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ワーク・ライフバランス基本データ解説

男性育休取得率6%から見る、日本の男性育休の現状
~男性育休100%に向けて~

2019年6月28日

育児関連データから見る男性育休の必要性

「女性の社会活躍」が叫ばれるようになって久しいですが、実は「女性活躍」と表裏一体なのが「男性の家庭活躍」。男性の家庭活躍なしには、真の女性活躍は実現しないと言っても過言ではありません。では実際、男性の家庭活躍はどの程度進んでいるのか、男性の育休取得率から見ていきましょう。

【図 育児休業取得率の推移】
※平成23年度の[ ]内の割合は、岩手県、宮城県および福島県を除く全国の結果 / 資料出所:厚生労働省平成29年雇用均等基本調査より

男性の育休取得率は、年々伸びてきてはいるものの、2018年度でも6.16%。女性の育休取得率と比べるとその差は歴然です。また、政府の目標値が13%(2020年度)であることを鑑みても、不十分な取得率と言わざるをえないでしょう。

しかし今の若い世代は、男性の育休取得を切望しています。育休取得に関する意識調査では、男性新入社員の約8割が「育児休業を取得したい」(日本生産性本部調べ)、女子学生の9割が「夫に育児休業を取得してほしい」(日本経済新聞調べ)と回答したのです。

子供が生まれたときには、育児休暇を取得したい(男性)

人材不足の現代では、若者のニーズに合った職場環境ーー具体的には男性の育休取得可能な職場を作っていくことーーが必須で、人材獲得の重要なカギとなってくるでしょう。

さらに育児に関連する他のデータからも、男性育休取得の促進が急務であることが読み取れます。

産後1年未満に自殺した母親

上のグラフでは、産後1年未満に自殺した母親の数の推移が示されています。
実は産後の妻の死因1位は自殺。その数は年間92名に上り、がんによる死亡者70名、心疾患による死亡者24名と比べても、突出した数字であることがわかります。自らの命を絶ってしまうほどに、孤独な育児は妻を追い込むのです。

また、自殺の主な要因である産後うつについてのデータも得られています。

妊娠20週から産後3か月までの初・経産婦別にみたEPDS陽性者(9点以上)の割合と95%信頼区間
「妊産婦のメンタルヘルスの実態把握及び介入方法に関する研究 平成26 年度 総括・分担研究報告書」
厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
(健やか次世代育成総合研究事業)より

これは母親の産前産後うつ病有病率を示したデータです。ピークを迎える産後2週間では、4人に1人が産後うつを発症しています。つまりこの2週間を孤独に過ごすか、夫と共に過ごすかが、今後の夫婦の関係性や第2子以降の誕生率を大きく左右するのです。実際、夫の家事・育児への参画時間が短いと第二子以降の出生率が下がるというデータもあります。(詳しくはこちら)急速に進行する少子高齢化の観点から考えても、会社規模・国家規模での男性育休取得制度の整備は急務でしょう。

さらに男性育休は、企業側から考えても大きな意義のあるものです。男性が一度仕事を離れ、新しいコミュニティへ参加したり、新しい世界に触れたりすることで、価値観のパラダイムシフトが起き、復帰した職場でのイノベーションに繋がるのです。さらに、育休取得中の男性の穴を埋めるため仕事の属人化の抑止が進み、リスクマネジメントにつながるなどのメリットもあります。男性育休は、育児スタイルの変革にとどまらず、企業の風土改善や働き方改革を加速させる効果も持つのです。

このような現状を踏まえ、弊社では「男性育休100%宣言」の賛同企業を募っています。目標を持ち、具体的な対策をしている企業の経営者が宣言・発信していくことで、育休を「取りたくても取れない」職場風土の企業を変えていくきっかけとなることや、政府へ法律整備を求める際の論拠となることを目指しています。今年5月には「男性育休100%宣言」の賛同企業は40社を超え、少しずつではありますが、男性育休取得の風潮が広まりを感じています。

男性育休100%宣言

私たちは、男性社員が育児休業を100%取得できる職場づくりを目指すことを宣言します!男性が育児休業を取ることで、新しいコミュニティへの参加や、価値観のパラダイムシフトが起き、復帰した職場でのイノベーションや、生産性の高い働き方につながると共に、将来の社会保障の担い手確保となりサステナブル社会の実現にも繋がります。

※男性育休100%宣言企業一覧・宣言詳細についてはこちら

平成の時代は「女性活躍推進」と謳い、女性に焦点を当てた施策が実施されてきました。しかし、令和の時代では「男性の家庭活躍」が実現されてこそ、真の女性活躍が進み、さらには持続可能な社会の創造へと繋がっていくのです。その第一歩として、男性育休取得の促進が大きな役割を果たすことは間違いないでしょう。企業も家庭も、変革の時を迎えています。

解説:佐々木希海