株式会社トーカイ様
属人化や長時間労働を解決し満足度向上・心理的安全性確保で従業員が定着する組織へ 〜残業時間30パーセント削減・有給取得2倍の成果を達成したチームも〜
株式会社トーカイ様は、2022年から「働き方改革コンサルティングを導入」し、4つのトライアルチームによる働き方改革の実践に取り組まれました。そこで着実な成功体験を積み重ねた結果、業務の効率化を実現するだけでなく、組織内の心理的安全性を高めることにも成功されています。2023年2月27日に同社で開催された「働き方改革 最終報告会」の模様をお届けします。
1955年創立。岐阜市内に本社を持ち、「清潔と健康」をテーマに病院リネンサプライや病院運営の周辺業務委託、介護用品のレンタル、リースキンブランドでの環境美化用品のレンタルなど医療・介護を支える事業を中心にサービスの提供を行う。従業員数は3782名(2022年3月末/連結ベース)
目次
【発表① シルバー事業本部 岐阜営業課】
チームのありたい姿を「”終わり”に対する意識を強く持ち協力体制を構築する。仲間との親密なコミュニケーションをとり、福祉用語のスペシャル集団となる」 と決定し、以下のようなアクションに取り組んできました。
(主なアクション)
・勉強会の開催
習熟度アンケートをもとに苦手分野を洗い出し、内容の見直しを行いながら勉強会を開催。着実に課員の理解度が向上し、営業に対する不安が払拭されました。メンバーにも自信がついてきたのを実感しています。
・フォロー体制の構築
以前は役職者順に席を配置していましたが、新人が先輩社員に気軽に意見を求めにくい状況がありました。そこで、話しやすい雰囲気を作るために席替えを実施。新人を中央に配置することで、周りから積極的なフォロー・コミュニケーションが取れるようになりました。席を移動して聞きにいく時間が短縮され、業務効率向上にもつながっています。
・Q&Aの共有方法の見直し
以前から作成していたQ&Aについて、Teamsに取り込みiPadで閲覧できるようにしたことで、外出時の隙間時間に確認できるようになりました。
(取り組みの成果)
商品知識・営業力の向上により、自信を持って営業活動が行えるようになりました。コミュニケーションが増えたことで、仕事をする楽しみも増え、メリハリを持って業務を遂行できました。
また、1件の成約にかかる訪問件数が減少し、営業訪問や事務処理に時間を当てられるようになりました。事業部内で行われた営業コンテストで入賞でき、営業所内での笑顔も増えています。
「カエル会議を通じてコミュニケーションが増え、営業所内が明るくなった」「気軽に相談できる相手が増え、1日のスケジュールにムダがないか考えて行動する機会が増えた」などの感想があがっています。
▲契約までの訪問件数の推移(左:取組前 右:取組後)
(今後の課題)
①勉強会に参加できないメンバーのフォロー体制の見直し……勉強会の内容を動画で録画。参加できなかったメンバーが後日勉強できる機会を増やす予定です。
②Q&Aのさらなる活用方法……内容をさらに充実させ、メンバーが増えても隙間時間で確認できるようにしていきます。
③若手・新人の積極的な参加……付箋の活用によって、活発な意見交流ができる活動に変えていきます。
■担当したコンサルタント 吉川真衣の総評
ありたい姿に「スペシャル集団」とあるように、当初からスキルアップをテーマに取り組んでくださいました。以前から勉強会を実施されていましたが、試行錯誤を経て「動画を残す」「Q&Aを共有する」という手法を構築されたのは大きな成果だったと思います。
勉強会は実施すること自体がゴールになりがちですが、アンケートも取りながら、しっかりPDCAサイクルを回したことが大きかったのではないでしょうか。
そしてもう1つの大きな成果が席替えであり、コミュニケーションに効果が出ていました。席替えはコストがかからず非常に効果も高いので、ぜひ戦略を持って、取り組んでいただきたい手法です。
メンバーが1人変わることによって、雰囲気やありたい姿も変わって当然です。今後はメンバーが入れ替わったときに、ありたい姿を作り替えるプロセスに取り組んでいただきたいです。その際は、リーダーではなく若手が牽引役となり、若手中心のありたい姿を作っていただけたらと思います。
▲席替えによるフォローの増加のイメージ
■片野本部長コメント
シルバー事業本部の生産性向上を考えたとき、最も有効なのは全体のレベルアップです。営業コンテストで入賞できたことは、取り組みの成果だと思っています。
勉強会を開催するだけでなく、「何がわからないか」を本人が自覚し、先輩もきちんと教えたことが若手の育成につながりました。席替えに関しては、コロナ以降コミュニケーションの機会が減少していた中で、「先輩に聞いてもいいんだ」「後輩にちゃんと教えなきゃ」と思えたこと、その時間を作ったことに意義がありました。以前と比較すると積極的に聞けるようになり、発言も活発になっている印象があります。
