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ワークショップやランチ会議で職員間のコミュニケーションが活発に!意見を出し合いながら市役所を変えていく組織風土醸成へ!

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東京・府中市役所では、令和5年度、男女共同参画推進本部(本部長:高野律雄市長)のもと、「働きやすい職場づくり推進プロジェクトチーム」を設置。弊社コンサルタントの二瓶美紀子がアドバイザーとして参画し、「職員が個々の能力を発揮できる働きやすい職場づくり」を推進してきました。職員の負担感の大きい全庁的課題への対応を話し合い、各部局ごとの取組みも開始しました。さらに、児童青少年課と学校施設課をモデル課に選定し、それぞれの課題を抽出した上で、改善に向けた取組みを行ってきました。
3月27日に実施された本部会議では、これら取組みの成果発表が行われました。本稿では、その内容をお伝えします。

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全庁的課題解決の取組み

令和5年度働きやすい職場づくり推進プロジェクトチームでは、(1)負担感が大きい業務の調査の実施、(2)モデル課の取組みから見えた課題への対応、の2点に取り組みました。

(1)負担感が大きい業務への取組み

令和4年度に実施した男女共同参画職員アンケート・アセスメントの結果に基づき、上位3項目についての改善策を検討しました。

1位 クレーム対応……クレーム対応は、多くの部署で最も「負担感が大きい」業務になっていました。中でも、「ハードクレーム」などへの対応は、クレーム対応のスキル向上が重要であり、研修を行う予定です。同時に、対応時間を決め、個人ではなく組織で対応することが大変重要で、市民協働推進部で実施したクレーム対応の取組みを参考事例として、全庁へ情報共有していきます。

2位 資料づくり……新庁舎への移転を契機にデジタル環境が改善し、microsoft365等のデジタルツールの活用が進みました。庁議や本部会議もタブレットを用い、ペーパーレスで行っています。また、teams等を使ったペーパーレス会議の活用も進んでいます。一方、「自席ではペーパーレス会議がやりにくく、場所の整備等が必要である」「資料作りに集中できる環境の整備が必要」「資料自体の削減が必要」という課題については、在宅勤務や集中タイムを活用するなどモデル部署で効果が高かった施策を全庁展開していくことも検討します。

3位 研修……オンライン研修、オンデマンド配信形式の研修等を一部導入しました。ただ、対面でのディスカッションが重要な場合もあり、全てオンラインにするのではなく、実施効果を見込んだ取組みを検討していきます。
また、研修のアンケートの提出等が煩雑という意見もあり、Logoフォーム等で簡便に回答できるよう改善しました。

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(2)モデル課の取組みから見えた課題への対応

モデル課の取組みから、業務時間外における電話対応が業務を非効率化しているとの課題が見えたため、プロジェクトチームから本部会へ「全庁の電話に業務終了アナウンス機能を導入してはどうか」という提案をし、全部署を対象に「業務終了アナウンス機能の導入」に関する調査を実施しました。
調査の結果、「緊急対応等で外線電話を受ける必要がある」という課が複数あったため、「業務終了アナウンス機能の導入」の提案は取り下げました。
提案を取り下げたもう1つの理由として、モデル課の取組みにおいて、外施設との業務時間外の電話連絡は、緊急案件を除き、『質問シート』でやりとりをするなどの工夫をすることで、業務時間外の電話はほぼ受けることが無くなり、さらには、業務時間内の電話も減少し、業務の効率化が図れていることをあげました。

最終的には、このような成功事例を横展開しつつ、課ごとに業務時間外の電話対応についてルールを決めることと推進本部で決定しました

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モデル部署の取組み 報告

府中市役所では、令和4年度から試験的にモデル課を募り、働きやすい職場づくりの取組みを進めてきました。令和5年度のモデル課となった児童青少年課と学校施設課の取組みについて報告します。

