社会の動向と対策
男性育休義務化に関する提言『男性の育休義務化』に賛成します
2020年10月2日
2020年9月29日に実施された労働政策審議会雇用均等分科会において、男性の育児休業の議論が行われました。本件について「男性育休義務化」への反対意見が上がったとの報道を受け、民間団体で組成する男性育休義務化プロジェクトチームとして以下の提言を行います。
産後女性の死因の1位は自殺です。(厚生労働省研究班/国立成育医療センター研究所が2018年発表)命にかかわる産後うつの予防・回復に男性育休は強力な選択肢ですが、育児介護休業法第五条において男性にも育休取得の権利があるにも関わらず事実上取得できない職場が大半で、現在2019年度厚生労働省から発表されている男性育休取得率はわずか7.48%です。
そこで、私たちは『男性の育休義務化』に賛成します。但し、個人に対する義務ではなく、企業に対して義務付けるものと考えます。我々は近年それぞれの立場で、国の掲げた男性育休取得の促進施策「男性本人の意識への働きかけ」に協力してきましたが、個人への意識啓発では取得率向上に限界があることがわかりました。
本人にニーズがないのではありません。育休を希望する一般男性は7割以上といった一部の民間調査結果(エン・ジャパンやゼネラルリサーチ社調査)は、実際の取得率7%を大きく上回ります。本人にニーズがあるにもかかわらず取得できないのは、「職場」すなわち企業側に要因がある可能性があります。つまり、今、変わらなければならないのは政府および企業なのではないでしょうか。
日本の少子化は加速度的に進行しており、「企業への男性育休義務化」という施策によって男性休育休の普及スピードを飛躍的に上げる効果を期待し、我々は義務化を提唱しています。
日本商工会議所と東京商工会議所が2020年7月~8月、全国の中小企業6007社を対象に実施した「多様な人材の活躍に関する調査」によれば、中小企業の7割が「男性育休義務化」に反対しており、建設・運輸・介護・看護の業界において顕著との結果が報道されています。しかし、これらの業界は命を守る最低限のラインである、労働基準法36協定の上限が先送りされており、現状の労働環境において既に負担が大きいことが伺えます。また、中小企業においても2020年4月より適用になったばかりで業務効率化を進める最中にあるため、このような結果になったと考えられます。
国の目標は、配偶者出産後8週間内の男性の休暇等取得率を80%、2025年までに男性育休取得率を30%ですが、このままでは達成は難しい状況です。