これを岐阜営業課の文化に高めていけば心理的安全性はさらに深まるはずですし、拠点全体に横展開していきたいと思います。
【発表② リースキン事業本部 営業管理チーム】
チーム内でかなりの業務が属人化しており、「業務負荷がかかっても誰も助けてくれない」「誰が何を担当しているかよくわからない、知らない」「業務の優先順位がわからず仕事が終わらない」「そもそも本当に必要か疑問な業務がある」「マニュアルも整備されていない」という状況に陥っていました。
これらすべてを解消した状態を目指し、チームのありたい姿を「属人化解消のため、個々のスキルを向上させ、共有することでお互いにサポートできる環境となり、特定の人に業務が集中せず残業の少なく休暇の取りやすい職場」としました。
(主なアクション)
・「どんな感じ?チェック」の実施
負荷状況を赤・黄・青で確認し、赤黄の場合はチーム内でフォローする試み=「どんな感じ?チェック」を行いました。赤は「定時退社が確実に無理な状態」、黄は「これ以上の割り込みがあったら定時退社が難しい状態」、青は「定時退社可能」を意味します。色で伝えることにより、負荷状況が直感的にわかるようになりました。
朝礼時には朝・夜メールを通じて負荷状況を共有したこともあり、2023年1月30日時点で53件のフォロー実績がありました。「どんな感じ?チェック」をきっかけにコミュニケーションが活発になっています。
▲負荷状況の高い社員へのサポートイメージ
・業務一覧表の作成など
<業務一覧表を作成し、誰が何をしているかを明確にした結果、完全属人化業務が87個から81個に減りました。また、35の業務で副担当を誕生させたほか、13の業務でも今期中に副担当が誕生する予定です。副担当ができることで安心して休める職場に近づけました。さらに、朝夜メールの活用により、他人のスケジュールを把握できるようになりました。
・定時退社日の設定
週に1回の定時退社日を設け、今日やること・明日でいいことを区別する習慣を身につけるようにしました。1日のスケジュールが明確になり、「今日は帰る日だよ」という声掛けが行われるようになりました。2023年1月31日時点で遵守率91.9%を記録しています。
・「止めたいリスト」の作成
「止めたいリスト」を作成し、業務の要不要の再確認を行いました。例えば、営業部の協力のもと、お客様に請求書への受領書添付の廃止を依頼。35件のお客様の了承をいただき、月に140分の業務時間削減に成功しました。また、押捺申請時の書類コピー廃止により、月に16分の業務時間削減にも成功しています。
▲不必要な業務の削減
(取り組みの成果)
・業務マニュアルの集約
自身のマニュアルを全員が参照できる場所へ集約し、担当者不在時にマニュアルを参照する習慣もついてきました。
(今後の課題)
①まだ属人化業務がある……さらなる解消を目指し、業績目標に設定して取り組んでいきます。
②請求書への受領書添付の廃止対象がまだ拡大できる……営業部門と協力し、さらなる廃止を進めていきます。
③使いたいマニュアルを探すのが大変……業務マニュアルをカテゴリー別に保管して利便性を上げていく予定です。
【発表③ リースキン事業本部 チーム営業】
チームのありたい姿を「『あたりまえ』の『ムダ』を徹底的に見直す。業務効率、個々のスキルを向上させることで、ワークとライフの向上を目指す」としました。
最大の課題は個々のスキル向上であり、営業時間を増やすことが重要だと考えました。就業時間を増やさずに営業時間を増やすために、業務のムダを徹底的に改善する取り組みにチャレンジしました。普段あたりまえのようにやっていること、昔からやっているような業務の中でムダだと感じることを本音で話し合い、4つの課題を設定し、取り組みを実施しました。
(主なアクション)
・顧客情報の把握
既存顧客の取引内容がわかる顧客マスタを作成。外出先でもどこの顧客に何のアイテムが入っているかが一目でわかるようになり、翌日のスケジュールが調整しやすくなりました。
・担当エリアの整備
担当エリアがないため、移動に要する時間のムダが生じていました。そこで、2022年10月1日より営業の担当エリアを導入。業務効率が格段に上がりました。
・スケジュール管理
当初は「早く帰ること」に焦点を当てていたため、業務が終わらず翌日のスケジュール調整もできないような事態が発生していました。また、朝の通勤ラッシュ時に約1時間かけて出社し、担当エリアに1時間かけて戻るというムダが生じていました。そこで、各々の自宅に近いエリアを担当エリアに選定。あえて残業を抑制せずに、直行直帰を増やすことで時間のムダを削減しました。
・他部門と連携
