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NEWS

2026.06.10

開催レポート

働き方改革シンポジウム2026「今こそ働き方改革!エンゲージメントを高め、選ばれ続ける企業の共通点」

2026年4月21日、弊社は毎年恒例となるオンラインセミナー「働き方改革シンポジウム2026」を開催。1500社を超える企業のご参加をいただきました。

6月8日持続可能なハードワークイベント司会写真

概要

オープニングトークでは、弊社の小室淑恵が「働き方改革」をめぐる現在の動向を解説。働き方改革・ワークライフバランスを加速させる必要があることをお伝えしました。

(小室淑恵 発言要旨)

・厚労省の調査では「現行の労基法の上限を超えてまでもっと働きたい」と回答した人の割合が0.1%にとどまることが判明。働き方改革の重要性が再確認された。

・働き方改革関連法施行により、多様な人材が労働に参画し、現在の労働力人口は過去最多となっている。企業は人手不足解消に向け、働き方改革を進め、選ばれる企業になる必要がある。

・一部の人材に残業を上乗せする手法では限界がある。多様な人材が情報を共有して、協力する働き方が日本の経済成長につながる。

・無理なく70歳まで働ける職場をつくり、人手不足の課題を軟着陸させていかなければならない。

続いて、ゲストスピーカーの堤内真一氏(ミサワホーム株式会社取締役常務執行役員)によるご発表がありました。ミサワホーム様では、現場の声を丁寧に集めた働き方改革の実行とデジタル・生成AIの活用を組み合わせ、社会に価値を生み出しています。堤内氏には具体的な取り組みの数々をご紹介いただきました。

(堤内真一氏 発言要旨)

・ミサワホームの働き方改革は2017年にスタート。約50名による社長直轄の組織「BR働き方改革推進室」を設置し、社内イントラ等で情報発信を行った。

・各営業拠点で社員交流会を回開催。3年間で約1000人と交流しながら本音で語る機会を設けた。

・若手の離職率改善に向け、本社実習やメンター制度などを導入。リーダー研修や問題解決を軸とした階層別研修を実施したほか、部門ごとに人材育成プラン・業務スキル項目を作成。

・コロナ禍では「テレワーク機器・ルール」「サテライトオフィス」「全事務所Wi-Fi化」を整備。職場内での不満の声を吸い上げる取り組みも開始。

・年1回従業員サーベイを実施し、精緻な分析に基づく改善を実施。

・キャリア採用を強化するとともに職務記述書(ジョブディスクリプション)を導入。役割や責任を明文化した上で、業績評価を行っている。

・社内勉強会を開催し、生成AIを活用した生産性向上と価値創造を実現している。

次に、株式会社ホリプロ・グループ・ホールディングス様から取締役 経営管理本部長 池橋敬雄 氏と株式会社ホリプロから公演事業本部 ファクトリー部 部長 吉永千紘 氏
が登壇されました。同社では将来的な人材難に備え、働き方改革に着手。限られた時間の中で良い作品を作る困難を抱えながら、どのように取り組んできたかを振り返っていただきました。

(池橋氏、吉永氏 発言要旨)

・エンターテインメント業界には「労働集約的要素が強い」「業務のマニュアル化が難しい」「多くの社外者と協働するため、自社のみで働き方を決め辛い」「常に新たな付加価値の創造が必要とされ、正解がない」「仕事のオンとオフの境目が曖昧」という特性がある。

・その中で、将来に危機感を持ち、働き方改革の取り組みをスタートさせた。

・ファクトリー部では月に1回研修にて集合し、「どんな働き方を目指したいか」を話し合い、課題を明らかにし、改善に向けた取り組みを行った。

・行動表の活用・共有によるお互いの状況把握やチームミーティングによるタスク整理を実施。

・「ありたい姿」を議論することで、ブレずに取り組み、時間圧縮の意識も高まった。

最後に小室淑恵から「短時間で『ハードワーク』する組織が今選ばれる!新しい組織の勝ち方」と題して最適な働き方、組織作りについて解説しました。

(小室淑恵 発言要旨)

