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最高の成果を挙げるチームの条件
~心理的安全性 後編~

2019年6月13日

時間内にタスクを遂行し残業を減らすために、生産性向上は必須の課題です。チームの生産性向上に頭を悩ませるマネージャーも多いのではないでしょうか。
前編では「最高の成果を挙げるチームの条件」と題し、チームの生産性を上げる最大因子である「心理的安全性」を紹介しました。
後編では、心理的安全性向上のための具体的な方法を見ていきましょう。

「最高の成果を挙げるチームの条件 ~心理的安全性 前編〜」はこちら >>


個人

「チームの心理的安全性」という概念を最初に提唱したエイミー エドモンソン氏は、TEDx Talks でのスピーチの中で、チームの心理的安全性向上のために個人にできる取り組みとして、次の 3 点を挙げています。

  • 仕事を実行の機会ではなく学習の機会と捉える。
  • 自分が間違うということを認める。
  • 好奇心を形にし、積極的に質問する。
マネジメント

Googleは、心理的安全性向上のためにマネ―ジャーができる取り組みとして、以下の5点を挙げています。

マネージャーの取り組みを見ると、個人の取り組みに対して、コミュニケーション改善に関わる項目が多くなっていることがわかります。では実際に上記の要件を満たし、コミュニケーションを改善するために、マネージャーが行うべき施策は何でしょうか。Googleでは、部下とコミュニケーションを取り、心理的安全性を上げるための取り組みのひとつとして、1on1を挙げています。

1on1

1on1とは、マネージャーがメンバーと一対一で個人面談をし、コーチングを行うことです。Googleでは、週に1回1時間、必ず1on1の時間が設けられており、効果的な1on1のできないマネージャーは、チームの成果が上がっても評価されない仕組みになっています。

では、効果的な1on1を行うために注意すべきことは何でしょうか?

ここで重要なのは、1on1を「マネージャーの時間」ではなく、「メンバーの時間」と捉えることです。つまり、1on1を「タスク管理の打ち合わせ時間」ではなく、「メンバーの話したいことを話す時間」と置くのです。もちろん、主な話題は仕事についてになりますが、それに加えて、プライベートな話も相談してもらえることを目指しましょう。

プライベートに問題があると、心理的なリソースがそちらに割かれ、パフォーマンスが落ちてしまうことがあります。心理的なリソースをプライベートな問題に割くのではなく、メンバーが仕事に没頭できる環境を整えることも、マネージャーの重要な業務のひとつです。1on1をそのための時間と捉え、1on1の時間にメンバーのカウンセリングを行うことが、パフォーマンスの向上と、メンバーとの関係性向上に繋がるのです。

実際Googleでは、成果を挙げているマネージャーほど、プライベートな相談に乗っている割合が高いことが明らかになりました。プライベートの話まで相談できるということが、メンバーの心理的安全性の高さと直結しているためです。

慣れないうちは戸惑うことも多いかもしれませんが、まずはメンバーの話を聞いてあげるところから始めてみましょう。

今回は、個人・マネジメントの観点から、心理的安全性向上のためにできる取り組みについてご紹介しました。メンバー・マネージャーが協力し、それぞれの立場からチームの心理的安全性向上に寄与することで、最高の成果を挙げるチームを作っていきましょう。

解説:佐々木希海
出典:Google re:Work「効果的なチームとは何か」を知る
ピョートル・フェリクス・グジバチ 『世界最高のチーム』朝日新聞出版