業務内容を把握するために朝メールを活用した結果、業務の半分以上が既存顧客の対応であることがわかりました。既存顧客の対応を営業がするというあたりまえに疑問を持ち、配送スタッフ、そして事務のプロである業務部と連携を行いました。
配送スタッフとの連携では、スマホを活用して新たにグループチャットを導入。挨拶のコミュニケーションから始まり、連絡や依頼の一斉共有、獲得したときの成果共有などを行いました。
業務部との連携では、Teamsのチャット機能を活用したことで、いつでも確認や依頼ができるようになり、時間の有効活用につながりました。また、顧客から連絡があった際、事務で回答できるものは直接対応していただき、営業にはTeamsで報告をいただくといった連携も行っています。営業が一方的にお願いするのではなく、事務作業の改善にも協力しました。一例として顧客に送っていた受領書を廃止し、事務作業を削減できただけでなく、お客様にもメリットをもたらすことができました。
前年のキャンペーンに比べて61%増加し、約1.6倍の成果を出すことができました。また、直行直帰は前年の月8回から月14回へと約1.8倍増加しており、営業時間の確保につながりました。残業時間は前年比で約30%削減できています。有給休暇は前年比で約2倍となる月2.3日の取得が実現しました。取り組みで新たに生まれた時間を社内制度の自主選択型研修に活用し、有意義な時間となっています。
▲営業時間の変化
▲残業時間削減の成果
(今後の課題)
レンタル業務の業務改善とあわせ、値上げ、高利益率のトイレ商材の獲得、作業負担軽減に取り組み、1顧客あたりの生産性を上げることを目指しています。「あたりまえ」にこそムダがたくさん隠れており、そのムダを改善したときに大きな成果が出ると考えています。この流れを各支店に広げていきたいと思います。
■担当したコンサルタント 山﨑純平の総評
営業管理チームの皆さんは「属人化」という、いろんな組織であたりまえのように存在する問題に真っ向から取り組んでくだいました。業務一覧を作って、属人化している業務を見つけ出し、複数担当にしてマニュアルを整備する。これは一見地味なことですが、なかなかできていないがゆえに多くの組織が問題を抱えているわけです。ここに取り組まれたことが重要なポイントだったと思います。
業務を複数担当にして対応できる仕事を追加していく一方で、やめたい仕事のリストを作って減らしていくというバランスをとりつつ、日々チーム内でコミュニケーションを深めながらフォローされていったことも非常に良かったと思いました。この調子で今後も続けていただきたいですし、周りにも横展開していただきたいと思います。
■担当したコンサルタント 吉川真衣の総評
ありたい姿に掲げられた「あたりまえのムダ」は中間報告時にも取り組まれていましたが、その後は他部門と連携されたことが大きな成果につながりました。受領書を削減する取り組みなど、営業からお客様に提案する場合は「私たちのためにお願いします。協力してください」というお願いプレゼンになりがちであり、これではお客様との上下関係ができてしまいます。しかし、今回はお客様にとってもトーカイさんにとってもウィンウィンのプレゼンになったところが素晴らしかったと感じています。
営業という職種上、どうしても目の前のお客様に目が行ってしまいがちですが、同時に本質を捉えて解決して実行に移すプロセスが重要となります。働き方改革において何を目指すのか、このチームはどうあるべきなのかを考え続けることが意識改革であり、原点であると思います。
今後もチームで何を大事にするのか、働き方改革で何をゴールとするのかを考え続けていただきたいですし、皆さんが価値観をすり合わせていけば、取り組みは確実に進んでいくはずです。
■上松本部長のコメント
2チームとも素晴らしい発表でした。リースキン事業本部は、前はイケてない部署でしたが今はとてもイケてる部署だと思いますし、とても明るくなりました。皆が目指すところが1つとなったことでコミュニケーションが深まり、明るくなったと思います。
朝礼時には、当番制で1人が一言ハッピーな話をする「ハッピートーク」を行っています。これはワークライフバランスに着手したときからスタートしましたが、内容が非常に面白く、良いものになっているのを実感しています。
営業においては、直行直帰により移動時間を営業に回すことで確実に成果が出てきています。キャンペーンでも成果を出したことで、スペシャリスト集団になったと感じています。
また、2チームがお互いにコミュニケーションをとることで、リースキン事業本部を新しくしてくれているように思います。取り組みありがとうございました。
【発表④ 人事本部 人事部 労務課】
