2025.07.27
開催レポート
働き方改革シンポジウム2025「人手不足時代に“選ばれ続ける”会社の組織開発手法」開催レポート
働き方改革シンポジウム2025 開催報告
、当社主催の「働き方改革シンポジウム2025~人手不足時代に“選ばれ続ける”会社の組織開発手法~」をオンラインで開催し、全国から2,000名を超える参加申し込みがありました。
政策・現場・経営の3つの視点から、実践的かつ本質的な「選ばれ続ける組織づくり」の手法を紹介しました。参加者の熱意が感じられ、満足度の高いイベントとなりました。
※本記事は2025年5月8日の開催内容をまとめたものです。登壇者の肩書・プロフィール、制度に関する説明は開催当時の情報です。
ゲスト講演1:矢田稚子氏
前内閣総理大臣補佐官(賃金・雇用担当)

矢田氏は、内閣総理大臣補佐官として全国を駆け巡る中で耳にした、「人が足りない」「採用できない」という現場の切実な声を紹介しました。日本経済が長年停滞している背景には、過度な長時間労働や、効率を追求しにくい働き方があると語りました。
講演では、2018年に成立した働き方改革関連法によって、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化、同一労働同一賃金の導入など、働く人を守る制度が整備されてきたことを説明しました。また、改革を支える助成金制度が、業種や地域を問わず、前向きな企業の取り組みを後押ししていると紹介しました。
さらに、勤務間インターバルの義務化やテレワークのさらなる柔軟化、「13日連続勤務の制限」など、当時議論されていた、働く人の心と体を守る仕組みにも言及しました。
矢田氏は、急速な変化の中でこそ「一人ひとりが自分らしく働ける社会」を目指すべきだと訴えました。賃上げの広がりや最低賃金の引き上げ、男女間の賃金格差の是正も、その延長線上にあると説明しました。今こそ働き方を問い直し、希望ある未来をともに描く時だと、力強く語りました。
ゲスト講演2:坂元康彦氏
豊田鉃工株式会社 代表取締役社長

豊田鉃工では、制度の整備にとどまらず「働きがい」に真正面から向き合う取り組みとして、「MYカエル活動」を全社で展開しています。活動名に込められた「変える・早く帰る・振り返る」の3つの“カエル”は、現場が自ら考え、動き、未来を選び取っていくという強いメッセージでもあります。坂元氏は「会社が変えるのではなく、社員一人ひとりが変えていく」という思いを語り、改革の本質は“自分ごと”としての当事者意識にあると強調しました。
モデルチームの1つである本社工場・製造技術課では、安藤隆課長のもと、突発業務の多さに着目し、業務の見える化と連絡フローの整備に挑戦しました。1日平均2.1時間を占めていた突発対応を約8分半にまで削減するという、大きな成果を上げました。改善活動に十分な時間を充てられるようになったことで、現場には達成感と前向きな空気が広がり、チーム全体の雰囲気も変わってきていると紹介しました。
「まずはやってみる。そこから全部が動き出しました」と安藤課長。小さな一歩が現場の意識を変え、やがて組織全体を動かしていく――MYカエル活動は、その変化の兆しを生み出しています。坂元氏は「会社を変えるのは経営層ではなく、社員一人ひとり。やれば変わるという実感が、働きがい向上の原動力になる」とメッセージを送りました。
当社講演:小室淑恵
株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長