◎モデル課の取組み①「児童青少年課」

【課題】
・経験年数の浅い職員が多く、相談できる職員がいない。
・コロナ禍の影響で、事業が実施できない期間があり、経験のある職員がいない。
・それぞれの担当者が独自にデータを管理しており、データ検索に多くの時間を費やしている。
・学童クラブからの問い合わせが17時以降になることが多く、業務時間外の電話対応が多い。
・全員が業務に忙殺され、お互いにサポートし合えない環境がある

【取組み・成果】
・学童クラブからの業務時間外の電話は原則NGとし、デジタル上で「相談カード」を作成することで、問い合わせと回答を時間内に行うこととしました。時間外の外線電話もほぼゼロとなりました。
・問い合わせの多い内容をFAQ化して共有した他、市民団体から提出を受ける各種名簿を定型化し、さらにLogoフォームを活用することで、業務作業を効率化しました。
・本庁舎の移転を契機に、紙ベースで共有していた会議の議事録を全てデータ化し、また課内のデータの管理を統一ルール化したことで、職員のデータ検索に要する時間を削減することができました。

これらの業務効率化により超過勤務時間が約40%減少し、情報共有がし易くなったことで、課題を抱え込まずに相談できる雰囲気となりました。
また、月1回開催される全体会議後に、指導員間で事務作業の進め方などを共有する時間を設けたことで、業務レベルの差が解消されました。

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◎モデル課の取組み②学校施設課

【課題】学校施設の老朽化対策を開始した令和元年度以降、各職員の業務負担が増大し、庁内各課の中でも超過勤務量が多い課となっていました。このため、心身に支障をきたす職員が発生し、残った職員の負担が増大したため、悪循環となっていました。

【目標】①残業の削減、②データの整理、③コミュニケーションを取ることにより笑顔あふれる職場環境をつくる

【取組み】
①効率の良い会議運営として、次第の作成、アジェンダの確認、所要時間の提示、議事録をその場で打ち込みながら作成するなどを行い、時間短縮に努めました。また、オンラインによる会議への参加、チャットでの議事録の共有、teamsを使った朝礼なども行っています。伝言・報告の時間削減でもチャットを活用して、いつでも即時に離席をせず簡単に送る取組みをしています。また、事務に集中したいという声も多くあったことから、半日単位で窓口当番を決めて、窓口近くの席で執務し、残りの半分の時間は集中できるスペースで仕事をするという取組みをしています。

②図面の電子化、個人データの整理を行いました。

③コミュニケーションの活性化として、「ヒルトーーク」を開催。週に2回、昼休みに雑談をしながら食事を取るという取組みです。職員からは「参加して楽しかった」「新庁舎に移ったことで業務時間中の会話は減ったが、その分を補える」「先輩や上司との関わり方がわかるようになった」といった声が挙がっています。
全体的に、職員の顔が以前よりかなり明るくなりました。一方で、「開催頻度が多すぎると参加しなくてもいいという気持ちになる」「お弁当を持ってこないと参加しづらい」「途中参加や退席がしにくい」「参加できなかった人とのコミュニケーションが課題」という意見もありました。今後に向けては、月に1回、みんなで出前をとって食事を取るとか、広いスペースでふらっと参加できるような取組みをしていければと考えています。

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■アドバイザーのコメント(二瓶美紀子)

モデル課の取組みは、職員の皆さんが自分たちのありたい姿を自分たちで決め、そこに向かって1つずつ課題をテーブルに上げ、解決策を自分たちで考えて取り組んだものです。1つ1つのアクションの実施は工数がかかりますが、忙しい中でも全員で取り組んだことで、その後の仕事が大きく変わっていきました。学童クラブとの業務の在り方を見直し、双方にとって仕事がしやすくなった児童青少年課の事例は、外部団体との関係で課題を感じている他の部局も参考にしていただければと思います。
学校施設課の取組みは、推進リーダーが「自分たちが楽しんでやっていく」ということを大事に進めていたことが、職員の顔が明るくなったという目に見える結果につながりました。働き方改革というと少しでも効率的に無駄を省くことに目を向けがちですが、コミュニケーションの量を増やすことで成果につなげる、楽しみながらやっていくというところを参考にしていただければと思います。
また、モデル課の取組みを承認し、成果を評価することで、全部署で同じように本気で取り組んでいくことを促していただければと思います。

