Case Study

株式会社宇部情報システム様

一人の強い想いが周りを巻き込みながら「良い変化」を生み出していく 「カエル会議をやってよかった!」と全員が納得し、次へと進む好事例

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県を挙げて、さまざまな角度から働き方改革に取り組む山口県。今回は、県が実施した「働き方改革モデル事業」のオンライン報告会より、宇部市に本社を置くIT企業、株式会社宇部情報システムです。「朝メールドットコム®」の導入などで取り組みが飛躍的に前進した同社、そのポイントを語っていただきます。

株式会社宇部情報システム

1983年、化学、機械、建設資材、エネルギーなど幅広い分野で事業展開する宇部興産の情報システム部門が独立。グループ内にとどまらず、山口を中核としながら首都圏や関西圏にも拠点を設け、全国的にサービスを提供している。2020年に宇部市が実施した弊社小室淑恵の講演を機に「朝メールドットコム®」の存在を知り、人事総務部に導入(現在も使用中)。弊社の認定上級コンサルタントも参画しながら、課題解決に取り組んでいる。


2019年にテレワークをスタートさせ、コロナ禍の2020年3月以降は加速度的に推進してきた同社。東京・大阪・福岡のオフィスはほぼ100%、宇部本社でも在宅率をあげながら業務に邁進しています。2020年11月には山口県労働局から『過重労働解消キャンペーン』の取材を受け、積極的に取り組む企業としてヒアリングも受けました。今回は人事総務部のメンバー7名で取り組んだ働き方改革について、高村香織さんがオンラインで発表してくださいました。

キックオフ時に出た課題と、メンバーで決めたゴールイメージ

キックオフでまず実施したのは、現状の洗い出し。その結果、以下のような意見が「課題」として挙げられました。

・会議が多い ・突発的な仕事が多い ・情報共有が少ない ・仕事が属人化している ・意見が言えない  ↓ ・残業が多い

この課題をふまえ、「私たちのありたい姿(ゴールイメージ)」を「情報共有しながら仕事を見える化し、お互いがフォローしあってしっかり意見も出しつつ、どんなに忙しくても20時にはみんな帰る」という内容に決めました。

高村さん: ゴールイメージのうち「どんなに忙しくても」という部分は後から追加したものです。何度かカエル会議*1を繰り返す中で「20時というのは、どういう位置づけなんだろう?」と改めて振り返る機会があり、「やっぱりそこは最低限のラインだよね」ということで一致したのです。何事もしっかり話し合い、各自が納得してから臨むことが実践・継続につながると思います。

課題が見えてきたらカエル会議で深掘りし、アクションを明確に!

残業を増やす大きな要因だった「会議問題」はさらに深掘りし、「なぜこんなことになってしまうのか?」を考察。さまざまな意見が出されるうちに「何のための会議なのか、目的やゴールが見えないいまま動いていた」ということ、つまり「会議の進め方に問題がある」ことを改めて認識し、以下のような具体的なアクションを進めていくことに。

① 考えて会議をスケジュールする(そもそも必要なのかわからない会議があるので、その見直し)

宇部情報システムズ様 事例2

②会議のスケジュールを決める際に議題や進め方も明記する(会議時間が長いことを是正)

宇部情報システムズ様 事例3

③会議を入れない日を設定する(ワークに集中する時間を確保)

高村さん: 「本当に必要な会議なの?」「この会議に私が出る必要あった?」などの会議も含め、以前はかなり会議が多かったため、たとえば「この日は集中して作業をしよう」と考えていた日にも会議で時間を取られて予定していた業務ができない、その結果、残業が増えるといった悪循環が生まれていました。 そこで3つ目のアクションとして、毎週水曜日は会議を入れない日「会議入れないデー」としました。予備日としても使えるので気持ちに余裕ができ、作業がはかどるという声もあがっていました。

