About WLB

日常的なテレワーク

何が必要? 成功させるポイントは?
「いつでも誰でも、テレワーク」
──弊社社員が実践する新しい働き方

働き方改革というと「残業を減らすこと」などと一面的に捉えがちですが、実際に必要なのは、業務の属人化や時間の無駄づかいをやめ、質の高いコミュニケーションを取りながら効率的かつ戦略的な働き方をすることです。その結果として残業が減り、社員満足度も業績もアップするのです。テレワークについても状況は同じ。働き方改革が本質的に進んでいけば、場所や時間にとらわれない自由な働き方が自然とできるようになります。弊社では全員が必要に応じて日常的にテレワークを行っていますが、今回は「テレワークを中心に勤務している」社員の実例をご紹介したいと思います。

用語解説

テレワーク:tele(離れたところ)とworkを組み合わせた造語で、ICT(情報通信技術)を活用したフレキシブルな勤労形態のこと。リモート(遠隔)ワークとほぼ同義。社会の働き方改革が進む中、時間や場所の制約を受けない柔軟な働き方として注目されている。自宅で仕事をする「在宅勤務」や、移動中の電車や新幹線、カフェ、取引先などで仕事をする「モバイルワーク」などもテレワークの一種である。

週5日、テレワークを中心に
勤務するテクニカルマネージャー

テクニカルマネージャーとして、弊社Webサービスの開発などに従事する米陀絵美。彼女が弊社に参画したのは2016年9月から。SEやWeb制作の経験を活かし、まずは派遣スタッフとして勤務したのち、2018年2月より正社員となりました。以来、テレワークを中心とする今の勤務体制を取っています。

現在のワークスタイルは、

  • 月・木・金=フリースクールに通っているお子さんを送迎するため、スクール近くのカフェでそのまま夕方までテレワーク
  • 火・水=フリースクールがないので、お子さんと家で過ごしながら在宅でテレワーク

というのが1週間のだいたいの流れです。

全社員が集う「ドリームミーティング(ドリミ)」や研修などのため、定期的にオフィスには行きますが、毎週の定例ミーティングや日々の打ち合わせ、半期ごとの面談などはすべて自宅やカフェから参加しています。

「普段からチャットなども駆使して常に社員同士のコミュニケーションが取れていますし、テレワークは私だけでなく誰もが日常的に行っているので、“Web会議のために、○○を用意しなくては!”というような改まったものではありません。“今日は〜〜さんは自宅、〜〜さんは出先、〜〜さんはオフィスで会議に参加”など、居る場所が各自違うだけで、普通に話し合っている感覚です」

テレワークはどんな職種、
どんな立場でも実践できるもの?

勤務のほとんどをテレワークで行う──「なぜ、そんな働き方が可能なのだろう? うちの会社では無理」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、実践者である米陀自身は、こう語っています。

『私も2人の子育てをしています。以前の職場では、子どもが病気になったとしても、有給も早退も言い出しにくく、仕事と育児の両立は難しいと感じていました。当時なぜ休みにくかったかというと、“周りの人に迷惑をかけてしまう”という懸念が強かったためです。テレワークにしても、“私が在宅勤務をするせいで誰かに負担をかけている”と感じたら、仮に制度として確立されていてもなかなか実行しにくいと思うんです。

では、なぜ弊社ならそれが可能かというと、誰がいつ在宅勤務をしても、休暇を取っても、サポートし合える体制が最初からできているから。「全社員残業禁止」「有休・育休消化率100%」の会社であり、生産性高く働くことや、互いをサポートすることが実際の評価にもつながるしくみになっているのです。

最初のうちは 「え、そんな自由な働き方が許されるの!?」と戸惑うこともありました。たとえば、家族が寝込んで急に休んだとしても、「家族を優先してね」と社長をはじめみんなが言ってくれます。今までの自分の“常識”から考えたら信じられなくて、「社交辞令なんじゃないかな。本当は誰かに迷惑かけてるんじゃないかな」と疑ってみたこともあります(笑)。でも今では、誰もが働きやすい環境を作っていくのは当たり前で、そういう働き方がベストだとわかっている全社員が“理想の働き方”を究めようとしているからこそ、自然とみんなを思いやれるんだと確信しています』

組織として必要なのは、
属人化しない働き方を確立すること

今後、「働き方改革を本格的に進めて生産性を高め、業績をあげたい」「社員満足度を高めて人材を確保したい」と考えるのは、企業の規模・業種を問わず目指していくべきゴールです。

テレワークの導入も、重要な要素のひとつ。育児中・介護中・病気療養中の社員だけでなく、通勤にストレスを感じている人、自宅や出先で働いた方がより効率的な働き方ができると感じている人など、どんな人でもテレワークの選択ができるしくみを整えることが、今後ますます必要になっていきます。