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各部局による取組みの発表

12月に実施した本部員へのワークショップを受け、各部で働きやすい職場づくりについての取組みを行いました。

◎政策経営部

【課題】R5年度はテレワークの環境を試験的に整えたものの、部署によって利用状況にバラつきがありました。その理由として挙がったのが、「担当業務や個人の環境によって状況やニーズが異なる」「利用したい職員がいても、誰も利用したことがない中で自分だけ利用を申し出る心理的なハードルがある」「各人がバラバラに利用すると業務に支障をきたす恐れがある」です。
【取組み】テレワーク実施をノルマにするのでなく、希望する人が課の業務に支障をきたすことなく利用できる環境を作るため、「各課でテレワーク取得のルールをつくる」「部長職が率先して取得することで意識改革を図る」を実施しました。
【成果等】利用者から「デスクワークを効率的に処理できるため、スケジュールが立てやすくなった」などの声があがっています。

◎総務管理部

【課題】各課に共通して、有給休暇が取得しづらい点を課題として捉えました。
【取組み】①課ごとに有給休暇取得強化月間を定めました。各課で繁忙時期が異なるため、目標は各課で設定し、課全体で有給休暇の取得推進に努めました。②年間の有給休暇取得目標日数を定め、年間の取得目標を掲げ、計画的な取得を推進しました。③管理職も積極的に有給を取得し、休みやすい課の雰囲気づくりに取り組みました。 成果を図る指標は「職員全員が有給休暇15日以上取得」としました。
【成果等】さらなる業務の効率化を図り、休みやすい職場環境づくりを目指したいと考えています。

◎市民協働推進部

【課題】各課共通の課題として、クレーム対応の負担感があり、その軽減に取り組むこととしました。
【取組み】職員への聞き取りをもとにクレームを不当要求やの6つに分類し、類型ごとに対応策を検討しました。
【成果等】クレーム対応は、組織全体で対応する必要があること、負担感の放置は職員の意欲を失わせ、市民サービスの低下につながると感じました。
 職員側はクレームの時系列に応じた対応力の向上が求められ、また、市民側にも対応が難しい理由等についてしてもらう必要があると感じました。今後は、部としてもマニュアル作りなどを検討していきたいと考えています。

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◎市民部

【課題】職員アンケートの結果からも、クレームや窓口対応による負担感を抱える職員が多く見受けられ、窓口混雑、業務繁忙が住民異動の多い3月から4月に始まり、新年度に切り替わってからも来庁者や電話の問い合わせが急増します。窓口や電話対応が中心となる業務の中、その他の事務作業の中断を繰り返すことによる職員のストレスとインシデントの発生にも注意が必要となります。
【取組み】①窓口の混雑緩和、②ヒューマンエラーの状況分析と改善を図り、インシデント防止に努める、③日頃から職員コミュニケーション、連携強化を図り、職場環境改善を促進する、の3点を目標に掲げました。 レイアウト変更による動線確保を通じた混雑緩和、同時に複数の業務をこなさない、クレームを複数で対応するなどの取組みを実行中です。
【成果等】職員が成果を感じられるよう、定期的に確認検証を行い、働きやすい職場づくりの取組み拡充にも着手していきたいと考えています。

