Case Study

松原保育園

保育現場の働き方改革を一丸となって進めている山口県
松原保育園 保護者の理解も得ながら、より良い保育体制と働きやすい職場環境を実現!

園児の保育という主要業務以外にもさまざまな事務作業があり、働き方改革が難しいともいわれる保育現場ですが、山口県の松原保育園では「今以上に働きがいのある職場」を目指し、職員全員が一丸となって取り組んでいます。取り組み2年目を振り返って、オンラインで発表していただきました。

社会福祉法人 松原保育園1948年(昭和23年)に開設され、地域に長く深く根差している山口県光市の保育園。海と山に囲まれた自然豊かな立地で、生後6ヶ月から就学前までの子どもたちを保育対象とし、「一時保育」や「延長保育」などにも対応。働き方改革には2019年に着手し、心理的安全性の高い職場環境を実現している。

新卒採用から子育て中・子育て後の保育士、シルバー人材センターからの派遣まで、幅広い年齢層の職員が活躍する松原保育園。今回は働き方改革への取り組み2年目となった2020年度の様子を事務長の北村さんにご紹介いただきました。

1年目の取り組みを振り返ることで、2年目はさらに飛躍

2年目を迎えるにあたって、まずは前年度の振り返りを実施しました。「ふりかえりシート」を非常勤職員も含む保育士全員に配布し、取り組み項目ごとに、実施した感想や改善すべき点などを書き込んでもらいました。5点満点で評価し、その点数を集計して職員の声を可視化しました。

職員からの評価が高かった項目トップ3は以下のようになりました。 ●シール帳の改善 保護者とのやり取りは今まで通り十分に行いつつ、シール帳への個別コメントの代わりに掲示板を活用して保育内容を伝えるなど、やり方を工夫することで事務作業を軽減。その分ゆったりと園児に向き合えるようになった上、掲示板は保護者からも好評。 ●土曜日勤務時間の短縮 就業規則の変更が必要な内容なので理事会にて承認→導入。従来は土曜日も8時間勤務であったが、変更後は6時間に短縮。この時間を各自の休養にあてたり、前年度から実施している「ノーコンタクトタイム」(=周囲の状況に関わらず自分の仕事に集中できる輪番制の時間)として活用できるように。 ●登園管理システムの導入 手作業で行っていた延長保育料の集計作業を自動化。作業量が1/10以下に軽減され、保育士の負担感が大幅に減った。 北村さん: 前年度の振り返りで評価の高かったものは「職場の環境改善」「手作業(アナログ)の削減」に分類できると思います。ここから、2年目の取り組みをさらに加速させるヒントが見えてきました。 また、1年間実施したことで、これまで当たり前のように行っていた業務も「変えられる!変えていける!」と実感できたこと、これも職員にとって大きかったですね。

「バディチーム」の導入が成功のカギに!

1年間のさまざまなアクションを経て、翌年は「職場全体でさらに一体感を持って取り組んでいこう!」という機運が高まったという同園。それを実現させるため、新たな制度も導入しました。それが「バディチーム」です。

乳児クラスと幼児クラスでは保育内容が全く異なるため一緒に活動する機会がなかなかないそうで、「顔はわかるけど名前は一致しない」ということも。そこで互いに交流を持つため、乳児・幼児クラスの保育士同士の組みあわせを中心に3名のグループを組んでもらい、これを「バディチーム」と名付けました。

コミュニケーションの活性化や情報伝達・意見集約の効率化など、多様な効果が生まれました。2年目の働き方改革定例会への参加メンバーはこのバディチームのリーダーを兼務されたそうで、取り組みはますます加速していきます。 第1回目の定例会後には、「自分たちの職場の『ありたい姿』を考えよう!」という内容のワークシートを全職員に配布し、その姿を実現するための具体的なアクションを記入してもらいました。

チームでも活発な議論が巻き起こり、書き切れないほど!チームによっては2枚目も作って、熱心に「ありたい姿」を考えました。

この後、各バディチームから出された案の中でもとくに重視したいキーワードを付箋で出してもらい、「ありたい姿」を具体化していくわけですが、この作業においても松原保育園らしい工夫がありました。 北村さん: 昨年の取り組みでは、みんなから出てきたキーワードを私が編集してパッケージ化し、「これでいきましょう!」と取りまとめた感じでした。2年目はコンサルタントさんとの事前ミーティングで「今年はより一体感を持って進めたいですね」という助言をいただいたこともあり、私がつくった案に対してみんなのコンセンサスをとるというプロセスを定例会で行ったんです。

↓ 最初の案に対してのチームメンバーからの感想 ・もっとわかりやすいほうが良いです。 ・みんなに伝わりやすいことが大事だと思います。 ・もっと短く、シンプルなほうが良いと思います。 ↓ チームメンバーからの感想を取り入れて最終的にできあがった「ありたい姿」

北村さん: 保育士案の「ありたい姿」とアクションは、私の案と比べてもすっきりまとまっていて「いいなぁ」と思いました。コンセンサスをとるプロセスを追加したことで、前年度以上に一致団結して進められるムードになったと思います。 「ありたい姿」を実現するための4つのアクションは現在も積極的かつ具体的に取り組み中で、現在までの達成度は70%ほどだといいます。「100%達成に向けて今後も進めていきます」と語ってくださいました。 北村さん: 現場の保育士は、コロナ禍であっても日々奮闘しています。保育園という職場が少しでも働きやすくなれば職員の負担も軽減できると思い、改革を進めてまいりましたし、「保育園の働き方改革」という実例が非常に少ないということで、できるだけほかの園の参考になればという想いもあります。 保育業界のみなさん、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう!


担当した認定上級コンサルタント*(ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座第13期卒業生)
倉富玲子の総評

今回の取り組みにおける大きな特徴は、北村事務長が考案されたバディチームの導入。これが多大な成果につながったと思います。 先ほどの発表にもあったように、定例会で決まったことをほかの先生方に効率的に伝えられるだけでなく、次の定例会で話し合いたいテーマについてもメンバーで話し合っておき、意見を集約する場としても機能しています。さらに、メンバー構成を世代の違う方同士や乳児と幼児のクラス同士など、ふだん関わりが少ない方たちで組んだという工夫もすばらしかったです。 定例会の前後には、事務長と私たちコンサルタント2名で必ずリーダーミーティングを実施しました。最初のリーダーミーティングで北村事務長がおっしゃった「今年度、保育士の先生が一番解決したいことを解決したいんです」というひと言がとても印象に残っています。本当に現場を理解して働きやすくしたいと考えておられることが伝わりましたし、この想いが成功につながったのだと思います。 「働き方改革はこの園が続くかぎり、続けていくことだと思います」という発言もあり、本質を理解されているなとも感じました。保育士さんは年齢も経験値もひとりひとり違うので、当たり前ですが価値観や意見も違います。これからも多様な課題が出てくるでしょうし、社会生活や状況もいろいろ変わっていきますので「働き方改革はここで終わり」というのは、やはりないと思うんです。 これからも、園として大切にしていきたいこと、先生たちが大切にしていきたいことにつながる取り組みができているかを注視しながら、今まで通り丁寧に話し合い、聞き合いながら課題を解決して、さらに理想の園に近づいていかれることと思います。そして、ほかの園や周辺の企業にもよい影響を与えていっていただきたいですね。


認定上級コンサルタントとは…当社主催「ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座」を受講、認定試験を合格された方の中で、当社が認定している上級ワーク・ライフバランスコンサルタントとして実績豊富なコンサルタントの事を指します。

担当コンサルタント

文/山根かおり

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