Case Study

有限会社アクアテクニカル様

「生産性向上」を最終目標に、コミュニケーションから変えていく!
全員で一歩ずつ“ワクワク職場”を実現するアクアテクニカル

県を挙げて、さまざまな角度から働き方改革に取り組む山口県。今回は、県が実施した「働き方改革モデル事業」のオンライン報告会より、有限会社アクアテクニカルの成果をご紹介します。
創業者、社長、営業のベテランをはじめ、若手社員全員を巻き込んで実施された同社の働き方改革。今回のオンライン報告会では、総務部・千々松(ちぢまつ)杏さんが発表してくださいました。

有限会社アクアテクニカル 本社は山口県宇部市。オフィスビルやマンション、工場、公共施設・大型施設といった多彩なフィールドで、ポンプ、空調機などの機器やシステムの販売、メンテナンスを展開する建設業。働き方改革は2017年から着手。長期出張をする従業員も多いため、方向性や目標の共有、コミュニケーションを重視しながら丁寧に進めている。

まずは「ありたい姿」を決める。実現可能な目標から一歩一歩。

アクアテクニカルが働き方改革に着手したのは2017年。試行錯誤しながら取り組みを続けるなかで、“中だるみ感”を実感したり、「進んでいる気がしない」「以前の状況を忘れている」といった声も聞かれました。

担当の千々松さんも「1人ひとりの考え方が多様なので、目的意識を共有することの難しさ、なかなか前に進まないもどかしさを感じていました」と振り返ります。2020年からはWLB認定上級コンサルタントもオンラインで併走させていただきながら、さらに本格的な改革を進めていきました。

まず、第1回目の定例会ではこれまでの取り組みを振り返り、「5年後のありたい姿」について話し合いました。(参考:下図)

千々松さん:最終目標は「生産性向上」ですが、弊社の場合、その前にもっと土台をしっかりさせる必要があると考えて、「会社の5年後、ありたい姿」を明確化することから始めました。

また、円滑なコミュニケーションを促すため、「社内で言われて嫌な言葉、NGワード」や、反対に「言われてうれしいGOODワード」などを挙げ、それを働き方改革ブースに掲示。全社員に「共感できるもの」を選んでシールを貼ってもらうことで、ありたい姿の具体像をあぶり出しました。(参考:下図)

ゴールイメージは「コミュニケーションが活発な“ワクワク職場”」

さまざまな意見を集約した結果、ゴールイメージは「ワクワク職場をつくろう!〜コミュニケーションが活発な職場」に決定。生産性の向上という最終目標達成のために欠かせない土台、すなわち「心理的安全性の高い職場づくり」を当面の課題とし5つのアクションを決めました。

ありたい姿を実現するための5つのアクション
ゴールイメージ:「ワクワク職場をつくろう!〜コミュニケーションが活発な職場」

  • アクション1:感謝の気持ちを伝え合え、互いを思いやれる職場環境づくり
  • アクション2:企業理念や賃金制度・処遇・スキルマップ等の情報共有
  • アクション3:誰もが見やすい・書きやすい作業マニュアルの作成
  • アクション4:人材育成制度の充実
  • アクション5:「夢を語る場」を設ける
  • アクション1 感謝の気持ちを伝え合え、互いを思いやれる職場環境づくり

社内での言葉使いが乱れがちで、普段のコミュニケーションはもちろん、仕事の指示・伝達・報告も不活性化していたため、NGワードの設定や感謝の言葉を積極的に伝えることなどで働きやすい職場環境を構築。

千々松さん:若手からは「あだ名で呼ばれるほうが親近感がある」という声もあがったので、私たちらしい適切な距離感をさぐり、実践しています。また、社員から提案のあった「ありがとうカード」をみんなに見える場所に掲示し、伝えたい人に赤シール、伝えた人は青シールを貼るようにしています。上司からも積極的にありがとうと伝えるなど、思った以上の盛り上がりを見せていて、社内の雰囲気が明るくなったことを実感しています。

会社のトップからは、ありがとうをもらった数、伝えた数を評価のひとつとして取り入れようという意見も出ています。スタートして2週間あまりですが、公私ともに充実している人ほど感謝の言葉が多く寄せられている気がします。

打ち合わせ中のやり取りが活発になり、業務で助け合う姿勢も生まれました。「感謝のことば」は自分を助けてもらえる貯金だと考えています。

  • アクション2 企業理念や賃金制度・処遇・スキルマップ等の情報共有

社内規定などのさまざまな情報できるだけ“見える化”して共有。スマホからAdobe Creative Cloudにログインし、いつでもどこでも社内全体の情報を閲覧できるようにしたことで、工程管理も現場でできるように。

