Case Study

静岡コンサルタント株式会社様

建設コンサルタント「静岡コンサルタント」が働き方改革で前年比295%増益
残業を15%減少させても仕事量は10%増やし、時間当たり生産性は30%向上と大幅改善
株式会社ワーク・ライフバランスの「カエル会議」メソッドを経営者も実践!

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建設関連の専門技術サービスを提供する建設コンサルタント、静岡コンサルタント株式会社(静岡県三島市)は、2019年から株式会社ワーク・ライフバランスの働き方改革コンサルティングを導入されました。
2019年から始まった職場単位でのカエル会議*や、2020年から実施しているトップ・ミドルマネジメント層における階層別のカエル会議により、全社的な働き方改革に取り組まれています。
働き方改革コンサルティングを通じて、2020年度において税引き前当期純利益 1億5,900万円(前年5,400万円)と、前年比295%増を達成、完成工事高が前年比111%と仕事量が増加するなか、時間外勤務を14.4%減少させるといった成果をあげられています。

「無駄口を聞かず集中して仕事をしろ!」
良かれと思って選択したスタイルが悪循環のきっかけになっていた

建設コンサルタント業は測量や地質調査、橋梁設計などの技術専門領域を持ち、年度末に向けて繁忙期を迎えるといった特性があり、長時間労働となる傾向があります。従業員一人ひとりに専門分野があることはもちろんのこと、長年の経験を通じて培われる技術力を一朝一夕で磨くことはできず、属人性の高い仕事となる傾向も強く持ちます。

長年、健康経営に取り組み労働時間縮減に取り組んできた静岡コンサルタントでは、2014年から2015年で時間外勤務の約30%削減に成功しました。

しかし、2015年に9名の離職等もあり、業務量が変わらない状況で新たに採用された未習熟な技術職員で応じる必要があり、再び時間外勤務が増加傾向へ転じました。「無駄口を聞かず集中して仕事をしろ!」という雰囲気が生まれたことで、さらなる離職を生むという悪循環が発生、2019年までは月の残業時間が80時間を超える従業員も多く、特定の技術者に仕事が集中する状況がありました。この期間には労働基準監督署の是正指導を受けたこともあります。

そこで、この悪循環を断ち切るために、2019年に、社会基盤を支える企業として、もっといい仕事を短時間で成し遂げるにはどうするといいのかを職場単位で話し合う「カエル会議」を、株式会社ワーク・ライフバランスの支援のもとで導入しました。

静岡コンサルタント様 事例1完成工事高と総残業時間の推移

「カエル会議」で、「誰かが解決する」から「自分たちで解決」する、へと意識転換

株式会社ワーク・ライフバランスのコンサルティングで最初に取り組んだことは、全従業員を対象にした説明会です。これは「働き方改革」と聞いても、人によってイメージする取り組みが全く異なるためです。ある人は3次元CIMの活用と言った手段をイメージし、ある人は労働時間の縮減をイメージする。皆で「どんな取り組みをするのか」「それは何のためなのか」を理解し、部門ごとにカエル会議に取り組むことの本当の目的や、一つひとつの言葉の解釈を揃えるところからスタートしました。

当初、この全従業員向け説明会の参加者からは「発注者がいる仕事だから難しい」「仕事量を減らさないことには…」といった難色を示す方もいらっしゃいました。しかし、担当コンサルタント松久晃士吉田拓真は当時を振り返り、「できない理由が出てきたことは実は大きな前進。なぜなら誰も今の働き方を変えることには反対していなかったわけですから。誰もが今のやり方を変えた方がいいと感じた。これは説明会として大成功です。」と言います。

このあと全部署でカエル会議がスタート。その中でも売上げの多い技術部門の3チームをモデルチームとして、コンサルティングを受けながらカエル会議を開始しました。

特に、チームごとに働き方の理想と現実のギャップ(=問題点)を見つけ出し解決策を議論する「カエル会議」の実践は大きな効果をもたらしました。それまでは「誰かが解決する」と自分ごとではなかった問題や働き方の無駄に対して、「自分たちで(自分で)解決する」という発想に転換することで、日々のちょっとした仕事の進め方の改良、情報共有のためのホワイトボードの設置だけではなく、中長期の視座を持ち技術力の向上にも取り組めるようになりました。中堅層の離職のあったチームでは、「若年層の技術力向上がカギとなる」との発見があり、カエル会議でいかに短期間で大きな成長をするのか、議論が重ねられました。カエル会議内で行われる「付箋ワーク」を導入したことで、全参加者の意見を出し合い、みんなで決める会議へと進化しました。

 

経営層、管理職層、全部署で取り組むことで働き方改革の好循環が実現

これらの取組みにより、仕事量(完成工事高)が変わらないなか、月の残業時間が80時間を超える従業員が激減したほか、「変われる、変わっていける、変わらないといけない」といった声が多くの従業員から聞かれるようになり、改革の機運が高まりました。

