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CASE STUDY

東亜建設工業株式会社の導入事例

東亜建設工業が描く トップダウンとボトムアップ融合の働き方改革

東亜建設工業株式会社

業種
建設・不動産・物流
事業規模
1000名以上

「建設業で長時間労働の削減や人手不足の解消が大きな課題となる中、東亜建設工業㈱では2023年から「カエル会議」(※1)導入などを中心とする働き方改革に着手。トップダウンとボトムアップを融合させながら、各現場でさまざまな成果を出してきました。同社の働き方改革推進責任者である福地康幸執行役員と後藤良平土木本部理事にお話を伺いました。

◎カエル会議で「関係の質」を高めることに成功

大畑:建設業では2024年の時間外労働上限規制の適用に向け、「とにかく帰れ」式の強引な手法で進める企業が多々ありました。その中で、御社は現場ごとに働き方を変えるための話し合いである「カエル会議」を行い、社員の自発的な意見と行動を尊重しながら取り組まれてきました。そこに至るまでの経緯をお聞かせください。

後藤:全社的に法改正に対応するという方針が出たのですが、現場には「いったい何をすればよいのか」という戸惑いがありました。自分たちでできる具体的な取り組みから始めなければ、残業を減らすことはできないだろう、と。そんなときカエル会議の存在を知り、これは面白い手法だと思いました。

東亜建設工業株式会社様インタビュー

福地:現場はプロジェクトごとに規模や工程、メンバーが異なるため、一律の施策では対応が難しいのが実情です。トップダウンではどうしてもやらされ感が出てしまうので、課題を共有し、解決策を自ら考えていく必要性があると感じていました。そんな中、カエル会議を目の当たりにして、ボトムアップで対話ができる有効な手法だと思いました。

後藤:具体的には1つの作業所でモデル的に試行し、そこでの好感触を受けて1年目に6現場、2年目は12現場で展開しました。26年度中には経験者を累計500人まで増やすという目標を立てています。また、カエル会議の自走にはファシリテーターも必要であり、2026年度中に累計120名の創出を目指しています。

福地:カエル会議普及と心理的安全性の醸成に向け、私と後藤さんが各種研修で講師役となって話す機会もつくっています。

大畑:多くの組織開発で活用されている「成功の循環モデル」では、最初から残業削減という「結果の質」を求めると悪循環に陥り、まずは従業員同士の「関係の質」から高めることが理想とされています。御社ではカエル会議を通じて誰もが意見を言いやすい職場作りを推進したからこそ、働き方改革の成果が数字にも表れていると思います。

東亜建設工業株式会社様インタビュー

◎あらゆる角度から働き方改革に取り組む

大畑:カエル会議の取組以外には現在、御社では具体的にどのような取り組みをされていますか。

福地:勤務間インターバル導入や男性育休・女性活躍推進に取り組むほか、業務効率化としては、DX生産設計課という部署を新設し、BIM導入(※2)を推進しています。東日本建築支店では生産設計部署が現場の施工図の確認などを集約して行い、効率化を図っている状況です。

後藤:支店が現場の業務を引き取るための取り組みとして、現場支援部署を設置する動きが進んでおり、アウトソーシングの規模も拡大しています。また、各現場の好事例を水平展開するため、発表会を開催して取り組み内容を共有したり表彰したりしています。さらに、支店ごとに委員会を設けて課題解決に向けた議論を行う取り組みも加速しています。勤務間インターバルに関しては、(公共工事入札の際の)総合評価落札方式で加点する発注者も出てきたことを知り、真剣に取り組むスイッチが入りました。

福地:ワーク・ライフバランスさんから「短時間睡眠は認知症のリスクが高まる」「ハラスメントやモラル低下につながる」といったさまざまな知見を学んだことも、勤務間インターバルを導入する後押しになったと思います。私自身もショックを受け、睡眠時間を1時間増やしました。

大畑:最近は研究が進み、睡眠の前半に肉体的な疲労を回復し、6時間以降の後半に精神的なストレスが解消することがわかっています。勤務間インターバルによって入札の成功と持続可能な働き方を担保するという二重のメリットを実現されていることが素晴らしいと思います。

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◎若手からのアイデアが次々と生まれた!

