Case Study

株式会社みずほフィナンシャルグループ

心理的安全性が高まり、残業時間が半減した部署も!みずほフィナンシャルグループが進める働き方改革の取り組み

株式会社みずほフィナンシャルグループでは、社員一人ひとりが自分らしく活き活きと働くことができる組織となることを目指しており、働き方の見直しに向けて弊社の働き方改革コンサルティングを導入。2023年1月31日 にキックオフを実施し、これまで取り組みを行ってきました。9月5日に最終共有会が行われましたので、その内容をお届けします。

株式会社みずほフィナンシャルグループ様トップ△みずほフィナンシャルグループ 働き方改革コンサルティング 最終共有会の様子


■7つのトライアルチームで実践した、働き方改革を振り返って

コンサティング1期目では7つのチーム(財務企画部、与信企画部(みずほフィナンシャルグループ)、法人業務部、総合資金部、荻窪法人部(みずほ銀行)、IT事業統括部(みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)、事業統括部(みずほ証券株式会社))が参加し、多くの成果を挙げました。

発表① みずほフィナンシャルグループ 財務企画部
「業務削減から、年間138時間を削減!効率化の促進へ」

みずほフィナンシャルグループ財務企画部チームでは、「明るく活気のある雰囲気の中で、仕事にやりがいを持ち、家庭の時間等プライベートとのメリハリをつけて、健康的に個々人の望む働き方を実現できる職場」をありたい姿に掲げて取り組みました。

①状況見える化サイン、帰る時間のスケジューラー入力を促進することで、話しかけることへの心理的ハードルを下げ、オフィスをより積極的なコミュニケーション&雑談の場にすることができました。また、関心を持った他部署にも伝播する等、財務企画部の枠を超えた取り組みとなっています。

②ボトムアップ、全員参加の業務削減推進により、7件の業務削減を行い年間138時間を削減、残り32件も取り組みを進めています。今回の取り組みにより、「効率化推進にあたっては声を上げやすい・意見を聞いてもらいやすい環境が最も大切だと感じました。」と発表があり、チームリーダーからは「ワーク・ライフバランスの取り組み拡大はとりあえずやってみる」の精神が大事と他チームへ伝えていました。

発表② みずほフィナンシャルグループ与信企画部
「いつかやろうと思っていたことが、カエル会議のおかげで皆で実現できた」

みずほフィナンシャルグループ与信企画部チームでは、「お互いの業務及び知識の共有の機会を増やし、助け合うことで業務の効率化・平準化を目指し、より安心して働けるチーム」をありたい姿として掲げ、発表時には
① テレワーク時でもベテランへ相談しやすくなったOutlookへの「相談受付タイム」事前登録とその実施範囲の拡大
② 年間8.5時間の削減に繋がったAccessツールの統合
③ 社内問い合わせ削減に向けたFAQの充実化
④ 一人当たり40時間/月にも繋がった会議招集メンバーの見直し、
の4つのアクションが紹介されました。

参加メンバーからは、「いつかやろうと思っていたけれど、1人ではできなかったところが、今回の取り組みで実現できた」といったコメントが寄せられ、担当役員からは「やってみるという意識を持てたことが非常に大事であり、スモールチェンジの積み重ねの先に大きな変化が得られると思うので、失敗をおそれずにこれからもどんどん取り組んでほしい」とコメントが寄せられました。


発表③ みずほ銀行 法人業務部
「各種フォーマットの標準化や自動化を進め、年間約600時間の業務効率化に成功」

ソリューションビジネスの牽引を担い、行内外の緊急性の高い突発事象への対応を求められることが非常に多かったみずほ銀行法人業務部チームでは、「多種多様な意見が飛び交い、未来を志向し、心身ともに健康で、仕事もプライベートもやりたいことに自由に挑戦できるチーム。仕事の仕組み化による再現性の追求、チームカバー力向上、業務プロセス改善に取り組み、〈みずほ〉全体の生産性や付加価値向上に貢献することで、〈みずほ〉の“憧れの存在”になる」というありたい姿を掲げて様々な取り組みを進めてきました。

ある業務効率化手法の実施では、各種フォーマットの標準化や自動化を進め、年間約600時間の業務効率化に成功しています。担当役員からは「カルチャー変革の一丁目一番地は、プロセスイノベーション。2つ目がコミュニケーション。その2つが自然とできてスペースが生み出される循環ができつつあるのを強く感じた」とのコメントが寄せられました。


発表➃ みずほ銀行 荻窪法人部
「お互いへの感謝を伝えあうことから、心理的安全性が飛躍的に向上」

株式会社みずほフィナンシャルグループ様事例4△荻窪法人部のチームメンバー・担当役員の議論の様子

7チームのうち唯一の営業部店であるみずほ銀行荻窪法人部では、組織目標の達成と公私の充実を実現するために、
① 「月2回のリモートワーク」
② 「少人数ミーティングの設定」
③ 「キャリアスピーチ」
④ 「ありがとうカード」
の4つのアクションを実行しました。