・日本の残業割増率は1.25倍であり、残業に依存する経営のインセンティブとなっているが、高知県は時間外割増率を1.25倍→1.5倍にする条例を施行した。

・フランスでは、短時間での雇用にインセンティブを与える法改正により出生率が向上している。高知県も少子化・人口減少という課題を、働き方改革を通じて乗り越えようとしている。

・高知県庁は「時間外の圧縮」「短時間勤務職員の採用枠の新設」に着手し、すでに大きな成果を出している。

・日本では夫婦共働きにより家計が2億円プラスになる可能性があり、2人目の子どもも生まれることで未来の労働力も確保できる。男性が安易に残業すると、現在と未来の労働力を失うことになる。

・人生において長時間労働できる時間はたった15%。キャリアの初期から時間内に仕事を終える手法を身に付けることが重要である。

・若手を成長させるには、短時間でハードワークできる職場作りが不可欠である。

当日の詳細は以下をご覧ください。

オープニングトーク

株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長 小室淑恵

◎上限緩和して働きたい人は、たった0.1%

2026年4月9日に「日本成長戦略本部・雇用問題調査会合同会議」の提言書が出され、そこには「『働き方改革関連法施行後5年の総点検』調査により、現行の労働時間制度が必ずしも十分に活用されていない実態も明らかになった」「こうした課題は制度改正の議論に先立って、優先的に解決すべきものである」と書かれました。

実は昨年秋以降、労働基準法に定められている月間の労働時間上限を緩和するべきだとする主張が増えていたのですが、多くのメディアが働き方改革についてあらためて取材を増やし、むしろ労働時間を削減することで、どれほど日本社会の課題を解決できるのか広まっていきました。

厚労省の調査で「現行の労基法の上限を超えてまでもっと働きたい」と回答した人の割合が0.1%であることがわかりました。しかも、増やしたい理由の約7割が収入を増やしたい。つまり長時間働きたいのではく、基本給が足りないという事実が判明したのです。

一度は働き方改革への強いバックラッシュが起きた日本ですが、この半年をかけて、過労死・過労自殺を改善していく方向へ、やっと議論が戻ってきたということです。

◎人手不足を解消させる鍵は「働き方」にある

シンポジウム2026開催レポート小室画像1

人手不足と言われる中、実は労働力人口は過去最多となっています。最大の要因は、働き方改革関連法が2019年に施行され、育児中・介護中・残業転勤不可人材が再度働けるようになったからです。ただ、この新しい労働力を活用できるのは、働き方改革を進めた企業だけです。人手不足を解消させる鍵は、働き方改革を進め、選ばれる企業になることです。ワーク・ライフバランスは捨てるのではなく、加速させる必要があります。

◎残業の上乗せではなく、多様な労働力の活用を

これまでの職場では、チーム内で残業ができる人たちに、誰かが欠けた分の労働時間を乗せ、総労働時間を増やそうとしていました。しかし、若者の割合が減っており、新たに残業を上乗せできる労働力は23万人分と試算されています。

一方、育児時短、介護時短、週4勤務、65歳以上の再雇用といった人材を活用すると、日本は290万人分の労働力を増やすことができます。残業の上乗せではなく、多様な人が情報を共有し、美しいパス回しでしっかりゴールを決める働き方が、好循環な職場・日本の経済成長につながります。

◎無理なく働ける職場なら労働力人口を維持できる

日本の労働力人口比率は、今のままでは2070年に大きく低下してしまいます。ところが、70歳まで労働力人口を引き上げれば、2070年まで今と同じ労働力人口比率を維持できます。

少子化は直ちには解決しませんが、少子化で起きる人手不足の課題は軟着陸ができます。次世代に高い税負担のツケを残さないためにも、多様な労働力を活用する成長ビジョンを共有していきましょう。

ミサワホーム 働き方改革の歩み 〜課題発見と挑戦の歴史

ミサワホーム株式会社取締役常務執行役員 堤内真一氏(以下敬称略)