◎生活環境部

【取組み】部内会議で部長として「職員が働きやすい理想の職場にしたい」という思いを伝えることから始めました。本部会議ワークショップで視聴した動画を管理職全員で視聴し、働き方改革の必要性の共通認識を図り、職員からの意見聴取の方法や会議の進め方について各課長が考えを述べ、協議した後に今後の進め方を決定しました。
【成果等】各課が働き方改革についてのカエル会議や研修などを実施し、課によっては意見交換会を9回も実施するなど、全5課で16回、92人がすでに参加しています。それぞれの会議では、働きやすい職場にするため自由な雰囲気で活発に意見交換をしており、今後もより良い職場環境構築のために継続的に取り組みます。

◎文化スポーツ部

【課題】 職員アンケートにより、クレーム対応、会議、外部との打ち合わせ、現場対応に負担を感じていることが可視化されたことを踏まえ、部内で情報共有し、管理職を含めた職員間で業務の負担改善について話し合い、対策を実践することにしました。会議や窓口対応での業務の滞りや、土日、夜間の業務による負担、業務の属人化が課題として挙がりました。
【取組み】オンライン会議、在宅勤務や時差出勤の活用、業務の最適化や業務の進捗の情報共有などを行っています。
【成果等】各課の超過勤務の縮減や精神的な負担軽減を図ることとしており、今後も状況を確認していきます。

◎福祉保健部

【課題】アンケート調査から、クレーム対応について負担を感じている職員が多いとわかりました。
【取組み】職場全体で、「時間外は事務処理に集中する時間とする」「ハードクレームは上司や同僚へ常時報告する」といった決まり事を共有する取組みを進めました。
【成果等】負担軽減と作業の改善に一定の効果があったと判断しています。さらに働きやすい環境づくりができればと考えています。

◎子ども家庭部

【取組み】部内で保育士、管理職を含むすべての管理職で会議を行い、アンケートの結果などをもとに、各課の課題を洗い出しました。その後、課によって事情が大きく異なり、課題も異なるため、課ごとに課題を改めて整理し、それぞれ取組みを行いました。
【成果等】今後は、管理職が把握している以外に、係単位、グループ単位で小さな課題を整理する必要があると感じており、月に1〜2回程度、短時間でも話し合いをする機会を作ろうと考えています。モデル課である児童青少年課の取組みについては、部内で研修会を開催し、共有しながらそれぞれの課の参考にしていければと考えています。

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◎都市整備部・まちづくり拠点整備推進本部

【課題】職員の離職などによって技術職員が不足し、技術力の向上が図られない状況がありました。
【取組み】令和3年度に部独自で「誰もが働きやすい職場づくり宣言」を行い、「魅力ある職場が魅力あるまちをつくる」をテーマに、「働きやすい職場環境の構築」「技術職の確保と技術の継承」という目標を定め、取組みを進めています。宣言は、年度当初に各課で課長が継続して発信しています。
【成果等】より働きやすい職場づくりの取組についても推進を図っています。

◎ボートレース企業局

【課題】勤務地が本庁から離れた場所にあり、打ち合わせや会議などでは移動時間が発生し、超過勤務につながっていました。
【取組み】①本庁での簡易的な打ち合わせなどは、なるべくリモート会議で実施する。②会議や研修等についても主催する主管課にリモートでの参加ができないかを打診してみる。会議等をリモートにすることで移動時間を削減し、超過勤務時間をすることのないように取組んでいます。
【成果等】移動時間が減ったことで超勤時間が若干減りました。副次的に、出張旅費の負担も減るなど、一定の効果があったと捉えています。

◎会計課

【課題】職員アンケートの結果から、クレーム対応と資料の作成負担が課題に挙がりました。内容の分析をしたところ、クレーム対応については「伝票審査における職員間のやり取りの負担感」、資料作成については「例月出納検査などでの資料の作成負担」が大きいことがわかりました。
【取組み】DX化がカギとなることに着目し、情報戦略課と外部事業者を交えての情報交換を行い、将来的に請求の電子化による伝票誤りの未然防止などを進めていくことになりました。資料作成についても、自動化できる仕組みを検討しています。
【成果等】令和5年度中に電子化を構築していく上での知見を得たので、今後取り組んでいきたいと考えています。