労務課は従業員からの問い合わせが多く、そこにかかる時間が非常に多いということがありました。また、それに答えることができる担当者が限られていました。そこで、ありたい姿は「従業員にとってわかりやすい案内を作成して、担当外の基礎的な知識を全員が身につけることで問い合わせを減らし、助け合えるチームになる」にしました。
中間報告会を経て、以下のような課題が見えてきました。
①従業員からの問合せが依然多い
②課員が知っておくべき情報共有がされていない
③作成したマニュアルが従業員にとってわかりやすいものであったかがわからない
④メンバーの業務の習得度の把握ができていない。それによって繁忙期に特定の人に負荷がかかっていてもフォローができない。
それに対して、以下のアクションを実施しました。
(主なアクション)
・傷病マニュアルの作成・公開
新型コロナウイルスの蔓延もあり、問い合わせが多くなっていた傷病関係の手続きの流れについて、従業員が労務課に問い合わせなくてもわかるようマニュアルを作成。従業員がいつでも閲覧できる状態にしました。徐々に問い合わせが減っていると認識しています。また、マニュアルを作成したことで、問合せを受けたときの対応時間も削減できました。
・朝礼後の課内ミーティングとTeamsのチャットを利用した情報共有
人事本部全体での朝礼後に、労務課による情報共有の場を設けたほか、Teamsのチャット機能を利用して情報共有を実施しました。これにより効率的な情報の周知が可能となり、共有漏れの防止にもつながりました。チャットでは業務の情報以外にも、Outlookの使い方などスキルに関する情報も共有し、課員のスキルアップと業務効率化につながっています。
・マニュアルについてのアンケートの実施
勤怠システムと傷病のマニュアルに関する認知度・有効度を把握し、改善を行うためにアンケートを実施しました。勤怠システムのマニュアル認知度は62.2%、傷病マニュアルは22%となりましたが、「どちらも知らない」が36.7%でした。さらなる周知が課題であると感じています。
勤怠マニュアルの満足度は満足・やや満足が90.2%、傷病マニュアルの満足度も満足・やや満足が83.4%と非常に高くなっています。一方で、一部に改善の要望も寄せられています。
・スキルマップの作成
メンバーの経験値に差がある、法令対応など新たな業務が発生した、担当業務外の基礎知識がほしい、メンバー自身も誰がどの業務を理解しているのかが把握できていない。こういった課題に対して、もともとあったスキルマップの更新作業を行いました。それにより、誰がどういう業務ができて、どういう業務ができないのかといった現状把握が可能となりました。今後の業務ローテーションやフォロー体制を考える上での貴重な資料ができました。
(今後の課題)
勤怠・傷病マニュアルの更新に加え、誰もが見やすい・わかりやすいものになるよう、公開方法、周知方法なども検討していきます。また、朝礼後の課内ミーティングやTeamsでの情報共有は今後も継続していきます。そして、スキルマップを活用していくために、勉強会を継続して行っていきたいと思います。
■担当したコンサルタント 山﨑純平の総評
労務課チームは、どんな課題に対しても解決に向かう力を持つチームだと感じています。特に良かった点は、全社に向けたアンケートを実施されたことです。ワークライフバランスの取り組みを自チームだけで完結させるのは簡単ですが、それを乗り越えて、他グループまで巻き込んでいったところが本当に素晴らしかったなと思います。
アンケートをとった結果、満足度も非常に高かったですし、自信もついたのではないでしょうか。また、今後取り組むべき課題についてもアンケートでピックアップして、これからの方向性を見つけられたのも非常に良かったと感じています。
ほかのグループの皆様も他グループにまでワーク・ライフバランスの取り組みを広げていただけたらなと思います。そうすることで組織全体でワークライフバランスが高まってくるはずです。今後とも応援しております。
■澤村本部長コメント
8カ月間の活動お疲れ様でした。私が嬉しかったのは、中間発表時からさらに活動を進化させたことです。
素晴らしかったポイントは3つあります。1つは朝メール以外にも、朝礼後毎日ミーティングを行い、Teamsチャットも活用して情報共有を行ったこと。2つめはマニュアルを作って終わりではなく、アンケートを実施して検証し、新たな課題を見つけ出したこと。3つめにスキルマップを作ってほしいという要望に早速応えたところが本当に嬉しく思います。今後は、女性活躍推進のモデル部署としても取り組みを進めていただきたいと期待しております。
【発表⑤ 病院関連事業本部 業務部 入院セット管理課】
私たちは日々いろんな「できたらいいな」を感じていました。「できたらいいな」で終わらせないため、ありたい姿を以下の2つに設定しました。
・請求書訂正数を減らし余剰時間を創出し新プロジェクトに全員参加!
