2026.06.17
開催レポート
なぜ今、「今いる人材」を生かす経営が問われるのか― 男性育休と介護支援から考える、人口減少時代のマネジメント ―
本レポートは、「介護離職予防研修 定額制サービス」で提供している経営層・管理職向け研修「誰が休んでも回る職場づくりで真の成長企業を目指す」の開催レポートです。導入企業の皆様には、従業員に向けて、介護に直面する前の早い段階での両立支援に関する情報提供の場として活用いただいております。
「男性育休」と「介護支援」。
一見すると別々の施策に見えるこれらの取り組み。
けれども本質的には、どちらも”今いる人材を生かし続けるための経営課題”に向き合うものです。
今いる人材が離職せずに最大限労働参画できる職場を実現するためには経営層・管理職といったマネジメント層が、社会構造の変化を正しく理解することが不可欠です。
そこで本研修では、さまざまなデータを用いて、人口構造の変化から見たこれからの日本の働き方やマネジメントのあり方についてお話ししました。
当日は、全国のさまざまな組織から6,000名を超える管理職・経営層が参加し、チャットでの意見交換も交えながら、人材の奪い合い時代のマネジメントについて考えました。
なぜ今、「今いる人材」を生かす経営が問われているのか
「男性社員から『2週間後から1カ月の育休に入りたい』と言われたら、何が困りますか?」
「介護休業制度(93日)を使いたいという社員がいたら、どのような声をかけますか?」
研修は、参加者へのこうした問いかけから始まりました。チャットには「困ることは何もない」という心強いコメントが寄せられる一方で、「業務の振り分け」「引き継ぎ」「業務の偏り」に不安を感じるという声も多く挙がりました。
特に人手不足を補うために残業で調整している職場では一人の欠員であっても組織への影響が大きいことが容易に想像できます。
しかし「残業で調整する」マネジメントは、すでに限界を迎えています。
なぜなら、少子高齢化が進む日本において、育児や介護といったライフイベントは、一部の人の問題ではなく、誰もが直面し得る出来事になりつつあるから。
その中で長時間労働が可能な人材は限られており、その一部に業務が偏れば職場内に負担感や不公平感が生まれやすくなります。その結果、組織全体のパフォーマンスや成長にも悪影響が及びます。
さらに企業として忘れてはならないのは、付加価値の高い商品・サービスを生み出し続け、将来にわたって業績を伸ばしていくこと。
イノベーションの源泉は多様な人材がフラットに議論できる環境にあると言われていますが、これまでのように「長時間働けること」を前提とした均質な人材だけが意思決定を担う組織では、社会や市場の変化に柔軟に対応し続けることは難しくなるでしょう。
そもそも、介護や育児と仕事を両立できない職場では、新たな人材を採用しても定着せず、人の入れ替わりが常態化します。
ライフイベントを理由に離職せざるを得ない状況が続けば組織は慢性的な人手不足に陥ります。こうした悪循環を断ち切るためにも、ライフに制約のある人材も含め今いる人が十分に力を発揮し、安心して働き続けられる環境を整えていかなければいけないのです。

では、マネジメント層として具体的に、どのような点に目を向けるべきなのでしょうか。
男性育休の本質と取得推進のポイント
「男性の育児参画の重要性は理解できるが、なぜ”休業”まで必要なのか」と疑問に感じる方もいるかもしれません。
そこでまず知っておきたいのは、出産直後の母親は心身ともに非常に不安定な状態にあり、産後うつのリスクが最も高まる時期でもあるということ。
このため、この時期に男性が一定期間仕事から離れ、育児に専念し母の負担を減らすことは母子の命と健康を守ることに繋がります。
また、厚生労働省の調査によれば、若手男性社員の約3割が半年以上の育休取得を希望しているというデータもあります。
これは、「ゆるく働きたい」という意識の表れではなく、パートナーとの人生や家族のあり方を真剣に考えている姿勢とも言えるでしょう。
こうした背景を踏まえると、男性が数カ月単位で育休を取得できる職場環境を整えることは、従業員の家族の未来を支えるだけでなく、採用や離職防止の観点からも