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◎選挙管理委員会事務局

【課題】職員がミスなく集中して業務を行うために、職場全体で協力し、業務の負担感を軽減する必要がある。
【取組み】ローテーション等を実施して計画的に休暇を取得することとしました。令和5年度は、新庁舎移転後初の選挙でスムーズな業務が行えるよう、各種の取組みを行いました。担当ごとではなく、全員で課題を洗い出し、いつまで何をするかを見える化して、他の職員が今どのように動いているのかを把握し、相互フォローを実施し、職員の業務負担感の低減に努めました。

◎議会事務局

【課題】①事務局や各課が議員に通知または情報提供する際はほぼ紙ベースで用意しており、印刷、持参、投函する手間が相当かかっていました。②議会月とその直前の一定期間は会議や資料の作成等が集中するため、超過勤務が多くあり、有給休暇の取得が躊躇される意識がありました。
【取組み】①ペーパーレス会議システムを導入。事務局や各課が通知または情報提供する際に紙媒体を使用しないよう、事務局内でさらに意識的に取り組むとともに、各課から通知文書を持参したいと申し出があった場合は、電子データで提供するよう積極的に呼びかけました。②各自で業務内容を精査し、超過勤務縮減に取り組むとともに、業務に差し支えない日・時間帯に有給休暇取得を試みました。

【成果等】①紙媒体を使用することがほとんどなくなり、印刷、帳合等の作業負担も大きく低減しました。②2月および3月の1人当たりの有給休暇取得日数は、令和5年3.1日、令和6年2.55日とやや減少しましたが、1人当たり超過勤務時間は、32.6時間から15.7時間へと大幅に減少しました。夕方以降の時間が有効に活用され、ワーク・ライフ・バランスが一定程度実現できたと評価しています。

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■アドバイザーのコメント(二瓶美紀子)

今回の企画では、部局長が本部会議で行われたワークショップの内容をそれぞれの部に持ち帰り、各部局の中で取組みを進めていただきました。2カ月で成果と言えるような変化を生み出すのは簡単ではないと考えていましたが、ご報告の内容からは、部長職が本気を伝えると各課が動き、部の中が本当に変わっていくことが実感できました。取組みを率先する本部員の皆さんは府中市にとっての宝ですので、これからも各部局で取組みを続けていただければと思います。

現場で取り組むにあたっては、難しさがあったかもしれませんし、これからも困難に直面する機会が増えるのではないかと思います。そこでお伝えしたいポイントが2つあります。
1点目は、真の課題から解決策を考えるということです。例えば有給休暇が取得できていない場合、なぜ休めないのか要因を分析することが必要です。
助け合える関係性がないのであれば、日頃からのコミュニケーションの向上を図ることが必要で、付箋でお互いに感謝し合うところから始めるのもおすすめです。また、スケジュール・業務を見える化することで、お互いに誰が何をしているかがわかると、負担感が減って助け合いやすくなります。「休んだ後が大変なので休みたくない」というときは、副担当制を導入したりマニュアルを整備したりして、他の人でもできる仕事を増やすと休みやすくなっていきます。
また、業務の配分に偏りがあって一定の人が休暇を取れていない状況もあると思います。これについては業務の平準化が必要であり、そのためには育成することを評価することが不可欠です。特定の人しかできない仕事を、もう1人ができるように育てることが管理職の仕事になります。そこで役立つのが、誰がどういうスキルを持っているのかを見える化したスキルマップです。

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最後に「したいことがないので、休みたくない」という人もいます。これについては、まずしっかり休ませるとやりたいことが見えてきます。人間は疲れ切った状態では何もしたくなくなります。しっかり休んで遊んだ後に初めてモチベーションも上がって、勉強してみようかなという気になります。したいことがないと言っている人は、まず強制的に休ませて英気を養ってもらいましょう。