大畑:御社では私も全国の作業所にお伺いしてカエル会議のサポートをさせていただきました。お二人の中で印象に残る作業所の事例を教えてください。

福地:1つめはMJR六番町作業所(東日本建築支店)です。当初、中堅以上のメンバーには「後輩は先輩の背中を見て育つ」という考え方が根強く、先輩と後輩のコミュニケーションは不足傾向にありました。

カエル会議を重ねることで心理的安全性が高まり、若手が積極的に意見できるようになり、若手発信でDXツールを導入し、業務効率化が進むなどの実例が生まれました。また、若手からの鋭い角度からの質問も多くなり、それが先輩の刺激となり、教えることへの意欲が高まったといいます。

教える際には言葉だけでなくYouTube動画も活用し、専門知識の習得が進みました。現在、おすすめ動画は社内イントラにも掲載し、全社的な横展開も行っています。

そしてもう1例は大分記念病院(西日本建築支店)です。このチームはもともとコミュニケーションが取れているという自負があり、新しい業務が増えている中、カエル会議を導入することにマイナスイメージを持っていたようです。けれどもカエル会議で若手からの意見が出るようになり、所長やベテラン社員が変化を実感しました。

改めて振り返ると、以前は夕礼で若手からの報告を受けていたものの、一方的に指示を行うだけであり、双方向のコミュニケションがなされてなかったと気付いたそうです。心理的安全性が高まり、若手からアイデアが出て、新しいツールの導入などが進んだのは大きな収獲だったと思います。

後藤:私が思い出すのは、新本牧中仕切作業所(横浜支店)です。ベテラン所長と20代のメンバーだけで中堅社員不在の組織構成でしたが、所長が意見の言いやすい環境作りを上手に進めていたのが印象的でした。

例えばシフト制の導入や夕礼を昼礼に変更するなど、アクションの早さには目を見張るものがありました。所長自らが「働き方改革 参加モデル現場」という垂れ幕を作成して作業所に掲げ、意識向上と周囲へのアピールを図ったのも素晴らしく、JVサブ(他社)の職員も巻き込んでカエル会議を行ったのも画期的でした。特に印象的だったのが繁忙期に3か月程度カエル会議を中断したことです。メリハリをつけたことが継続につながり、素晴らしいジャッジだったと思います。

東亜建設工業株式会社様インタビュー

また、南総工事事務所(千葉支店)も印象的でした。作業所と比べて大所帯である工事事務所では初のチャレンジでしたが、キックオフから大変な盛り上がりを見せました。カエル会議では中堅の女性社員が毎回手書きのまとめ資料を作成して共有し、とてもわかりやすいと好評を得ていました。ほかにはホワイトボードを車に積んでおき、いつでもどこでもカエル会議を開催できるようにしたとの話も聞いています。

最終報告会後にヒアリングを行ったのですが、若手から「カエル会議はいいことしかなかった」という声がたくさんあがり、女性の事務員さんからも「やっと私もこの現場の一員だと実感できました」という言葉が出て感動しました。

東亜建設工業株式会社様インタビュー

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大畑:カエル会議はいろいろな人が輝き、才能を見出せる場でもあり、多様な人材が活躍できる土壌作りにつながっていると思います。私も1年目の女性社員が定例会で「今が人生で一番充実している」とお話されたのを聞き、本当に御社をサポートできて良かったと思いましたし、この活動は間違っていないと確信しました。

◎心理的安全性を重視する理由

大畑:御社では全社の方針として心理的安全性(※3)を重視されています。なぜこの点を重視されているのか、改めて教えていただければと思います。

後藤:「心理的安全性」という用語はワーク・ライフバランスさんの講演で初めて耳にして、弊社の社長も早くから使い始めたと記憶しています。私自身も何冊か本を読み、自分が講師をする社内研修での講義にも取り入れるようになりました。