企業にとって重要な人材戦略となります。
さらに、管理職自身が制度や法改正の内容を正しく理解し、アップデートし続けることも欠かせません。
例えば育休は本人が申請すれば取得できる制度ですが、休業の意向を言い出しにくい職場の雰囲気になっていないでしょうか。
また、男女ともに一定期間の育休取得で実質的に手取り相当額が保障される仕組みがあることなども、<部下が安心して取得を検討するために、管理職は知っておくべきでしょう。
介護との両立支援のよくある誤解
昨今介護離職増えていると言われています。
総務省の調査データによると<仕事と介護の両立困難による経済損失は9.1兆円との試算も。
また育児と異なり、介護はある日突然始まりその後長期化するケースが少なくなく、家庭の事情として社内で相談しづらく本人が一人で抱え込んでしまいやすいという特徴があります。
こうした背景もあって、介護離職を予防するために令和7年に法改正がされ、介護員直面する前の早い段階(40歳等)に、介護休業および介護両立支援制度等の情報提供が義務化されました。
しかし誤解されやすいので注意いただきたい点があります。
介護休業は「本人が介護を担うための休み」ではなく、仕事に復帰し、働き続けるための体制を整える準備期間であるという点です。
部下から介護の相談を受けた際、管理職が「仕事を休んで本人が介護をする」というイメージを持っていると、「しっかり寄り添ってあげてね」といった声かけをしていませんか?
介護休業期間中に本人が主体的に介護に関わる状況を一度作ってしまうと外部リソースを頼るための準備が十分にできず、結果的に離職につながるかもしれません。
管理職として大切なのは、制度の正しい趣旨を理解したうえで、働き続けられる体制づくりを支援することなのです。
最も大切なのは、管理職の”睡眠の質”?
アンケートでは、「睡眠の質」や「十分な睡眠を確保すること」の重要性に気づいたという声も多く寄せられました。
管理職として、部下に集中力と倫理観を持って仕事をしてもらうことを気にかけている方も多いかもしれませんが、それらを担保するのは「睡眠」です。
睡眠不足の影響は、集中力や判断力の低下を招き、意思決定の質や業務上のリスクに直結するだけではありません。感情コントロールの低下を通じて、職場のコミュニケーションやハラスメントの発生リスクを高める可能性もあります。こうした睡眠不足によるリスクは部下だけではなく、もちろん管理職本人も同じ。
だからこそ、管理職自身が働き方を見直し、十分な睡眠と休息をとっていくことが組織のパフォーマンスを上げるために重要になってくるとお伝えしました。
いただいた感想の一部をご紹介します
- 昔の常識が今の非常識となっていると言えるぐらい、世間の考え方が変わって来ている事項が沢山あると感じた。
- データに基づく説明で説得力があった。また考え方がリセットされたと思う。特にサービス残業世代からすると意識を変える必要があると感じた。
- 睡眠時間とGDPの相関関係に驚きました。あと1時間睡眠を長くすることの意味を考えさせられた。
- 思い込みや、偏見から仕事に対する役割分担を狭い範囲でしか捉えていなかったと思うのは反省しなければならないと思った。
- これからの日本企業の在り方を考えさせられる。睡眠、子育て、介護含めエビデンスを用いた説得力のある内容でした。
- 育児休業や介護休業の必要性をあらためて学ぶことができました。今までの認識が間違っていたことに気づきました。
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- 担当者間の交流でノウハウを深める「人事・推進者向け交流会」
- イーラーニングに活用可能な「介護が始まる前に知っておきたい初動のキホン」動画コンテンツ
従業員にとって介護と仕事の両立は、「親の老い」という向き合いにくいテーマ。そのため情報収集が遅れ、介護開始後に負担が一気に高まり離職につながるケースが少なくありません。当社では、本サービスを通して早期に必要な知識や支援策を届け、「介護」と「キャリア」を天秤にかけずに済む社会を目指しています。
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