まず上記3つに取り組み、「会議問題」が落ち着いてからさらに以下を追加しました。

④資料作成での「手戻り」が多くて困っている窮状を上司に伝え、明確な指示がもらえるように動く(資料作成に時間をさかれて本来の主要業務が圧迫されるのを回避)

宇部情報システムズ様 事例4

高村さん
「上司に窮状を伝える」というアクションはコンサルタントさんから「困っている状況に気づいてもらえていないのかも。まずは伝えてみましょう」という強い後押しがあって実行したもの。こちらからも明確な指示がもらえるよう、ただ待つだけでなく、あの手この手で「こういう認識で合っていますか?」と聞き直すことを心がけました。

働き方改革を振り返って。「カエル会議をやってよかった!」

弊社が考案したカエル会議を定期的に続け、さまざまな成果を挙げてこられた同社。取り組みを振り返った際、メンバーからは「カエル会議をやってよかった!」という実感とともに、以下のような感想が出たそうです。

「職場のメンバー全員が議論に参加し、意見を言い合えるようになってきたことが良い。」
「働き方改革の中で何の施策に具体的に取り組み、成果が出たということよりも、 自分たちがチームになってきたことが「職場をかえる」意味での一番の成果かもしれない。」

高村さん
メンバーからは、「言いたいことが言い合えた」「考えた対策を実践してみることができた」「誰か一人の意見ではなくみんなの意見を聞きながら進められた」「自分一人では愚痴をこぼすだけで実践に移せていないことも、みんなの知恵と実行力で結果のあるものとなった」などの声が聞かれました。

おかげで関係性の質はぐぐぐんと向上し、残業時間も月26.5時間という目標に対し月20.95時間を達成することができました。上司がカエル会議の開催や対策の実施を認めてくれたことにも感謝しています。 「やってよかった」という気持ちが本当に大きいので、この先もカエル会議を続けて現状の課題をまた洗い出し、新しい目標を設定してがんばろうとみんなで話しています。カエル会議は今後誰もが推進役になれるようにしたいとも考えています。

また、達成した成果がわかりやすくなれば部外にもアピールできるので、そこももっと具体化していきたいと思います。

その後も引き続き実践中!

報告会後についても引き続き実践中!と高村様より嬉しいご報告をいただきました。

高村さん: 2020年度は部内のグループ間横断でカエル会議を実践してきたが、「お互いの細かい業務はわからないため手が出せない改善領域がある」という前年度実施時の反省から、2021年度はグループ内でのカエル会議を開始。前年度メンバでのカエル会議も継続し、いわばそれを親ガエル会議とし、グループ内での子ガエル会議をしっかりと回していくフォロー的な位置づけとしました。

  • 子ガエル会議(グループ内のカエル会議):隔週30分~1時間
  • 親ガエル会議(グループ横断のカエル会議):月1回 30分~1時間

部内でのありたい姿は「向上の意識を保ちつつ、各グループ内で課題の深掘りを行い、カエル会議でしっかり発信して「やってよかった!」と思える改善策を絶対1つ実施する。そしてどんなに遅くても19時には帰る。」(2022年2月末期限)。

これを実現するために、子ガエル会議でもそれぞれのありたい姿を定め、活動を進めている最中です。 必要に応じて高村が各グループの子ガエル会議にも参加し、ファシリテーターを務めたり、進め方のアドバイスも行っています。親ガエル会議にて各グループの進捗や困っていることを共有し、どうすればうまく進められるかを話したり、部横断の問題を取り上げて対応を考えたりしています。

特に親ガエル会議では、気軽になんでも話せる土壌ができたので、部内で考えるべきグループ横断的な問題の提起が行えるようになりました。「問題自体を考える会」だけではなく、「問題を提起できる場」となってきたことに嬉しさを感じています。

その他にも下記の事を実行しました。

▼働き方に関する講演を全社員に向けて開催!
せっかく学んだカエル会議の手法を全社に展開したい!と思いつつも、まだまだ「働き方を変える」という土壌がないため、WLB社コンサルタント堀江さんにお願いして90分間みっちり情報を詰め込んだ講演を8月に行っていただきました。