担当コンサルタント:堀江咲智子、高安千穂

シンポジウム2026開催レポートミサワホーム様1

(1)第一次働き方改革

◎コミュニケーションの活性化

ミサワホームの働き方改革は2017年にスタートしました。若手や管理職、子育て中の社員など、部門を横断した約50名による社長直轄の組織「BR働き方改革推進室」を設置。意識したのは、役員の巻き込みです。

推進室の活動をPRするため、社内イントラに活動紹介サイトを作成し、こまめな情報発信に努めました。そして推進室の50人が現場の声を集め、社員主導型で課題を見つけ、解決に向けた具体的な取り組みを実施しました。

また、首都圏・中部の各営業拠点にて社員交流会を14回開催。3年間で約1000人と交流しながら本音で語り合う機会を設けています。交流会では飲み会も行いながら、現場で社員の声を聞くことをモットーに進めました。

それまで「会社は何もやってくれない」という諦めムードがありましたが、「本当に変えてくれるかもしれない」という機運が盛り上がってきました。推進室メンバーのやる気も高まり「絶対変えてやる」という気持ちが強くなりました。

◎人財開発の取り組み

ミサワホームが課題としていたのは、若手の離職です。3年以内離職率27%(2014年度)から、いろいろな取り組みを経て、2019年度は16%に改善しました。

人財定着に向けて行ったのが、人財開発部ミサワインスティテュートの設立です。人財投資への予算も確保し、「30歳までに若手をプロに育て、社員と共に成長していく会社をめざす」という方針をアナウンスしました。

また、全社員アンケートを通じ、ミサワの良さ=「MISAWA DNA」を①先進性、②デザイン、③技術力、④笑顔を信頼、⑤人財主義と定義し、共有しました。

シンポジウム2026開催レポートミサワホーム2

そして、新卒から若手、中堅、シニアまで、年代別の課題を整理し、施策を展開しました。例えば新入社員をいきなり配属するのではなく、本社実習を行い、社員とのつながりを作り、本配属後はメンターとしてフォローする仕組みを導入しました。メンター制度では飲食費補助なども行い、信頼関係を作りながら新入社員の定着につなげています。また、本配属後のOJTリーダーを対象に研修を実施し、仕事の与え方やマネジメントスタイルを学ぶ機会も設けました。

シンポジウム2026開催レポートミサワホーム3

全社的な研修体系も見直し、問題解決を軸とした階層別研修を実施。同期の絆作りも後押ししました。また、女性社員向け研修を階層別研修へ入れ込み、ビジネスメイク研修などが好評を得ています。

さらに、部門ごとに人材育成プラン・業務スキル項目を作成。何を学び、身に付けるかを明確化しました。

(2)コロナ禍による新たな取り組み

◎テレワークに向けた環境整備

コロナ禍では、テレワーク推進に向け、①テレワーク機器・ルール、②サテライトオフィス、③全事務所Wi-Fi化を整備しました。

また、「ミサワデジタルスタンダード」という教材とテストを作り、ITリテラシー向上を図りました。並行して「新しい働き方」の社内ルールを明確化しました。

「社員の声プロジェクト」を発足し、職場相談員(レップ)を通じ、新しい働き方をする中で生じた不満の声を吸い上げる取り組みを進めました。プロジェクトではさまざまな声が上がり、役員会でも取り上げました。

(3)デジタルを纏う変革の取り組み

◎「資本経営」の考え方を転換

「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営から、「6つの資本(財務、製造、知的、人的、社会関係、自然資本)」の経営への転換を図り、特に人的資本を使った価値の創造を目指しました。これにより、従業員のモチベーションまで投資の対象として意識するようになりました。また、ミサワの人的資本を事業の原動力と位置付け、経営陣にも改めて徹底しています。

6月8日持続可能なハードワークイベントミサワホーム4写真

離職率は2020年度に22%に後退したため、20代の離職率をKPI設定しました。グループ全体では年1回従業員サーベイを実施。「社員のエンゲージメント」「社員を生活かす環境」を数値化し、数値が低い部門での改善を施しました。サーベイ結果は、属性ごとに整理し、精緻な分析を行っています。

