Case Study

株式会社昭和コーポレーション様

現場のリクエストをもとに組織横断での改革を推進
離職率低下と生産性向上の実現を目指す

株式会社昭和コーポレーション様インタビュー

建築設備業界において「商社」「専門工事会社」「メーカー」という3つの業態を持ち、管工機材の販売、熱絶縁工事の施工管理、配管支持金具の製造を行う株式会社昭和コーポレーション。同社では働き方改革コンサルティングを導入し、カエル会議を通じて数々の新しいアクションを起こしてきました。これまでの成果と今後の展望などについて、村井孝文さん(エンジニアリング事業本部工事統括部副長)と塩本雄基さん(エンジニアリング事業本部工事統括部大阪事業所担当副長)にお話を伺いました。(聞き手:株式会社ワーク・ライフバランス浜田紗織(以下、WLB浜田)、田村優実(以下、WLB田村))


最終報告会以降の取り組みについて

WLB浜田:まずは、最終報告会以降の、大阪事業所の最近の様子をお聞きできればと思います。

塩本様(以下、塩本):カエル会議でやっていこうと決めたことの項目は大きく3つあります。1つ目はスケジューラーを積極的に使うこと、2つ目はTeamsでタイムリーに情報共有すること、そして3つ目はチェックリストを活用し、若手と教育する側のメンバーとの情報共有をタイムリーに行うことです。スケジューラーとTeamsについては、継続して実施できています。3つ目のチェックリストに関しては、2年目の若手を対象に使ってみました。タイムリーにできてない部分はありますが、今後継続したいと考えています。

株式会社昭和コーポレーション様インタビュー1

WLB田村:実際にチェックリストを活用してみて、どんな反応がありましたか。

塩本:本人と周りとのあいだで「できている・できていない」の判断基準に若干のズレはありますが、できているという認識を持って仕事を進めてもらうのはモチベーションにプラスの影響があると思います。それを踏まえて、私たちも伸ばすところを伸ばしていければいいのかなと思います。

WLB田村:ご本人と育成者側の判断基準のズレが出るというお話がありましたが、非常に重要なポイントだと思います。普通に接しているだけだと、「本人はできると思っているけど、周りはもう一歩と思っている」ということが見逃されがちですが、シートがあることで、それが可視化されます。ズレが可視化されたとき、育成者側の皆さんは、どのように育成計画を検討されるのでしょうか。

塩本:本人が「できている」と思っている項目に関しては、もう少し高度な仕事を渡したりしてもいいのかなと判断しています。

例えば材料発注について、本人は「できている」という認識になっていたのですが、実際には言われたことをそのまま伝えて発注しているだけで、何の材料が必要なのかを自分で考えて判断するレベルには達していないことがありました。そこは、自分で考えて、発注してもらう方向に持っていければと思います。

WLB浜田:とてもいいですね。本人が得意だと思っていることだからこそ、「言われたことはできるよ」というレベルから、もう一段上の、自分で考えて発注するレベルに取り組むことができるわけですね。

塩本:本人が「できない」と認識している部分は、確かに周りから見てもそう感じ取れる部分が多いので、そこは丁寧にフォローしていく必要があると思っています。

WLB浜田:2年目の若手を対象に活用されたとのことですが、ご本人はどのような感想をお持ちでしょうか。

塩本:「自分の弱みと強みがわかることは今後仕事をしていく中で成長につながると思うので必要なこと。今回見つかった反省点は、これから改善していけるようにしていきたい」と話していました。

WLB田村:チェックリストの導入にあたっては、長期的な育成計画につなげることも想定されていたと思います。そのあたりは実際に使ってみて、いかがでしょうか。

塩本:チェックリストに書くことで、「前にできていなかったことがどこまでできるようになったのか」を確認できるようになったのは良かったですね。

WLB田村:人間は、今いる場所が常に現在地になってしまいます。自分がここまで何を積み上げてきたのかが見えにくいと、離職につながることもあります。その意味では、積み上げたものを立ち返って確認できるツールができたことは非常に大きかったのではないでしょうか。

現場のリクエストを踏まえて改善

WLB浜田:御社では、現場の皆さんの声を受ける形で、エンジ部横断での取り組みも進められています。具体的にどのようなリクエストが実現したのでしょうか。

塩本:事務的な内容を中心に何点かあります。例えば、下請けさんの見積もりの取り扱いが原本ではなくPDFでOKになったり、下請けさんの出勤簿・工数管理について紙ベースでの保管が不要になったりしました。

村井様(以下、村井):私は現場に出ていないので、現場での困りごとを理解できてない部分もありますが、事務処理的なところでは、「このあたりが困っているだろうな」というのがなんとなく分かるので、現場の人たちとコミュニケーションを取りながら、変えて問題ないところはどんどん変えていければと考えて取り組みました。

WLB田村:私たちも何度か拝見するタイミングがありましたが、ちょっとした隙間の時間に、村井さんがメンバーの皆さんの隣に座り、積極的に雑談をされている姿が印象に残っています。そういった機会を通じて課題を吸い上げられていたのではないかと思います。

村井:ただ、私ができることは、エンジの施工管理からしたら限定的なんです。事務員さんの仕事を多少楽にすることはできていますが、まだまだ現場の負荷を減らしていきたいです。また、会社が働き方を本当に変えようとしていることがもっと伝わるといいなと思います。

株式会社昭和コーポレーション様インタビュー

働き方改革委員会に協力してほしいこと

WLB浜田:今後の取り組みの展望についてもお聞かせください。

村井:私たちが仕事をしていく上では、建設業法を守る必要があるのですが、お客様の感覚と弊社の考え方の違いがある部分などは、改善する余地があれば取り組みたいと考えています。現在はエンジ部の進捗管理表において、3年後をめどに基幹システムを見直す試みがスタートしています。その中で、施工管理に関わるExcel作業や申請のフォーマットを、基幹システムから自動で出せないかという要望を投げかけています。Excel仕事がなくなれば、施工管理の事務処理の負担は多少とも減るはずなので、進めていきたいと思っています。

WLB田村:エンジ部の皆さんだけで解決できないものについては、私たちからも委員会の議題として提案させていただくなど、お力添えできればと考えています。

WLB浜田:新しいメンバーがチームに配属されるとき、「こういったことをしてあげたい」という想いはありますか。

塩本:新卒で大阪に配属されるメンバーに関して、もともとは配属先が決まる前に研修を行っていましたが、今年度から配属先が決まった後に研修期間を設けるという新たな取り組みを行いました。現場に同行してもらうなど、実際の仕事内容に近い研修となって良かったと感じています。こういった取り組みは、今後とも続けていただければありがたいと思います。

WLB浜田:よりよい環境づくりを考える上では、どのようなサポートが望ましいのでしょうか。

塩本:社内でできるものでいうと、会社に帰ってきたタイミングでヒアリングを行い、「どういったところが負荷になっているのか」を明らかにして、フォローできるところはフォローしていくことが重要だと思います。これは、私自身が先輩や上司からやってきてもらったことでもあります。

WLB浜田:経営課題としても、若いメンバーをサポートする体制づくりが非常に重要ということですね。こういった重要なテーマについては、働き方改革委員会の中でも少し踏み込んだ議論をしていければいいですね。私たちも第三者の立場からサポートしていけるところを見つけていきたいと思います。今日は貴重なお話をありがとうございました。

担当コンサルタント
浜田紗織
風間正彦
田村優実

 

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