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男性の育児休業に関する正しい労務知識(前編)
– どのような制度かを正しく知ろう –

2019年6月7日

男性の育児休業取得率が伸び悩む要因のひとつに「家計への影響の懸念」があります。しかし「家計への悪影響」とはほとんどのケースで誤解であり、6カ月間までの育児休業取得であれば家計にほとんどマイナスの影響を与えません。(6カ月を超える育児休業期間中は給付金の支給率が50%となるため)実際に筆者は7カ月間の育児休業を取得しその影響がほとんどないことを確認・実感しました。そのうえでこの「誤解」の背景には、労務知識・情報の不足があると考えています。そこで前編と後編に分けて、男性の育児休業取得に関する正しい情報を整理してご紹介します。

前編:どのような制度かを正しく知ろう
後編:家計への影響を試算しよう


まず、男性従業員の育児休業取得について、あなたは以下の項目について知っているでしょうか。
10項 目のうち何項目を知っているか、チェックしてみてください。

男性の育児休業に関する理解度チェック

  • 1.雇用者の男性が育児休業を取得することは、法律で認められている
  • 2.育児休業制度は男女間に差がなく、全く平等の制度となっている
  • 3.育児休業取得中は給付金が雇用保険を財源とし国から支給される
  • 4.最初の半年間の給付金の支給率は67%(取得前の賃金を元に算出)である
  • 5.給付金は休業前半年間の賃金を元に算出される
  • 6.賃金には各種手当(残業代、役職手当、通勤費等)が含まれる
  • 7.育児休業期間中は社会保険(健康保険・厚生年金)の納付が免除される
  • 8.給付金は課税される所得とならず、所得税・住民税(翌年)が非課税である
  • 9.住民税額は前年の所得をベースに算出される
  • 10.(8.9.によって)育児休業を取得した翌年の住民税が安くなる

これは(特に男性の)育児休業の取得を検討する際に、基本となる最低限の知識です。そのため「すべて知っている」という方も多くいらっしゃることでしょう。しかし同時に「全く知らなかった」「会社によって制度がある、ないという領域の話だと思っていた」という感想の方もいらっしゃいます。例えば筆者は数多くの種類の研修講師を務めていますが、一般企業に勤める20代向けに研修を提供した際、2点目や3点目で「えー?」という驚きの声が会場内に響いたことがあります。(彼らのほとんどが育児休業を取得したいと考えています。※男性の場合本人が取得したい、女性の場合パートナーに取得してほしいと考えています)

さらに、すべての項目について「知っている」と思われた方も、まだ誤解をしている可能性があるのです。その誤解とは「給付金は休業前の賃金の67%。つまり収入(可処分所得)は2/3になる」というものです。「2/3では暮らしていけない」という誤解があるのです。

繰り返しになりますが、6カ月間までの育児休業取得であれば家計にほとんどマイナスの影響を与えません。その理由を【後編】でご紹介しましょう。会計事務所の協力のもと、一般的な所得モデルで家計への影響を試算しています。

後編:家計への影響を試算しようを読む >>

解説:松久晃士