中でも、CS(事務・営業支援)と法人RM(法人顧客担当)が、助け合いながら仕事を進めるようになったことから、法人RMが前向きな仕事に割ける時間が15%程度増加し、確保できた時間でDX・サステナ分野のニーズ発掘のためのディスカッションや提案書作成をすることができるようになりました。チーム全員が心理的安全性の高まりを感じるようになり、取り組みの効果を実感しています。
担当役員からは、「お互いに感謝し合うことで、自分の仕事のレベルや質をもう一段上げていこうという気持ちが芽生えたことが素晴らしかった」とのコメントが寄せられました。


発表⑤ みずほリサーチ&テクノロジーズ IT事業統括部
「事業部とのコミュニケーションが格段に改善。時間当たり生産性が向上!」

みずほリサーチ&テクノロジーズIT事業統括部では、「周囲を気にかけ相手に寄り添い、足りないところを助け合い、チームとして成果を出す」ことを目的に、
① 作業時間の削減・見える化
② 作業時間の削減につながる判断軸の獲得
③ 感謝の伝えあい
を実施しました。

これまで担当者が企画内容に自信を持てずにコミュニケーションコストがかかっていた課題に向き合い、企画プロセスを「背景、目的の明確化」「情報収集、分析」「立案・推進」の3つに分け、進め方をメンバー間でそれぞれ共有・実践することで、業務の効率化と自身の成長につなげることができました。

担当役員からは、「事業部とのコミュニケーションが格段に改善し、生産性が向上した。これまでの1.2〜1.5倍ぐらいの仕事を同じ時間でやっている。大きな変化を感じている」とのコメントが寄せられました。


発表⑥ みずほ銀行 総合資金部
「チームのパーパスを策定し、個人の目標をより明確に」

みずほ銀行総合資金部チームでは、働き方改革を単なる効率化や時間外の削減ではなく、矜持をもってやりがいや楽しみを感じながら心身ともに充実して働くための「働きがいの改革」と位置付けて取り組みました。

①捨てる会議
何かを始めることは比較的簡単にできますが、何かをやめる・捨てることに苦手意識があり、あえてこの取り組みにチャレンジしました。チーム内でラインごとに「捨てられる業務はないか」という議論をし、すぐに捨てられるものから1つずつ進めていき、2か月に1回、チーム全体で捨てる会議を実施して共有し、お互いに気づきを得るというサイクルを回しています。

②パーパスの制定
〈みずほ〉のパーパスが出たタイミングということもあり、基本理念の各項目を自分たちに当てはめて作りました。当チームのパーパスは「“フェア”で“オープン”かつ“時代の先を読む”ALM運営を絶えず追及し、銀行全体を支え、内外から信頼される存在」です。このパーパスは、年度の部の業務計画や個人の目標管理シートを作る際に、個々人の行動とリンクすることを意識して使っています。パーパスは判断に迷ったときに何を優先して仕事をするべきか、初心に戻るためのチーム共通の軸のような役割を果たしています。

発表の最後に付け足すようにリーダーが言ったのは
「今回、残業時間の削減にはゴールを置いていませんでしたが、調べてみると、昨年同期比に比べて残業時間は半分未満になっていて驚きました。
取り組みを通じて、結果として残業時間半減という数値に表れる効果があったことに触れさせていただきます」というコメントでした。

担当役員と参加メンバーで以下の様に振返りをしてくださいました。

担当役員:総合資金部は、グローバルマーケッツ部門のコアな部門であり、いろいろな仕事が集まっている、言ってみれば寄り合い所帯のようなところがあります。大きな部ですが、いろいろなチームが集まっており、非常に繁忙がゆえに、こういう機会を作ることがなかなかできませんでした。今回、「働き方ではなく働きがい」「変えるではなく変わる」など、熱いメッセージの数々に触れて非常に感動しています。機会が許せば、ずっとこの部署を支えてくれているメンバーに感想を聞きたいと思います。

参加メンバー:まずこの取り組みで1番変わったなと思ったのは、やはり心理的安全性だと思います。実は、これまで心理的安全性が低いなんて自分でも思っていませんでしたし、人に壁を作るタイプでもないので誰とでも話せると思っていました。今回のトライアル部店の募集通達が社内で発信されたとき、メールを書いてドラフトに保存して「やろうかな、どうしようかな」と半日ぐらい悩みました。でも「やはりやってみよう」と思って送信ボタンを押したのですが、今ならすぐに押せると思います。 自分自身は心理的安全性が低いとは思っていなかったことが実は課題だったと思います。課題というのは、課題だと認識したらもう半分ぐらいは解決したようなものだと思いますが、組織再編や統合を繰り返す中で、心理的安全性が下がっていたことに気づいていなかったと改めて思いました。今はすぐに次長に相談できる環境なので、心理的安全性が高まったことが最も収穫だと思っています。

担当役員:力強いコメントをいただいて心強いです。市場はスピードが速くてフレキシブルな対応が必要なので、引き続き高い心理的安全性のもとで働けるようよろしくお願いします。