小室の講演は、「ご存知ですか?現在の日本の労働力人口は過去最多です。」という問いかけから始まりました。人手不足が叫ばれる一方、時間に制約があっても、働く意欲や能力を持つ人材が労働市場に加わり、労働力人口は増えていると説明しました。
一方、人手不足が深刻化している業界・企業では、「長時間労働が出来て、転勤も厭わない体力ある男性」を無意識に探していると指摘しました。長時間労働を前提とした仕事の進め方が、求める人材像を狭めているという問題です。「こうした働き方のままでは、日本は経済成長できません」という強い危機感を示し、働き方改革の本質と、これからの組織に必要な視点について語りました。
育児・介護・健康・ダイバーシティなどが注目される中、企業には、制度整備に加えて意識と仕組みの両面から変革に踏み出すことが求められています。講演では、当時の勤務間インターバルの義務化や残業時間の公表義務化をめぐる検討、男性の育児休業や介護休業に関する周知・環境整備の義務化などを紹介しました。その背景には、「多様な人材が短時間の勤務でも力を発揮できる社会」への移行が急務だという問題意識があると説明しました。
当社の支援を通じて働き方を大幅に見直した企業では、残業時間の削減、ベースアップ、女性の継続就業、若手の定着率向上といった成果が生まれていることも紹介しました。
変革の鍵となるのは、一人ひとりが「自分こそが変化の担い手である」と気づくことです。社員が主体的に意見を出し合い、業務の見直しや改善に取り組む「カエル会議」のような仕組みが、組織に自律性と対話の文化を育てています。
これからの時代に必要なのは、お互いさまの気持ちで支え合えるチームです。可処分時間を確保し、多様な人が無理なく働き続けられる組織をつくることが、少子化や人手不足といった社会全体の課題を解決する道筋にもなると、小室は呼びかけました。
視聴者の声(一部抜粋)
-
「“突発業務は避けられないもの”と諦めていたが、豊田鉃工の話で思考停止していたことに気づかされた。現場が“自分ごと”として改善を始めれば、経営はもっと本質的な課題に集中できる。経営者自身が旗を振り続ける意義をあらためて感じた。」
50代・男性・経営者(製造業) -
「DE&Iや働きがい改革は、“意識高い系”の話だと思っていたが、実際は仕組みや習慣づくりの話だった。心理的安全性をどう現場で設計していくか、小室さんの話は腹落ちする具体性があり、すぐに自部署で試してみたい内容がいくつもあった。」
40代・男性・管理職(情報通信業) -
「“女性活躍”という言葉への違和感を持っていたが、矢田さんの話から、“全員活躍”への視点の移行が必要だと感じた。制度や施策だけでなく、組織風土や評価観の見直しまで話が及んでいたのが印象的。部下との対話の質を見直したくなった。」
40代・女性・管理職(金融機関) -
「人手不足対策のために制度を整えても、現場で“使われなければ意味がない”ことを痛感。改革の“地に足のついた進め方”は、まさに自社で必要としている情報だった。人事主導ではなく、現場と一緒に走る覚悟を決めた。」
30代・男性・人事担当者(小売業) -
「働き方改革というと“残業削減”のイメージが強かったが、参加して“人が育つ土壌づくり”の話なのだと初めて実感した。制度と文化の両輪をどう動かすか、すごく考えさせられた。見逃し配信会にも社内メンバーを誘って一緒に視聴したい。」
30代・女性・人事担当者(IT系ベンチャー)
見逃し配信会のご案内(開催当時の情報)
以下は2025年の開催当時のご案内です。記載の日程はすでに終了しています。
5月8日当日の登壇内容を視聴できる「見逃し配信会」が、参加無料・要申し込みで、以下の日程で案内されました。講演映像に加え、豊田鉃工を支援した当社コンサルタントによる解説と、参加者からの質問への回答も予定されていました。
- 第1回:~
- 第2回:~
働き方改革シンポジウム2025の詳細ページ(新しいタブで開きます)

本シンポジウムの開催概要
「働き方改革シンポジウム」は、企業・行政・非営利組織を問わず、働き方改革の最新動向と実践事例を毎年春に紹介する場として開催しています。現場と経営のリアルな声を通じて、制度対応にとどまらない本質的な組織変革を後押しすることを目的としています。
2025年は2,000名を超える申し込みがあり、参加者からは「働き方改革が“経営戦略そのもの”であると気づかされた」「現場の改革が腹落ちした」「時間短縮は“目的”ではなく“結果”であることを理解した」といった声が寄せられました。
- 開催日
- 開催形式
- オンライン
- 主催
- 株式会社ワーク・ライフバランス
- 参加申し込み数
- 2,000名超
主な登壇者と講演内容
- 矢田稚子氏(前内閣総理大臣補佐官):賃上げ政策と働き方改革の最新動向
- 坂元康彦氏(豊田鉃工株式会社 代表取締役社長):“突発業務”の見直しと社員幸福度を高める組織改革
- 小室淑恵(株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長):働き方改革・育児介護に関する法改正・DEI・若手育成施策
- 配信会限定:豊田鉃工の担当コンサルタントによる解説・質疑応答
登壇者の紹介
※以下の肩書・プロフィールは開催当時のものです。
矢田稚子氏
前内閣総理大臣補佐官(賃金・雇用担当)

1984年、松下電器産業株式会社に入社。2000年、同社労働組合中央執行委員に就任。その後、パナソニックグループ労働組合連合会の副中央執行委員長、電機連合男女平等政策委員長などを歴任。2016年から2022年まで、民進党、国民民主党で参議院議員を務める。2023年9月、第2次岸田内閣において内閣総理大臣補佐官(賃金・雇用担当)に就任。第1次石破内閣、第2次石破内閣でも、2025年3月まで同職を務める。
2024年4月から「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」の座長を務める。同年11月から「新しい地方経済・生活環境創生本部」に参画し、2025年1月からは「地域働き方・職場改革サポートチーム」の主査を務めるなど、「若者・女性にも選ばれる地方(楽しい地方)」をつくることに取り組む。
坂元康彦氏
豊田鉃工株式会社 代表取締役社長

1983年4月、トヨタ自動車に入社。2012年、同社調達プロジェクト管理部第1PJ室主査。2014年1月、テクノエイト株式会社参与、同年6月に常務取締役、2016年6月に専務取締役に就任。2018年6月、豊田鉃工取締役(FTIC社長)、2019年6月に常務取締役(FTIC社長)、2022年6月に代表取締役(管理部門統括・生産部門統括)を経て、2023年6月より代表取締役社長。
※FTIC:Fukai Toyotetsu Indiana Corp.
小室淑恵
株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長

3,000社以上の企業へのコンサルティング実績を持ち、残業を減らして業績を上げる「働き方改革コンサルティング」の手法に定評がある。安倍内閣の産業競争力会議民間議員、経済産業省の産業構造審議会、文部科学省の中央教育審議会などの委員を歴任。著書に『働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社』(毎日新聞出版)、『6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)、『男性の育休 家族・企業・経済はこう変わる』(共著、PHP新書)など多数。

