ドリームミーティング
「課題・否定」から入る会議は
私たちらしくない!
誰もが自由に未来を語り、
一歩先へと進む・・・それがドリミ
弊社で「ドリームミーティング」(通称ドリミ)を初めて実施したのは会社設立から1年後の2007年。以来、弊社の根幹を成す重要な要素として毎年4回行っています。今回は、先日都内で行った「ドリミ」の様子を振り返りながら、ドリミ誕生のきっかけや実際の進行についてご紹介します。「ドリミ」の手法で会議を実践し成果を出している組織も多いので、ぜひ参考になさってください。
用語解説
ドリームミーティング(ドリミ):全社員が参加し、年4回(3ヵ月に一度)のペースで「夢や未来を語り合う」会議。4回のうち2回は、宿泊を伴い2日間にわたってゼロベースからアイデアを出す場、残りの2回は出てきたアイデアを温めながら具体的に進むためのアクションを考える場として区別。経営者主導ではなく全員が自由に意見を述べ合うのが最大の特徴。
誰がどんな意見を出してもいい。
夢を語り合う、「一歩先」の会議
ドリミは弊社が創業時から毎年続けている会議です。立場も社歴も年齢も全く関係なく、それこそ社長も新しく入った社員もオープンに意見や質問ができる「話しやすさ」を保つことが大きなポイントで、それを実現するためにあらゆる工夫をしています。
先日行った「ドリミ」の様子。この日は都内のホテルに1泊して2日間みっちり対話します。“いつもの会議室”でかしこまって行うより、「場所を変え、気持ちを変える」ことで話しやすくなる効果も。全体で語る時間があるほか、数人のグループで意見を深め合うのも特徴のひとつ。
ドリミの話を聞いたクライアントから「どうやって進行するの? うちもやってみたい!」という問い合わせをいただいて、弊社スタッフがファシリテーターとしてドリミを実践した例もありました。
実際のところ、ドリミを通じて編み出した会議手法は弊社内ではすでに当然のものとして定着しているため、お客様の働き方改革を進める際にも、ことさら「ドリミを実施しましょう」と明言するまでもなく、同様のメソッドを自然に取り入れて進行しています。
たとえば、
- 付箋を使い、誰もが気軽に意見を出せるようにする
- 上の立場の人が一方的に発言しない
- 誰かの発言や質問の内容を決して否定しない
など「話しやすい環境」を整えた上で、「問題の本質」「目指したいゴール」を探っていくのです。
弊社では、通常の会議でもそうした心理的安全性を常に確保しながら課題の解決に取り組んでいますが、ドリミは「今直面している課題」のさらに先、さらに大局的な「未来の夢」を見据えて行うものなのです。
話しやすさを確保しながら、
明確なゴールへとたどり着く!
さまざまな特徴があるドリミ。ここでは「宿泊を伴うドリミ」のメリットとポイントを挙げてみます。
ドリミの冒頭では全社員が顔を合わせて今回のテーマやアジェンダを確認。司会進行役は持ち回りで、「このテーマならこの人だね!」とフレキシブルに決めている。
非日常的な空間に宿泊して行うドリミ
- 年4回開催のうち2回は、ホテルに一泊して行う。都内で待ち合わせをして現地に向かうため「遠足モード」で楽しい気持ちに。無意識のうちにできてしまいがちな「気持ちの足かせ」を取り外し、誰もが気楽に発言や質問ができる雰囲気づくりを大切にしている。
- ドリミでは、「今これが気になるから解決しよう」「こんな問題や失敗があったけどどうする?」という“課題・否定ありき”の進め方ではなく、何も規制のない状況から「これから数年間、何をしていきたい?」と夢を語る。
- 慰安旅行ではないので目的地に着いたらすぐに会議スタート。適度な休憩をはさみながら進行し、夜は「昔はこんなことがあったね」と過去の道のりを雑談するなどし、入社したての人でも会社の歴史が共有できるようにする。
「ドリミ」だからこそ生まれる、
具体的な成果の数々
弊社で取り組む多くのことが「ドリミ」をきっかけにして生まれ、成長しています。