発表⑦ みずほ証券 事業統括部
「属人化解消がチーム内でのサポート体制の構築に寄与。ライフの充実につながった」

みずほ証券事務統括部チームでは、「チーム内に存在する業務を洗い出し・整理を実施し、チームメンバーと共有することでお互いをサポートできる体制を作り属人化の解消、効率化および生産性向上に繋げることで、ライフの充実(ライフが充実することでワークも相乗効果)を図れるチーム」というありたい姿に対して、90%の到達度まで取組を進めることが出来ました。
①タスク管理表を用いた業務の点検・改善
②自分の状況をカードで見える化し集中タイムを確保
③フォルダ整理方法のルール作り
④月一回、デスク回りの定期的な清掃
⑤不要な会議の削減、会議時間の厳守
の5つの取組を通常業務の中で常態化出来るまで実践することで、取組の後半は、属人化解消のための業務移管や知識・スキル向上のためのスキルアップや、強制早帰り(週一)や退社時間の宣言を通じてライフ面にも変化が生まれ、メンバーの大島さんからは「ライフの充実が、従来以上に少しずつ図れるようになってきた」というコメントが寄せられています。

■全体総括 WLBコンサルタント 田川拓麿からのコメント

株式会社みずほフィナンシャルグループ様事例6

7チームの皆様、お疲れ様でした。それぞれの個性を発揮して取り組まれたところが大変素晴らしいと思います。私から、3点お伝えします。
「心理的安全性」という言葉をたくさん出してくださいましたし、他の部署との連携も生まれました。この関係性や距離感の近さを皆様に感じていただきたく、我々はコンサルティングをしていました。皆さんがこの8か月で関係性を大きく変えられたことは、元々皆さんが持っていた良さだと思います。

2点目は、皆様がやってくださったのはバックキャスト思考です。反対の言葉はフォアキャスト思考です。フォアキャスト思考は、目の前の数値を基に改善をしていくものであり、バックキャスト思考は、ありたい姿やパーパスに基づいて自分たちが何をしていくかを手前に落としていくやり方です。
バックキャスト思考を進める上で大切なことは、チャレンジができるかです。金融業界で働く方の特長に、リスクや小さなできてないことに目が向きがちということがあります。今回、いろいろなチャレンジができたのは、役員が「正解がないチャレンジをしていく」「失敗をしてもいい」とおっしゃったような後ろ盾があったからです。正解のない取り組みですから、やってみてやり方を変えていくことにチャレンジし、役員の皆様はそれを承認するという関係性をどんどん築いていただければと思います。

そして、3点目です。「形状記憶合金」という言葉をご存知でしょうか。元に戻ってしまう形状記憶合金にはどうしたら対処できるのかというと、高い温度を与え続けることです。今日高まった、この温度を下げないように意識していただければと思います。

この取り組みは皆さんが幸せになり、そしてお客様を幸せにする取り組みであると認識しています。皆さんが「やってよかった」「お客様にこれだけ貢献できた」という観点でぜひこれからも取り組んでいただきたいですし、お互いに感謝を伝えたり、やりがいを伝えていったりする取り組みをしていただければと思います。

■秋田夏実グループCPOからの全体へのコメント

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チームのディスカッションの様子をみると、和気あいあいと楽しそうに、笑いもこぼれつつお話されているのが印象的でした。キックオフ時と比べて、目に見える大きな変化だと感じています。
それぞれの方が発言する様子も非常に慣れていましたし、話を聞く姿勢も非常によくなっていると思いました。今回の取り組みを通じて会議のファシリテーションが上手になり、話すことに慣れたのは、実は副次的な素晴らしい効果だと感じています。「話す・聞く」というコミュニケーションの基本がどのチームも上手になっていて、これがまさに心理的安全性だと感じたところです。

私が荻窪法人部のカエル会議に飛び入り参加したときには、一緒に輪に入れていただき、本当によい経験になりました。役員の会議など、いろいろなところで皆さんの取り組みを紹介したり発信したりしていますが、毎回「すごいね」という反応が返ってきます。もちろん定量的な変化も出ていて素晴らしいですが、それよりさらに大きな定性的な変化があったのではないかと思います。

今日は、総合資金部の参加メンバーから「課題を課題と認識したらもう半分解決したようなもの」という素晴らしい名言が飛び出すなど、印象的な発言がたくさんありました。皆さんは強い思いを持ち、迅速に考え、「とりあえずやってみよう。まずやってみよう」と実践するなど、何事にも関心を持ち創造的な取り組みをしてきました。そしてメンバーの多様な意見に耳を傾け、協力し合って進めてきました。
それを見ていて、「これって、まさにバリューじゃないか」と思いました。今回の働き方改革の取り組み自体は1月から始まっていますが、結果的に私たちは5月に改訂された企業理念のバリューに則った取り組みをしていた。いつの間にか、バリューを実践していたのだと気付かされました。皆さんがこれまでやられてきたことの火を消さずに、いかにつなげていくかが非常に大事であると、改めて強く思った次第です。
本当に皆さんここまでお疲れ様でした。

株式会社みずほフィナンシャルグループ様事例8

担当コンサルタント
田川拓麿
永田瑠奈
川本孝宜
原わか奈

 

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