◎研修の見直しと社員への開示

研修体系を見直し、「事業セグメント別の研修」「全社共通の仕事の進め方を段階的に修得」「セルフチャレンジ支援制度」といった仕組みを整備し、社員に開示しました。階層別研修コンテンツも見直し、各事業の責任者が若手社員に直接語る機会を設定しています。

◎キャリア採用強化・職務記述書(ジョブディスクリプション)導入

キャリア採用を強化し、キャリアオンボーディングによるフォロー体制を導入しました。また、2026年度から職務記述書(ジョブディスクリプション)を導入。43のポストに求められる役割や責任を明文化し、業績評価を行っています。

◎生成AIを活用した生産性向上

社内で勉強会を開催し、「生成AIの基本」「営業・設計向け 画像生成・パースの加工」「管理向け データ集計:分析と連携」を学びました。生成AIが自働でインテリアイメージを生み出すなど、新たな価値創造につながっています。

シンポジウム2026開催レポートミサワホーム5

コールセンターでは、これまで通話終了後、約15分かけて内容要約を行っていました。AIが内容要約を代行することで、応答率が約70%から約94%まで向上。AIはコールセンターを進化させるインフラとなっています。

設計建設推進部では、品質向上や業務改善などあらゆる分野にAIを活用し、飛躍的に生産性が向上。生まれた時間は課題の発見に充てることができています。

◎質疑応答

堀江:転勤制度の現状についてお聞かせください。

堤内:介護で転勤を希望する人が増えており、全国各地にある拠点への異動を優先し、地元のグループ企業に出向という形で斡旋することもあります。また、基本的に社員の合意の上で異動を決定しています。チャンスを与えるという形での異動を打診し、受け入れなくても評価には関係しません。

堀江:ベテランや役員の抵抗感が強かったと思いますが、どのように巻き込んだのでしょうか。

堤内:キーパーソンである会長と社長に個別説明を行い、ミサワの将来のために必要な取り組みであることをお伝えしました。シニアに関する施策としては、専門性を満たす社員に「エキスパート」という職位を付与し、年収基準を変えずに処遇しています。会社に貢献できる人は60歳を超えても年収を下げず、むしろ上げてもいいという評価制度です。また、健康面で今までのような働き方が難しい場合は週3勤務にするなど、個別の対応が重要だと考えています。

堀江:社員間のコミュニケーション施策を実施するにあたり、本社と地方の間での温度差が生まれないように、どんな工夫をされたのでしょうか。

堤内:全拠点を回り、隅々まで声を聞くことを意識しました。小さな営業所の人たちには、一か所に集まってもらう工夫をしています。

ホリプロが挑む働き方改革の舞台裏

株式会社ホリプロ・グループ・ホールディングス

取締役 経営管理本部長 池橋敬雄 氏(以下敬称略)

株式会社ホリプロ 公演事業本部 ファクトリー部 部長 吉永千紘 氏(以下敬称略)

担当コンサルタント:松尾羽衣子、滝沢雄太

◎エンターテインメント業界の業務特性

池橋:ホリプロは社員数230名程度、「人のプロデュース」「作品のプロデュース」の2軸で総合エンターテインメント事業を行っています。業界の特性として、以下の5つが挙げられます。

1. 労働集約的要素が強い……タレントが稼働するとマネージャーの稼働も伴う、舞台は現地で人が制作するなど、無人化・省力化は難しい傾向があります。

2. 業務のマニュアル化が難しい……100のトラブルが発生すれば、解決は100通りあり、全てマニュアルに落とし込むのは難しいと言えます。

3. 多くの社外者と協働するため、自社のみで働き方を決め辛い……テレビ局や制作会社がスケジュールを組むので、タレントやマネージャーの稼働時間を決めにくい状況があります。

4. 常に新たな付加価値の創造が必要とされ、正解がない……毎月同じ曲を買う人はいないので、毎回0→1を作り、新たに買っていただく必要があります。0→1には正解がないため、必然的に考える時間が増えてしまいます。