・見える化(予定の共有)によるフォロー体制の確立
(主なアクション)
・朝夜メールの導入
毎朝、朝夜メールの画面を見ながら、数分程度の打ち合わせである「朝夜メール会議」を行っています。ここで、各メンバーの業務予定をもとに課全体の優先順位を考え、誰がフォローできるかを相談しています。
朝夜メールでは、増やしたい時間と減らしたい時間を設定することもできます。入院セット管理課では、増やしたい時間をシステム打ち合わせや資料の作成に設定。2022年9月時点の595分から、2023年1月では1770分に増やすことができました。
一方、減らしたい時間には電話対応、病院への問い合わせ、売上訂正の資料や返金作業の時間を設定し、1万345分から7210分にまで減らすことができました。それぞれ取り組み前後で比較すると、「1カ月当たり1175分増」「1カ月当たり3135分減」という成果が出ています。
・病院単位での請求書訂正数減少の取り組み
病院ごとになぜ請求書の訂正が多いのかを分析し、病院に合ったアクションを起こしました。その結果、営業、病院、契約者の意識改善を行うことができ、請求書訂正数の減少につながりました。取り組み開始前の2022年5月は498件でしたが、現在は291件となり、40%以上の減少に成功しています。
・アンケートと業務改善の実施、カエル会議、勉強会、ランチミーティングの開催
アンケートを通じてメンバーの知りたいことと要望を集約。必要な知識について勉強会を毎月開催しました。アンケートには自由記入欄を作ったことで、さまざまな想いを共有することができ、これをもとに以下の業務改善を実践しました。
①電話当番制の導入……電話集中タイムを順番に回し、電話を取る人が偏らないようにしました。
②営業への働きかけ……新しく取引が始まるときの注意事項を作成ました。
③朝夜メールによる情報共有……病院ごとの取引開始や終了、値上げの情報共有を行いました。
▲電話当番制の様子
カエル会議では、請求書訂正数減少に向けたアクションの進捗状況の確認や、朝夜メールの運用方法・分析について話し合いました。
▲請求書訂正数の推移
またカエル会議の中で勉強会を実施したほか、12月の勉強会後にはランチミーティングも行い、コミュニケーションの場を作ることができました。来期以降も楽しい機会を作りながら業務に取り組んでいきたいと思います。なお、営業部と協力しての勉強会も行っています。
▲病院関連事業本部入院セット管理課の勉強会の様子
(今後の課題)
トライアル終了後もカエル会議・勉強会は継続して毎月開催していきます。ランチミーティングも定期的に開催する予定です。あわせて、朝夜メールも引き続き利用していきます。さらに、請求書訂正数を減らすため、駐在員がいる病院でも話し合いの機会を作りたいと考えています。
ワーク・ライフバランス社からいただいた「最初は難易度が低く、効果が高いアクションから取り組みましょう」のアドバイスをもとに始めたことで、高い成果を実感でき、モチベーションが上がり、さらに日々のアクションを続けることができました。引き続き、メンバーみんなで力を合わせて仕事をしていきたいと思います。
■担当したコンサルタント 山﨑純平の総評
管理課の皆様のチームは心理的安全性が非常に高く、自発的に前向きに活動されてきました。たくさんの成果が生まれてきた最大の要因は心理的安全性であったと感じています。取り組み以前から心理的安全性の基盤がありましたが、そこからさらにランチミーティングでお互いのことを知り、カエル会議でも出された意見が否定されずに受け止められたことで、非常に意見を出しやすい環境作りにつながっていました。
心理的安全性が高まったことで、皆さんが前向きになり、思いの丈を募るアンケートを取るといった行動へとつながっていました。今後も、さらに楽しくカエル会議を続けていただけたらと思います。
■浅野本部長コメント