  • アクション3 誰もが見やすい・書きやすい作業マニュアルの作成

事故、トラブル、ミスを未然に防ぐ命綱ともいえるマニュアルだが、現状では書式がバラバラで保管場所も不明なものが多く活用しきれていない。そこで過去の事例も添付しながらいつでもどこでも誰もが見やすいものを作成することに。現場の若手が使いやすいマニュアルを目指して、繁忙期を過ぎた4月から、アイデア出しを進める計画。「紙ベースで伝わりにくかった工具の使い方、手順などを動画にしたらわかりやすいのでは?」などの意見も出ている。

  • アクション4 人材育成制度の充実

資格情報・キャリアアップについての面談機会設置、社外研修を含めた人材育成制度を確立するなど、新入社員や若手が働きやすい環境を整備。

千々松さん:人が育たなければ会社も成り立ちません。個々がスキルアップできるしかけを作り、それぞれの夢に向かって教えたり教えられたりできる関係性を構築したいです。とくに若手社員はメンタル面のケアも必要なので、不安を取り除けるような声かけを心がけています。疲れて帰社したとき、ひと声かけてあげるだけでも表情がやわらぐのがわかりますよね。

  • アクション5 「夢を語る場」を設ける

安全・安心な会社にしていくために、社員1人ひとりの思いを語る場を設置。得意なことや好きなこと、困っていることなどを気負いなく自由に話せるよう、「フリップトーク」を実施。

千々松さん:カエル会議で社長から「夢を語る場を設けよう」と提案があり、さっそく定例会で実施。緊張気味の若手もフリップトークを活用することでしっかりと自分の想いを発表できていました。

社員全員が集まる新年の安全祈願祭後にも、夢を語る場を設定。定例会参加者5名がリーダーとなって4〜5名のグループでフリップトークを行い、全員が想いを伝え合うことができました。事務所中が大きな笑いに包まれ、とても良い年明けに。

千々松さんらとともに取り組みを主導する企画営業部の境さんからは、「最初は働き方改革への関わり意識を持てない人もいると思いますが、弊社の場合、コンサルタントとの定例会に参加してもらうことで意識が変わりました。コンサルタントさんの話を聞いたり発言したりすれば、改革の意義や“自分ごとである”ということが実感できるので、そういった場を設けるとよいのではないでしょうか。働き方改革は決して難しいことではなく、やれば誰にでもできます!」とのコメントもいただきました。

働き方改革は、やればできる。そして、やってよかった!と思えるものです。日々実践されている方たちの経験を参考にしながら、ぜひみなさんの職場でも取り組んでみてください。


担当した認定上級コンサルタント*(ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座第3期卒業生)
吉岡和佳子の総評

すばらしい成果をあげていらっしゃるアクアテクニカルの取り組みですが、私がとくに注目したポイントは3つあります。

1)コミュニケーションの活性化に着目した

どこの組織でもコミュニケーションや人間関係に課題を抱えていて、こうした「コミュニケーションの詰まり」を解放することが働き方改革の突破口になるものです。そこに目を付けたということがとてもよかったと思います。NG/GOODワードを具体的に示したり、フリップトーク、ホワイトボードの活用などにもすぐに取り組まれていたのがすばらしかったです。

2)違う立場の人たちがそれぞれ活躍

本日お話しくださった若手代表の千々松さん、シニアで経験豊富な境さん、そして創業者であり社員思いの平本会長。立場の違うみなさんが三本の矢となり、本音で意見をぶつけあって取り組みを進めていったというのも大きなポイントです。みなさんが結束することでトップから現場まで血の通った取り組みが実践できました。

3)現場の社員さんをうまく巻き込んだ

外の現場で業務を行う社員さんが多く、とくに若手をどうやって取り込むかが大きな課題でした。総務担当の千々松さんが、戻ってきた社員さんをつかまえて聞き取りをされたり、その結果を掲示して会社全体を巻き込んだりと、きめこまやかに対応されました。

アクアテクニカルさんは2017年から取り組みを続けていらっしゃいます。冒頭のお話で「ちょっと停滞しているかな」という振り返りもありましたが、実際には事故やケガが減っていたなどのすばらしい変化が起きています。そういったことをしっかり実感して、時折「あぁ、ちゃんとがんばってきたな」と確認し合うこともとても大事だと思います。

この先も「ありたい姿」に向けてみなさんで協力しながら前進していただきたいと思います!


認定上級コンサルタントとは…当社主催「ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座」を受講、認定試験を合格された方の中で、当社が認定している上級ワーク・ライフバランスコンサルタントとして実績豊富なコンサルタントの事を指します。

担当コンサルタント

文/山根かおり

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