5. 仕事のオンとオフの境目が曖昧……例えば自宅でテレビを見る行為の場合、仕事・プライベートの区分が難しい特性があります。

◎働き方改革の背景・これまでの経緯①

池橋:当社では労使双方に「好きでやっている仕事だから、ある程度長時間になるのは仕方がない」という認識があり、労働時間の常態的な高止まりが続いていました。一方で、人口は減少しており、採用応募者数の減少が懸念され、何らかの対応が必要となっていました。

そんな中、2016年に安倍首相(当時)を議長とする「働き方改革実現会議」が発足したことを受け、当社でも働き方改革の取り組みを開始。各部で「働き方改革委員」を任命したほか、22時に「夜回り隊」が活動するなど、残業削減に一定の成果がありました。

コロナ禍に直面し、労働時間問題はいったん経営イシューから外れましたが、行動制限が緩和されたのに伴い、働き方改革は次のフェーズに移行。社員主導型の第2次働き方改革がスタートしました。

◎働き方改革の背景・これまでの経緯②

吉永:出産を経て現場に復帰しようとしたとき、子供を産んだだけで、他は何も変わっていないのに、働く上で現場の状況や会社の体制という壁が立ちはだかり、愕然としました。そこで人事にも相談しながら、働き方を模索するようになりました。

そんな中、管理職となり、若手社員も先々への不安や働き方への不満を抱えていると知りました。それまでは好きな仕事だから時間を気にせず働いてきましたが、それを続けて行けば、いい人材が集まらなくなります。そこで、できるところから働き方改革に取り組もうと考えました。

◎ファクトリー部の働き方の問題①

滝沢:ファクトリー部では24名の皆さんが月に1回集合し、どんな働き方を目指したいのかを議論し、実行できることを一つずつ考えてアクションしました。2026年からは既存の会議体に働き方のアジェンダを組み込み、議論を続けてられています。どんな課題があったのでしょうか。

6月8日持続可能なハードワークイベントホリプロ様登壇写真1

吉永:制作部門は社内で最も労働時間が長く、休みが取りづらい状況がありました。その原因となる業務量の多さや、育成システムが機能していないなど、様々な課題を抱えていました。

滝沢:まず皆さんが課題を出せたことが価値ある一歩だったと思います。また「インプットの時間が確保できていない」というのも特徴的な課題であり、「本当は見たい作品があるのに見に行けない」という発言が印象的でした。

◎取り組みの具体的な成果

吉永:今日の行動や未来の行動予定を行動表にまとめ、部内で共有しました。お互いの状況把握ができ、相手が休みの日には電話をしないなどの配慮をしました。

6月8日持続可能なハードワークイベントホリプロ様登壇写真2

滝沢:もともと行動表自体は存在していたものの、活用が進まなかった中、課題を議論し、自分たちで「やってみよう」と決めたことが大きかったと思います。

吉永:ほかには、複数人のチームで1作品に取り組む中で、コミュニケーションが不足し、若手が孤立する状況がありました。そこで定期的なチームミーティングを行い、タスク整理を行う時間を作っています。

6月8日持続可能なハードワークイベントホリプロ様投影資料写真

また、稽古期間が長期にわたる場合、最初の1カ月は週2日休めるようにシフトを組みました。社員からはリフレッシュでき、集中力が高まったという声が上がり、トラブルも起きていません。

松尾:ミーティングの場で聞きにくかったことを聞き、解決・協力できることが増えているのを感じました。

◎取り組みで得られた成果

吉永:「ありたい姿」について話せたことは良かったと思います。全員が「一流の制作集団でありたい」「いい作品をお届けしたい」と思っていましたが、具体的な要素に関しては人によって解釈が違います。1つの文章にまとめて共有することで、ブレずに働き方改革に取り組むことができました。

6月8日持続可能なハードワークイベントホリプロ様登壇写真3

また、「課題に気づいていたけど言えなかった」状況から、「これが当たり前ではなく、良くしていけるかもしれない」という希望を感じられるようになったのも良かったと思います。そして、できるだけ時間をクリエイティブに使えるように、みんなで協力して事務作業にかける時間を圧縮する意識が高まったのも価値ある変化でした。