▼カエル会議を他の部署にも展開!
他の部署でもカエル会議を実践してみようという試みを始めました。まだリーダー養成の段階だが、選抜した4つのチームにて取り組んでみてもらい、働き方は変えられるのだという実感を得てほしいと思っています。

高村さんはこのように山口県働き方モデル実施期間を終えても自社内で取り組みを続けられています。 当社のサービスをうまくご活用いただきながらの内容も多くの企業の皆様にご参考になるのではないでしょうか。


担当した認定上級コンサルタント*2(ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座第13期卒業生)
福成有美の総評

コロナ禍で6ヶ月間、すべてオンラインのコンサルティングをさせていただきますが、みなさんの改革をひと言で表現するなら「課題を深掘りし、考えて、話し合いを重ね、一体感のあるチームになられたこと」がとても大きかったと思います。

先ほどオンライン発表後の質疑応答で「おとなしい人から意見を出してもらうにはどうしたら?」というご質問がありました。宇部情報システムさんでも、当初「言える人・言えない人がいます」とのことでしたが、ファシリテートしてくださった高村さんが「〜〜さん、どうですか?」とひとりひとりの声を大切に拾ってくださっていたことで、みなさんが「自分の考えを言ってもいいんだ」と理解し、発言する勇気につながっていったのではないでしょうか。

今回のチャレンジはリーダーである高村さんの強い想いからスタートしたのですが、取り組む中で3つの業務に携わる複合的なメンバーが「どう働きたいか」を主体的に考え、「働き方をかえよう。どんなに忙しくても20時には帰ろう」という目標のもと、2週間に一度という頻度で継続してカエル会議を実行されました。困り事ややりにくさなどを本音で深く語り合うことで関係性も深まり、メンバーから「私たちがチームになったことが最大の成果」という声があがるほど、一体感のあるバランスのよいチームに成長されました。

一見難しそうな課題もおざなりにせず、先ほどおっしゃったように、待つだけではなく自分たちには何ができるのか、という視点でアイデアを出して取り組んできてくださったこと。そして、「何のためにするのか」という原点回帰の考え方もとても重要だったと思います。

突発的な業務が生まれやすいという現状を考慮し「会議入れないデー」も設定されました。自由裁量で仕事ができる一日を設けることは、本日ご参加の他社さまでもマネのできる取り組みではないでしょうか。

最後の定例会で高村さんが「自分が良くなればいいかなと思ってスタートしたが、話し合いを続けながら周りを巻き込んでいく中でつながりを感じ、関係性の質があがった」おっしゃったのが印象的でした。メンバーからも「言ってもムダかもしれないけれど、言って何かが変わるんだったらめっけもん。みんなでアイデアを出せば改善できることはきっとある」という声もあがりましたね。

ひとりの強い思いは周りを巻き込み、みんなを当事者にかえることができるんだということを私自身も感じさせていただいたすばらしい取り組みでした。

人事総務という部署柄、これからは上司の方も含め、周りをさらに巻き込みながら会社全体の働き方改革の推進者として活躍されることを期待しています。


*1カエル会議とは…部署ごとに週1回実施、自分たちはこうなりたいという「ありたい姿」を部署ごとに話し合って決め、現状の課題の抽出、それを解決するためのアクションプランについて議論する会議。 「カエル」には早く帰る、働き方を変える、人生を変える、などの意味が込められており、「絶対に否定しない」「何を言っても大丈夫」というルールのもと、役職・年齢に関係なく和気あいあいと、自由闊達な意見交換がされています。

*2認定上級コンサルタントとは…当社主催「ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座」を受講、認定試験を合格された方の中で、当社が認定している上級ワーク・ライフバランスコンサルタントとして実績豊富なコンサルタントの事を指します。

 

文/山根かおり

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