もう1つのポイントは、今取り組んでいるものが終わったら終わりではないということです。働きやすい職場づくりの種はいっぱい落ちていて、それをいかにテーブルに上げられるが重要です。職員のアンケートにも、今回は取りあげなかった課題、改善のヒントがまだたくさん残っています。働きやすい職場づくりは、より良い仕事をしていくための業務の一環として取り組み続けることが必要です。

本部会議のワークショップで「府中市の目指したい職員像」を考えた時に、みなさんの中から出てきた意見の中で一番大きかったのが「市民に寄り添い、役立つ」という目標でした。「これは本当に必要なのか。本当に市民のために役立つ時間なのか」という観点から、自分と周りの業務を見直してみてください。業務の中には慣習として残っていて、当たり前過ぎて気づけないことがたくさんあります。そこに対して、管理職の視点から「もうそれは作らなくていいよ」「これは市民のためになっているの?」と声がけをしていくことも必要です。ぜひみなさんの目から業務を見直していき、課題の芽を1つずつ潰していっていただければと思います。

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■本部長コメント

働きやすい職場づくりのために色々なご提案をいただいた皆様方に、心から厚く御礼申し上げます。次年度はいかに超過勤務をなくすか、いかに働きやすく離職しない職場であり続けるかを意識しながら取り組んでいきたいと思います。そのためには、ありとあらゆる策が必要です。「これは本当に必要なの?」と思うことを改善しながら大胆に変化をしていきましょう。

高野市長インタビュー

男女共同参画推進法部長として働きやすい職場づくりを推進してこられた高野律雄市長に、アドバイザーを務めた弊社コンサルタント二瓶美紀子がインタビューを行い、これまでの取組みを振り返っていただくとともに、今後の課題や期待についてもお伺いしました。

◎働きやすい職場づくりに向け、さまざまなアクションを実施

二瓶:府中市では令和5年度、男女共同参画推進本部会議のもとにプロジェクトチームを設置し、アンケートを通じて職員の業務の負担感を見える化して解決を図るという取組みを進めてこられました。職員アンケートでは、非常にたくさんの生の声が届いたと思います。高野市長からご覧になって、どうお感じになりましたか。

高野:まず、こういった生の声を聞く機会を設けられたことは、私たちにとっても管理職にとっても良かったと思います。もしこの取組みをしていなかったら、なかなか職員が意見を言う機会がなかったのではないかと思います。職員の声を通じて、これまで当たり前にやってきたことが負担になっていたことや、職場によって負担に感じる内容が違うという事実が明らかになりました。

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二瓶:本部会議では、全庁的に共通する課題を3つ選んで取り組みました。同時に、課題解決に向けて話し合う文化をつくるため、市長や部長職が一堂に会したワークショップを行うなど、率直に意見を出し合いながら市役所を変えていくチャレンジをしていただきました。そこでは、府中市の目指したい職員像について、短時間で多くの意見が出されましたね。

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■府中市役所として目指したい働き方・職員像

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高野:普段はどうしても肩書きや地位を意識しながら仕事をしていますが、ワークショップではお互いの人間性を理解し、個人対個人で話し合うことができました。私にとっても非常に新鮮な時間だったと思います。

二瓶:ワークショップでは、市長とか部長といった肩書きを外していただきたいと思い、私もあえて「高野さん」とお呼びしたり、アイスブレイクや付箋を使って意見を出すなどの工夫をしていました。

高野:二瓶さんには、話しやすい雰囲気を作っていただきました。ありがとうございます。

二瓶:ワークショップで出てきた意見を、部長さんたちが各部に持ち帰り、部下たちに自分の言葉で「これから働きやすい職場づくりをやっていく」という必要性と期待を伝えていただきました。そして、昨年12月からの3か月間で部ごとに行った取組みを、先日の本部会議で発表していただきました。お聞きになっていかがでしたか。