◎今後への展望

吉永:一番難しいのが、続けていくことです。制作部門では、スキルマップの制作や資料の共有、チームミーティングなどを継続し、少しずつ改善していきたいと考えています。働き方全体については、ベストな働き方を深めるため、研修などで学ぶ場を設けていきたいです。

池橋:ファクトリー部の働き方改革を軌道に乗せ、グループ全体に広げていきたいと思います。エンタメ業界で働くことは特別だと思いがちですが、仕事を要素分解するとそうではないことがわかってきました。「特別なものを作っているけれども、普通に働ける」。それを、今いる社員だけでなく、これから入社する方に伝えていきたいと思います。

◎現場の変化/WLBサポートについて

吉永:知れば知るほど長い道のりですが、始めないことには始まりません。業務も大事にしながら、働き方改革に取り組む気持ちや環境を整えていきたいです。

面談では、働き方改革に課題意識を持ち、解決に前向きな発言をする社員が増え、心強く感じます。みんなで一緒に考えていける土壌づくりが大切だと実感しました。

ワーク・ライフバランス社の皆さんには稽古場も見学していただき、客観的な視点からアドバイスをいただきました。答えを伝えるのではなく、変わっていく手助けをしてくださるのがありがたかったです。

◎質疑応答

松尾:ワークライフバランスと人事評価の兼ね合いで工夫されたことはありますか。

池橋:今まで労働量=評価になりがちだったので、まずそれを切り離しました。また、人事評価は公平感が重要であり、常日頃のコミュニケーションに加え、評価時には丁寧なコミュニケーションを取り、納得感を持っていただくことを意識しています。

「短時間で『ハードワーク』する組織が今選ばれる!新しい組織の勝ち方」

株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長 小室淑恵

◎割増賃金率を1.5倍にした高知県

新たな仕事が発生したとき、今いる社員に残業させたほうが安くなるのか、新たに人を雇用したほうがいいのか。そのコストが均衡する割増賃金率を「均衡割増賃金率」といいます。

試算によると、時間外割増率が1.5倍以上になれば、残業させるよりも新たな人を雇用したほうが安くなります。他国の割増賃金率は1.5倍ですが、日本だけ1.25倍であり、残業に依存する経営のインセンティブとなっています。

この問題を新聞記事で解説したところ、高知県の濱田知事から問い合わせがあり、高知県庁では時間外割増率を1.5倍に変更する条例が施行されました。

シンポジウム2026開催レポート小室画像2

◎フランスの秀逸なしくみ

フランスは、短時間で雇用すると社会保険料の雇用主負担分が減額される「ロビアン法」「オブリ法」により少子化の改善を図りました。法改正により、短時間での雇用にインセンティブを与えた結果、出生率は97年に反転し、2000年に跳ね上がっています。

◎高知県 働き方改革の取り組み

高知県は、以下のポイントで取り組みました。

1つ目が時間外の圧縮です。残業時間が変わらずに時間外割増率を引き上げれば、県税が多くかかってしまいます。残業を6分の5に圧縮するため、ワーク・ライフバランス社がノウハウを提供し、伴走しています。すでに8000万円分の残業時間が減少しています。

2つ目が短時間勤務職員の採用枠の新設です。地方自治体が短時間の雇用をする場合、「会計年度任用職員」という単年度採用の不安定な身分となってしまいます。そこで、正社員でボーナスの対象にもなり、週30時間動労ができる職種を全国初で新設しました。その結果、5名の採用枠に100人の応募があり、特に優秀な女性が集まりました。

◎高知県知事部局3400名の変化

現在、高知県庁では「長時間働いた職員が評価される」という感覚が大きく減少。「得意なことを生かせる機会がある」「現在の業務にやりがいを感じる」「賃金に満足している」「安心して挑戦ができる」「職場のコミュニケーションが活発」と感じる職員が増えています。

シンポジウム2026開催レポート小室画像3

高知県の取り組みは政財界にインパクトを与え、追随する動きが起きています。

◎「労働時間延長」は日本経済を衰退させる

日本は夫婦が7:7で働けば、1家庭が14の収入を得ることができます。日本は女性が優秀であり、15歳時点での理科の学力が世界1位です。しかし、多くの経営者が目の前にいる男性だけを見て、安易に労働時間を増やそうとします。