取り組み当初は、一部にやらされ感があったと思いますが、ワーク・ライフバランス社の方々をはじめ人事からの指導を受けながら取り組むにつれて、徐々に事務所内で笑顔が生まれ、会話が増えてきたように思います。働き方改革についても、前向きな意見が多く出るようになってきたのを実感しています。
まずはそれぞれの仕事を見える化し、朝夜メールで共有し、お互いに助け合う風土が醸成されたことで、チーム力がよりアップしてきました。中間報告以降は、毎月のカエル会議で課題を出し合い、具体的な目標と施策を自分たちで考えて取り組んだことで、課内だけではなく事業本部全体を巻き込むかたちで成果が出たのではないかと思います。主体的な行動が少しずつ事業本部全体を動かすという実感を持つことができたのではないでしょうか。
今回の入院セット管理課の取り組みは、来期のグループ方針である1人1人の付加価値を向上させる取り組みになったと思います。これからも大いに期待しています。
■浅井専務コメント
8カ月間という長い間、通常の業務がありながらも、しっかりと結果を出していただきありがとうございました。
活動初期においては、朝夜メールを使ってメンバーの業務の見える化を図り、遅くなりそうな人がいたら助けるといったことをやっていただきました。そして次のステップでは業務の中でムダを見つけ出し、改善していくことにも取り組んでもらいました。仕事の質を上げる、生産性を上げることに発展させていった点が大変素晴らしかったと思います。
ありたい姿を考える上でとても大切なのは、自分たちで考えて、「こういう姿になりたい」と思うことです。人から決められたことに取り組むのではやらされ感のある活動となり、意見も出てきませんし、心理的安全性も低下してしまいます。その意味では、今後各事業部やグループ全体でワークライフバランス活動を進めていく上では、「ありたい姿を自分ごとにする」ということを、皆さんからもしっかりお伝えいただきたいと思います。
今回は、効果があったアクションをいくつも発表していただきました。そういったアクションを横展開することも大切ですが、「活動を進めるなかでうまくできたこと・できなかったこと」や「心理的安全性の高め方」もしっかり共有していきながら、今後につなげていただきたいと思います。
■小野木社長からのメッセージ
それぞれのチームの発表を聞き、本当に素晴らしい活動をやっていただけたと感じました。トライアル期間は通常業務以外にコロナの対応もあり、本当に大変だったと思います。そんな中で、本当に前向きに1つ1つ活動していただいたことがありがたいと思います。
リーダーの皆さんがメンバーを引っ張ってくれたこと、そして各チームの皆さんが折れそうになるときに、いろいろとアドバイスをいただいたワーク・ライフバランス社のご支援にも心から感謝申し上げたいと思います。
今までのトーカイグループは、通常業務を変えることなく、疑問に思いながらもやらざるを得ないということで取り組んでいた部分が多かったと思います。そこで一度立ち止まって、自分たちの仕事を振り返ってみることがいかに大事なことであるかを実感されたのではないでしょうか。また、皆さん自身が試行錯誤をしたことで、自分たちの力で自分たちの仕事や職場を変えることができるという自信を持ったではないかと思います。
また、ワーク・ライフバランス社の方からいろいろなアドバイスをいただき、教えていただいたツールも活用しながら成果を上げていただきました。皆さんの貴重な活動を、トーカイ全体、グループ全体に広げていきます。ぜひ、取り組みを通じて得たことやノウハウについて、皆さんのほうから発信していただきたいと思います。それがトーカイのこれからを変えていくことになります。
新年度はトーカイグループの社員1人1人がいかに付加価値を高めるかがテーマとなります。皆さんが持っている知恵をみんなで共有して、皆が自分たちの職場を変え、仕事を変え、1人1人が働きやすい場所を作り、結果として1人1人の付加価値を高めていくという大きな目標に向けて、ぜひとも協力をお願いします。ありがとうございました。