高野:みんな真剣に取り組んだのを感じました。1人ひとりが一生懸命に話している姿を見て熱意が伝わってきましたね。

二瓶:「部長が取組みの必要性と期待を本気で伝えると、部全体がここまで動くんだ」と感じられる取組みがたくさんありました。本部会議を12月に開催した後、2月にフォローアップワークショップを行ったのですが、特にそこに参加された部では、課長を中心に課ごとに取組みを進め、なかにはカエル会議という働き方を見直す会議を9回も実施した部署がありました。職員が自発的に考え行動を起こしていくために、部長たちがどんな働きかけをしたのか、私ももっと知りたいと思うぐらい大きな成果が出ていたと思います。

◎「当たり前」だと思っていた仕事のやり方が変わった

二瓶:本部会議の中では、モデル課である児童青少年課と学校施設課の取組み発表もありました。児童青少年課では、外部からの電話対応についてさまざまな工夫を行い、学童クラブからの問い合わせ電話が激減し、時間外の電話対応がほぼゼロになったという成果が出ています。

高野:学童クラブは市役所の外にある組織なので、離れているからこそ古くからの慣習が残っていたのではないかと思います。業務を引き継ぐたびに、慣習を守ることに価値を置いてしまったきらいがあります。

本来は預かっている、通ってくる子どもたちに安全に過ごしてもらい、保護者に何か変化があったら伝えるなど、子どもの健全な成長を促していくことが一番大事なのに、引き継いできたことを守ろうとするスタンスが大きな弊害になっていたのかもしれません。それまでは時間外の電話を受けることに誰も違和感を持たなかったわけですが、働き方を見直す中で、それは本来の目的からズレてしまっているのではと気づくことが出来たと思います。その意味で、非常に良い取組みでした。

二瓶:時間外の電話を取らないと、学童クラブとの関係性を悪化させたり、緊急時の対応やサービスの質の低下を懸念する声もありましたが、児童青少年課では「相談カード」を作り、ポイントをまとめて相談してもらうための工夫をすることで、双方にとって業務をしやすい改善をされていました。また、そもそもすべての学童が市役所に問い合わせする必要はありません。学童クラブ同士が情報共有をすれば、市役所への問い合わせは減り、現場はより仕事がしやすくなると考え、学童同士の関係性を促すアクションもとっていました。どの自治体でも子ども家庭部の業務は毎年増えていっている中、本当に知恵を絞って頑張っていただいたと思います。私たちは官民合わせて3000社近くの働き方改革を見てきていますが、トップレベルの素晴らしい成果を出してくださいました。

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高野:形にとらわれると、それを打破する勇気はなかなか生まれてきません。特に働き方においては人間関係が非常に大事なので、そこを大きく変えるきっかけを与えていただいたのだと思います。

二瓶:おっしゃる通りだと思います。どうしてこれだけのアイディアが出てきたかというと、本部会議でのワークショップのような対話型の話し合いを重ね、安心して自分のアイディアを出せる、困っていることを言い出せる関係性を築けたからです。人間関係が良くなってきたからこそ、今までは変えようと思わなかったことに対して、変えてみようと声を上げる人が出てきたのです。

高野:今までは人間関係の摩擦を回避するために前例を踏襲してきた部分もあったのでしょうが、そこが大きく変わったと思います。

二瓶:児童青少年課では学童クラブとの関係性に取り組みましたが、市役所の中には外郭団体や任意団体など外部との関係を持っている部署がたくさんあります。ます。今後、外部の組織も巻き込んで「働きやすい職場づくり」を実現していく上で、大きなモデルケースになったと思います。

もう一つの学校施設課は、「自分たちが楽しく取り組む」というところに力点を置いてくださいました。私たちが「カエル会議」と呼んでいる会議を「ヒルトーーク」と名づけ、ランチどきにみんなで集まってしゃべるという取組みにチャレンジしていただきました。