福地:残業時間の上限規制を守りながら、数値目標を達成しなければいけない状況の中、最大の課題は「いかに若手を教育して力を発揮してもらうか」にあります。これから若手が増えていく中で、若手の考え方や意見に耳を傾けなければ、せっかくの発想やアイデアを引き出せず、宝の持ち腐れとなってしまいます。若手の自発性や多様性を生かしていく上では、心理的安全性の担保は不可欠だと考えています。

大畑:心理的安全性は役職・年次を問わず、誰もが安心して発言できる環境を作ることであり、1つのミスが致命的な事故につながる業界では特に重要となっています。御社では若手が活躍してイノベーションを起こすため、経営戦略として心理的安全性の高い組織作りに取り組まれているということですね。

◎育休取得率95%、離職率1・4%。さまざまな変化を実感

大畑:御社の取り組みの中で、もう1つ輝いていたのが「男性育休取得率95%、平均取得期間72・5日(2024年度)」という成果です。この数字を実現する上での現場の工夫や社内の変化について教えてください。

後藤:社長による「男性育休100%取得宣言」が大きかったと思います。私自身も「社長が進めているから、どんどん取得しなさい」と伝えています。若手同士で「自分も取ったよ」と話すことで横から広がっている効果もありますし、育休取得者が出た現場には応援金のようなものが支給されるシステムも導入されています。また、今は所長の意識も大きく変わっており、育休を取りやすい土壌はできているのではないでしょうか。

福地:私の周りでも構造設計課の課長が1か月以上育休を取得したのですが、復職後「人生観が変わった」と語っていました。本人はそれまで長期で休んだ経験がなく、家族と向き合うまとまった時間を持つことで、他の人も休ませたいという意識が芽生えたそうです。先日は、課で開催しているカエル会議で「残業が多い社員を1週間休ませるにはどうすればいいか」というテーマで議論を行っていました。

大畑:育休期間を経てマネージメントのあり方そのものが変わったということですね。それでは最後になりますが、働き方改革によって生まれた前向きな変化や今後の展望について教えていただければと思います。

東亜建設工業株式会社様インタビュー

後藤:採用人数は年々増えていますが、現在の離職率は1.4%にとどまっています。また、月平均残業時間は微減する中、業績は過去最高(2025年3月期)を記録しています。

カエル会議で現場に行くと、若手が議論を引っ張っている場面が多く、とても楽しそうに見えます。若手に活気が出てきたのは最大の変化です。今後はカエル会議の自走を定着させ、どの部署・現場でも当たり前になれば最高ですね。

福地:私もカエル会議を行っている現場では若手が元気になっているのを感じています。今後の課題は継続であり、ハードルを下げながらカエル会議をたくさん経験させていきたいと思います。カエル会議を通じてワクワクするような職場作りが進めば、いろいろなことが変わっていくと期待しています。

大畑:ありがとうございました。

※1
株式会社ワーク・ライフバランスが考案した、働き方改革に不可欠な会議のこと。 チームでめざす目標(ありたい姿)を設定し、その目標達成にむけた課題を抽出して、改善案を策定する会議です。”カエル”という言葉には「仕事を振り返る」「働き方を変える」「早く帰る」「人生を変える」という4つの意味が込められています。
※2
BIM(ビム)とは、Building Information Modelingの略で、建物を3Dモデルでデジタル上に再現し、設計・施工・管理に関するあらゆる情報を一元化する仕組みです。
これにより、図面のミスを減らし、関係者間での情報共有がスムーズになり、建設の効率と品質が大幅に向上します。
※3
組織やチームの中で、意見や疑問、失敗を表明しても、拒絶・罰・評価低下などの不利益を受けないと信じられる心理的な状態。仲の良さや甘さではなく、率直な発言が組織の成果につながる土台になると捉えられている。

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