残業時間が減ったことで「帰りやすい雰囲気」が生まれ、職場の雰囲気を大きく左右する管理職のベクトルが揃い、働き方改革の取り組みが加速しました。技術力向上についてはスキルマップ(次項の「参考:スキルマップの活用」をご覧ください)を作成することで「どんな経験を」「どんな技術を」身につけると成長できるのか、明確に描くことができ、20代は91名のうち19名と多く、彼らの成長の加速(技術力の向上)が仕事の効率化や生産性向上につながっています。

部署ごとのカエル会議だけではなく、経営層や管理職層のカエル会議も機能しているため、「もっとこうしたらいいのに」と思っていたことも、社内で提案しやすくなった「言えば変わる」という実感がわいている、という声もあります。

こうした働き方改革コンサルティングを通じて、2020年度において税引き前当期純利益 1億5,900万円(前年5,400万円)と、前年比295%増を達成、完成工事高が前年比111%と仕事量が増加するなか、時間外勤務を14.4%減少させるといった成果をあげられています。

静岡コンサルタント様 事例2コンサルティングメソッドであるカエル会議をしている様子

参考:スキルマップの活用

働き方改革の取り組みにおいて、どんな組織でもキーワードになるのが「可視化」です。誰がどこでどんな仕事をしているのかという、スケジュールの可視化はもちろんのこと、アイデアや考えを誰もがみられるホワイトボードにいつでも書いていい、という可視化も考えられます。

静岡コンサルタントではこれらに加えて「技術力向上の可視化」に取り組まれています。具体的には技術者として求められる資格や経験、知識などを洗い出し、現在時点でどの程度を持っているのかを自己評価します。これを「スキルマップ」(技術力に関する現在地を明らかにする地図)と呼びました。さらにスキルマップを見ながら上司と面談するなど、今後の仕事を通じて、特にどの分野に注力をしたいのかを考えるようになりました。「経験こそがものをいう」というような職人的な領域について、可視化することに成功し、成長実感を持ちながら日々の仕事に取り組めるようになった好事例であると言えます。

静岡コンサルタント様 事例4作成したスキルマップの一部

多発化・甚大化する自然災害への迅速かつ的確な対応という
建設業界独自のミッションに挑戦する働き方改革へと進化

こうした働き方改革コンサルティングでの成果をふまえつつ、今後は、「この歩みを止めない」ことが重要であり、老朽化する社会インフラの維持・管理・更新と多発化・甚大化する自然災害への防災と迅速かつ的確な復旧への貢献体制を築けるかが課題となります。

既に2年目を迎えた、経営トップ層のカエル会議「トップカエル会議」と、次長・課長が中心となって構成する「ミドルカエル会議」、30歳以下によるパラダイム転換を促す「U-30会議」によって全社的な連携をさらに強化し、より高い技術レベルを提供できる従業員の育成にも注力しています。

また、さらなる働き方改革の進化については、現在、愛知県と岩手県で働き方改革に取り組む同業者と取り組みの具体的な内容をオンラインで共有する機会を設けており、相互に良いところを取り入れていこうと話しています。また、30代の従業員が少ない構造もあり、年齢層において上下のコミュニケーションがうまく機能していないことがモラルサーベイによって明らかになっており、この分野にしっかりと経営層と管理職層で注力していくとのことです。

 

担当コンサルタントから

業界全体で「i-Construction」(ICTの全面的な活用)が進んでいます。例えば測量にドローンが活用され、設計図が2次元から3次元へと切り替わることによって、これまでよりも短期間かつ少ない人員で、1日あたりの仕事量を増やす、といった爆発的な生産性の向上が期待されています。こうしたDX推進において見落とされているのが「働く人たちの意識の変革」と「旧来の仕事の進め方からの脱却」の2点です。DX推進ではデジタルを活用して全く新しい枠組み・働き方を見つけ出さなくてはなりません。

静岡コンサルタントの取り組みは、この2点を実践されている好事例であると考えます。その成功の要因は、カエル会議、ミドルカエル会議、トップカエル会議、U-30会議が有機的に連携しているからです。

経営トップから一般職層までの誰もが「自分が参画するカエル会議」の機会を持っています。自分の意見やアイデアを出す場を全員が持っていることによって、「誰かが変えてくれる」ではなく「私が静コンを変える」と考えられるようになってきています。i-Constructionに欠かせない意識改革と旧来の仕事観や仕組みからの脱却を、成し遂げようとしているのです。


*カエル会議・・・自分たちはこうなりたいという「ありたい姿」をチームごとに話し合って決め、現状の課題の抽出、それを解決するためのアクションプランについて議論する会議。 「カエル」には早く帰る、働き方を変える、人生を変える、などの意味が込められており、「絶対に否定しない」「何を言っても大丈夫」というグランドルールがあります。

 

担当コンサルタント

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