これは簡単そうに見えますが、コミュニケーションの時間をしっかりとることで、新しく入ってきた職員が話しやすくなったり、お互いを知ることで関係性が良くなったりします。実際に、「先輩や上司との関わり方がわかるようになった」といった声が挙がり、職員の顔が以前よりかなり明るくなり、業務に好影響が出て、残業削減にもつながっています。

高野:毎日ランチをとるわけなので、たまにみんなで集まり、仕事や仕事以外の話をする時間を共有することは非常に良いことだと思います。前向きに参加した職員が多いと聞き、「うちの職員はみんないい人なんだな」と思いました。

◎女性活躍実現のために必要なもの

二瓶:市長は女性活躍推進を公約に掲げられています。女性活躍推進において重要なポイントはどこにあるとお考えでしょうか。

高野:根本にあるのは、男性も女性も働きがいを持てる職場でありたいという思いです。そのことを皆さんにも考えていただきたいと考え、女性活躍推進を公約に掲げました。これまでは結婚・出産・子育てといった人生のステージが変わるタイミングで、女性が仕事をあきらめてしまう慣習が残っていたと思います。大事なのは、女性が職場で自分の持てる能力を発揮し続けられる環境をつくっていくことです。それをしないまま、女性をいきなり重要なポストにつけて「さあ活躍してください」というのは無理な話だと思います。

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現在は管理職にどんどん女性が増えつつありますし、働き方を変えることについて意見を発信できる方々が増えています。素晴らしいことだと思っています。

二瓶:昨年度のアンケートでは、実は昇任意欲に男女差がなかったという結果も出ていました。今は男性の育休取得にも力を入れていただいていますが、そのあたりはいかがでしょうか。

高野:当然、育児は分担すべきですし、男性も育休を取ってほしいと思います。ただ、育休を取るためには周りの理解や協力が必要です。これまで取り組んできた働きやすい職場づくりを発展させて、業務を効率化するだけではなく、お互いに助け合ってチームで生産性を高めていく取組みにしていければと思います。

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◎今年度以降の取組みのポイント

二瓶:今年度以降、この取組みがさらに加速していくことを期待していますが、市長はどんなことを期待されているのか、またどのように進めようとお考えなのか、お聞かせください。

高野:今年度は部長職のメンバーが前年度と同じなので、今後もこの取組みを継続して考えていけると思います。もちろん私の方からも、しっかりと部内で進めているかどうかを定期的に確認したいと考えています。若い職員の意見をどんどん引き出し、その意見が何らかの形で働き方を変えることや市の事業につながっていければ、職員のやる気も出てきますし、実力にもなっていきます。職員の成長や新しい事業につながる可能性が大いにあるので、継続することが大事だと思います。

二瓶:今後は成果が出たアクションを横展開し、いかに庁内統一ルールにしていけるかが課題になってくると考えられます。また、庁議や部長級の会議、あるいは課ごとの会議の中で、本当に思っていることを言い合えるようなスタイルを追求していければよいと思います。

高野:本部会議も小グループに分けて議論するなど、いろんな会議の進め方があっていいと思います。それから、これまでもいろいろな課題が抽出され、意見も吸い上げられてきているので、解決する場をいくつも持てるとよいですね。

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二瓶:本当にその通りだと思います。アンケートでは職員の課題感と解決のアイディアが出てきたので、これからその声を受けた取組みの成果を職員に返していく義務があると思います。部署ごとに取り組んでいくのももちろんですし、有志の人で集まるとか、部長層で集まって部長層でしかできない課題解決に取り組んでいただくなど、複数のチャンネルで取り組まれるとよいですね。

高野:確かに部だけで取り組むと発想が硬直化する可能性もあるので、部署横断で取り組めるといいかもしれません。

二瓶:部署横断の取組み、素晴らしいですね。部長層が行政経営の視点から、他の部署に対しても、客観的な視点から意見を言い合えるようになると、政策が研ぎ澄まされると思います。府中市のこれからのチャレンジに注目していますし、またご一緒に取り組める機会をたのしみにしています。   本日はありがとうございました。

 

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