たとえば「養成講座」。最初は、「講演活動だけではお会いできない方々も多い→そういう方たちにも何かメッセージを届けたい→でも、私たちだけでは限界がある」という発想からスタートし、ITを活用する? 社員を増やす? などあらゆる可能性をみんなで探っていきました。そうして「各地に“仲間”を増やそうよ!」という私たちらしい結論にたどり着いて、仲間を育てるための「養成講座」の開発につながりました。
「朝メール.com」の開発も、「講演・研修」の中に「介護と仕事を両立させる」というテーマを新設したのもしかり。誰かが思い描く「こうしたい!」という夢を共有し、語り合うことで、その夢は形になっていくのです。「こんな“夢みたいな話”、会議で発言なんてできない」と思わせてしまったらそこで終わり。夢みたいな話にこそ、次のサービスへのヒントが詰まっています。
ドリームミーティングを
スタートさせたきっかけ
弊社に欠かせない「ドリミ」はどのようにしてスタートしたのでしょうか。考案した工藤真由美に振り返ってもらいました。
『創業直後の弊社は、小室淑恵、大塚万紀子、私の3人だけ。いつでも会話できる環境だったので「会議のない会社」でした。小室と大塚は付き合いも長く、最年少で入社した私は「確かにいつでもしゃべれるけど自分から改まって会社のことを話すのはやっぱり難しい」と感じていました。
「定例会議やらないんですか?」と小室に聞いたら、“いいね、やろうよ、企画して!”と普通に返されて(笑)。以前の会社では大人数のひとりとして“招集される”立場の新人だったので、 まさか自分が会議を主催するなんて思ってもいなくて。小室のその言葉を聞き“そうか!やっていいんだ!”と思いました。
とはいえ実際にどう進行すればいいのか見当もつかず、いろいろリサーチする中で、いわゆる「かたい雰囲気」で進めていく会議以外に、アイデアを出やすくする「おもしろい会議」の進め方もあるのだと発見しました。とくに私が「やりやすそう」と感じたのは「おもしろい会議」の部類。中でも、書籍『秘伝すごい会議』に載っていた、付箋を使って自由に意見を出すスタイルに興味を惹かれました。
ともかくやってみよう、と第1回目のドリームミーティングを開催したのが創業翌年の2007年。メンバーは3人に加え、外部から1人を招いて合計4人。ともすれば経営会議になりそうな場面ですが、それは別の機会にやっているので、“これは夢をふくらませる会議です”と最初に確認してから進めました。
結果、そのドリミは大成功。あまりに楽しくて、小室が保育園へのお迎え時間を忘れそうになったほど(笑)。「これはいいね! 定期的にやろう」と盛り上がって、「3ヵ月に一度くらいはやりたい」「時には泊まりもいいよね」・・・と今のスタイルを確立していった感じです。
初回は「課題をまず見つけ、それを解決していく」という『秘伝すごい会議』のやり方にのっとって進行してみました。非常にうまくいったのですが、最後に振り返ってみたときに「課題から入るのは私たちらしくなかったね。否定しないというのも大切な要素だよね」とも感じたんです。
2回目以降は「課題・否定から入らない。これからどうしたいか、何をしたいかを楽しく考える!」という、今も続くやり方になりました。
社員としては、最初のうちはどうしても「小室さんの方針はどうなんだろう?」と経営者の考えを聞きたくなるんですよね。でも「そうじゃないよ、全部みんなで考えるんだよ」というのが弊社です。社員を増やすかどうか、どんな人材がほしいか、といった採用計画もトップが決めるのではなく全員で決めています。
新しく入った方は戸惑うことも多いはずですが、ドリミだけでなくすべての“弊社らしさ”は「こうやって進めたらいい」という大枠がある中での「自由・自己責任」なので、自然となじんでいけると思います。
私たちの会社にとってドリミはひとつの根幹。とても重要な意味を持っています。弊社だけでなく、すべての組織にとって、「話しやすい空気を保って夢を語る。問題の本質を捉えてサスティナブルに解決する」ことの重要性は同じではないでしょうか。私たちが行っていることが、少しでも参考になれば幸いです』
一人ひとりが自由に「夢」を語り、全社員にシェアして、実現できる最良の形を探していく。私たちの「ドリミ」は会社の未来、みんなの未来へとつながっています。
撮影/SHIge KIDOUE
文/山根かおり