仮に、あなたの会社で誰かがテレワークを行うとなった場合、会社として気になるのは「準備するものは何?」「業務内容をどう管理すればいい?」「対面でないといろいろ大変そう」、そしてテレワークする側からは「評価に影響が出ない?」「誰かに迷惑をかけてしまわない?」「時間管理が難しそう」・・・などでしょうか。

つまり、テレワークを管理する側と実際に行う側、双方が何かしら不安を抱えているわけです。しかもその不安が漠然としているためになかなか実行に移せない、というケースが多いようです。


「ペーパーレス化が進んでいることも、テレワークに必須です。弊社の場合、基本的に紙の資料はなく、電子資料だけ。議事録もリアルタイムで入力し、都度更新されていくので、理解しやすくムダもありません。そして、チャットもメールも個人宛ではなくみんなが見えるしくみなので、外部からメールで問い合わせが来ても“私が返信しておくね”と誰かがサポートできます」

まず、会社としてできる解決策のひとつは、「朝メール.com」。弊社の社員も日々活用し、コンサルティング先のみなさまにも必ず導入していただいている働き方改革の必須ツールです。


米陀本人が開発した「朝メール.com」を活用した1日の予定を共有するのが弊社の日課。誰が何をしているかがひと目でわかり、業務が属人化しないため、“テレワークしやすい”“休みやすい”環境が作られていきます。コメント機能もあり、コミュニケーションは常に活発。この日は米陀が本記事の取材を受ける日だったため、ほかのスタッフから励ましのコメントが多数入っていました。

この「朝メール.com」などを活用して業務の効率化をはかり、属人化しない働き方ができていれば、テレワークは決して難しいものではありません。

物理的に用意が必要なものは、たとえば以下のようなもの。

  • 会社から支給するノートPC
  • 業務専用のスマホ(セキュリティの関係もあるため個人の携帯は業務上では使用禁止)
  • Web会議の際に使う音声マイク(会議には、V-CUBE、ZOOMなどのビデオ通話システムを活用)

テレワークに役立つ
「個々人の心構え」と「信頼を得る工夫」

「物理的に用意するものは、一度揃えればあとは簡単です。もっと重要なのは、上司と部下、同僚同士など、社員間のコミュニケーションがしっかり取れていて、信頼関係が築けていることだと思います。会社側がしくみを整えることはもちろん必須ですが、社員一人ひとりが“テレワークには自己責任・自己管理能力が必須”と認識することも大切です」

具体的には

  • メールやチャットのちょっとした言い回しにも気をつける(冷たい印象にならないよう、状況に合わせて顔文字もうまく使う)
  • 主語や述語を必ず入れて、誤解が起きない表現にする(そうすることで、やり取りの回数も減らすことができる)
  • 画面キャプチャを利用し、「この部分が」と赤丸をつけて提示するなど、できる限り曖昧な部分を減らすことでアウトプットの質を上げる
  • メールでやり取りしていたとしても、話が複雑になってきたら電話で直接話す、などツールを使い分ける
  • 自律的に時間を組み立て、都度判断していく。ただし、常に確認作業は怠らない

といった点を気にかけながら、「在宅でも全く問題ない!」という信頼を周りの人から持ってもらうことが大切だといいます。


「自分の行動範囲に、テレワークできそうなカフェを見つけておくこともポイントです。選び方の基準は、電源があること、ある程度広さがあって話をしても迷惑にならないこと。いくつか見つけておいて使い分けるとよいと思います」

弊社の場合、子育てや介護といった事情がある人に限らず、全社員がテレワーク可能で、実際にみんながさまざまな理由で頻繁に利用しています。「おかげで、“自分だけが特別だ”、“誰かに迷惑をかけている”などと引け目を感じることはありません。評価も同じようにされています。こうした安心感は、テレワークはもちろんですが、有給休暇や育児休暇の取得率を高める上でも必要なことだと思います」


「テレワークだとサボるんじゃないか?と懸念される管理職の方も多いと思いますが、むしろ逆です。非常に集中できる環境で仕事ができるので、つい休憩を取らずに働き続けてしまうんです。私自身もランチタイムを活用して整体に行くなど、意識的なリフレッシュを心がけています」

来年2020年にはいよいよ東京オリンピックが開幕します。大混雑必須の通勤電車を考慮して、国はかねてより「テレワーク・デイ」を設け、普及に努めてきました。社会的な注目度も非常に高いわけですが、なかなか浸透していないのが実情です。

しかし、本記事でお伝えしているように、テレワークは本質的な働き方改革を進めていけば自然と実現できるようになります。そして、「通勤電車のストレスをなくす」「より効率的な時間の使い方ができるようになる」という点で、オリンピック期間中だけでなく、恒久的に意義のある働き方なのです。

弊社・米陀絵美の実例が、みなさんのテレワークを推進するヒントになったら幸いです。

テレワークの進め方をはじめ、働き方改革に関するご質問・ご相談がありましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。


撮影/SHIge KIDOUE
文/山根かおり