夫の労働が3増えただけで、妻はワンオペで家事育児をすることになり、離職を余儀なくされます。家庭の収入は10+0=10に減少しますが、減少した4の労働は、生涯賃金に換算すると2億円であることがわかっています。

つまり、夫婦が共に働けば、家計が2億円プラスになる可能性があります。不安定な給付金を受けるより、自力で2億稼げることが真の安心感につながります。大切なのは、それを実現する職場環境を整えることです。

また、夫婦で育児家事を行うと、2人目の子どもが生まれ、現在と未来の労働力は合計4人となります。一方、男性が1人で働き続け、子どもが1人の場合、現在と未来の労働力は合計2人にとどまります。男性に安易に労働時間を乗せると、現在と未来の労働力を失うことになるのです。

◎長時間労働が可能な期間はたった15%

若い人が「長時間働いて、早く成長したい」と訴えることがあります。しかし、今の時代、若い頃に学んだスキルが40年通用することなどありません。

私の場合、31歳で出産するまで長時間労働ができました。しかし、その後は赴任治療や介護、子どもの病気、夫の海外転勤などがあり、結局はビジネスパーソン人生のたった15%しか時間外労働ができていない状況です。

シンポジウム2026開催レポート小室画像4

現在は、不登校対応、中学受験、親の介護などを抱える家庭が少なくありません。キャリアの初期に長時間労働で成果を出すスタイルに頼ると、その後85%の時期に不本意な働き方をすることになります。

大事なのは、キャリアの初期に時間内に仕事を終えるやり方を身に付け、学びの時間を確保することです。

◎若い人のためを思うなら

「もっと働きたい」という発言の裏にある真の課題を解決すべきです。

1つ目は収入です。収入が足りないのであれば基本給を上げるべきであり、残業代稼ぎを促進すべきではありません。

2つ目に、成長したいという人は、成長感に酔ってしまう傾向があります。睡眠時間を削って量をこなし、疲弊したことは成長と無関係です。実際には職場の情報共有と育成が成長につながります。そのためにも働き方改革が有効な手段となります。

3つ目に、評価されたいから長時間労働をしている人がいます。それは会社に長時間動労が評価される風土が残っている証拠です。過去に長時間労働で成功した武勇伝を否定する必要はありませんが、現在は短時間で成果を出し、多様な人で意思決定を行い、付加価値で勝つ時代です。いち早く風土をシフトしましょう。

また、大多数の若者は長時間労働を嫌いますが、自分を成長させるハードワークは歓迎します。ですから、短時間でハードワークできる職場をぜひ作ってください。それにより、どんな人も輝く職場になります。

◎成果を出している企業事例

サカタ製作所は、2014年の講演会をきっかけに社長の意識が変わり、2年間で1人当たり月間残業時間が1. 2時間にまで減少。浮いた残業代をベースアップに繰り入れ続け、基本給は取り組み前の1. 5倍、男性の育児休業は5年連続100%平均5カ月取得しており、業績は大変堅調です。

オンワードホールディングスでは、「ワーク・ライフバランスコンサルタント講座」「働き方改革コンサルティング」など多種多様なプログラムをご提供し、残業時間は65%削減。役員候補の女性たちと社長の本音トーク「ダイアログプログラム」を経て、現在は女性役員3名となっています。また、給与は平均10〜16%アップし、離職者4年連続ゼロを記録しています。

大王製紙では、講演、トップ対談、男性育休100%宣言、父親学級、介護離職予防研修とステップを進められ、男性育休が飛躍的に跳ね上がりました。その後、介護の課題にも着目し、介護離職予防研修も受講されました。

まずは「男性育休100%宣言」「勤務間インターバル宣言」「女性の再就職応援宣」言「介護離職ゼロ宣言」「働き方改革加速宣言」などを機に、いろいろな取り組みで皆さんとご一緒できると思っています。ともに社会変革を目指す企業・組織のご賛同をお待ちしています。

本日はありがとうございました。

株式会社ワーク・ライフバランスについて