「これからパパになりたい人/なる予定の人」へも無料開放し、仕事と育児の両立について考えていただく機会としました。

講師は当社コンサルタントの松久晃士大畑愼護が務めました。

産前産後は、人生が飛躍するチャンス!

まずは、「産前産後こそ父親の出番」である4つのポイントについて、様々なデータをもとに解説しました。

男性が育休を取得すべき理由は、女性の産後うつを防ぐため、だけではありません。男性が育休を皮切りにその後も育児に主体的に関わることで、長い目で見ると家庭生活や仕事面で様々なメリットがあります。

今や日本では3組に1組は離婚していると言われており、中でも熟年離婚率は上昇し続けているというデータがあります。子供が生まれたタイミングで誰もそんな未来など望んでいないでしょうが、これからもパートナーと共に幸せな人生を歩んでいくためには、実は、子供が乳幼児期の間に夫が家族とどう関わったかが重要なカギ。
年上の上司が「子どもが産まれてからかあちゃんが怖くなって」と冗談交じりに話すことがあるかもしれませんが、産前産後で女性がそれまでと変わってしまったかのように男性の目に映るのには深い理由があり、笑い話にするにはちょっと危険な状態だったりするのです。

さらに、ホワイトボードに図を描きながら説明をしたのは育休を取ると、「実は仕事ができるようになる」という観点。 よりよい仕事をしていくために、「仕事を高める・深める」に加えて、「広げる」ことが重要であるロジックを説明をしたうえで、松久が「私は落語を聴きに行ったりするんです」とお伝えしたところ「なるほど!納得しました!」という声がチャットに寄せられました。

育休取得の様々なかたち

第二部では、累計育休取得期間が10か月の松久と、16か月の大畑が、育休期間にどのように過ごし、どんなことを感じたか、どんな気づきを得たのかをお伝えしました。  ひとくちに男性育休といっても、夫婦の価値観や家庭の状況によってそこで得られる経験は様々です。

松久は、誰もが気になる育休中のリアルなお金事情をシェアし、大畑は「自分の育休は後悔の連続だった」ことを赤裸々に語るなど、全く違う育休期間を過ごした二人の体験も、これがすべてではなく一つの参考事例として受け取ってもらい、育休を楽しむヒントにしてもらえたらとの想いから共有しました。ただ、どちらも共通していたのは「育休期間を通して夫婦の話し合いの機会ができ、これからの人生を築いていく土台が固まった」ということ。家族というチーム力をより高めるきっかけになったことを参加者の方々に受け取ってもらえたのではないかと思います。

最後はみなさまからチャットで寄せられた質問にお答えして、あっという間の60分が終了。

セミナー中もチャットでは質問が飛び交い、それに講師もその場で答え、その回答が他の方の参考になるなど、全体を通して参加者のみなさまと一緒に作りあげるセミナーとなりました。

2022年春には法改正。準備はできてる?

いよいよ、2022年の春には育児介護休業法が改正され、妊娠・出産の申出をした労働者に個別の周知・意向確認を義務づけたり 労働者の数が1,000人を超える事業主は男性の育休取得率公表が義務付けられるなど男性育休を取り巻く環境は大きく変わります。

法改正に向けて、自社組織内の準備は万端でしょうか?男性が育休を取得しやすい職場環境になるには、制度を整えるだけではなく、職場全体の働き方改革を推進することがとても重要でもあります。

▼当社では男性の育休取得率向上のために企業がとるべきアクションを法改正のポイントを含む詳しい資料「男性育休サポート10」としてまとめております!ぜひ参考にしてみてください!

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