Case Study

フクヤ建設株式会社様

効果検証を行いながら、着実に残業時間を削減。営業チームでは10.3時間の残業時間削減、新卒応募者数3.5倍の成果。設計チームでは会議時間50%削減をはじめ業務効率化・チーム協力体制の強化に成功。取り組みを発信し、人材確保→生産性向上の好循環サイクルを構築!

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高知県では、働き方改革を実現できる企業を増やすべく、2020年から「働き方改革実践支援事業」を開始。株式会社ワーク・ライフバランスの働き方改革コンサルティングを導入し、ワークライフバランス実践支援事業を進めてきました。今回は、対象企業として約8か月間にわたり働き方改革の取り組みを行ったフクヤ建設株式会社様に、取り組み内容をご紹介します。

フクヤ建設株式会社

1971年設立。社員数50名(2022年4月現在)。高知を拠点に建築の提案・設計・施工管理を行う。2022年3月、高知県ワークライフバランス推進企業に認証(次世代育成支援部門・女性の活躍推進部門/2022年3月~認証、健康経営部門/2019年9月~認証)される。

フクヤ建設株式会社は、2021年7月、高知県が実施する「ワークライフバランス実践支援事業」の対象企業に選定され、 2021年7月〜2022年2月まで「働き方改革コンサルティング」を導入。働き方改革を通じて、課題の解決や生産性の向上に取り組んできました。2022年2月21日にオンラインで開催された、「令和3年度 高知県ワークライフバランス実践支援事業 最終報告会」の内容を中心にお届けします。

 
 

【発表1】 フクヤ建設株式会社営業チーム 平岡美香さん

女性が活躍する職場

フクヤ建設は女性の割合が50%であり、建設業の平均(14.2%)と比較して女性の割合がとても多い建設会社です。また女性役員は50%、女性管理職も40%、女性の現場監督は2名。建設業での女性管理職の平均が2.4%(2021年7月~2022年6月時)ですから、女性が多く活躍している会社といえます。

育休取得者は今まで100%でしたが、2021年末に男性1人が育休を取得し、男性も取得率100%となりました。このようにフクヤ建設は変わり始めています。

「残業時間の短縮」と「整理整頓」に取り組む

営業チームでは、まず「残業時間の短縮」と「整理整頓」に取り組みました。

■残業時間短縮では、以下の取り組みを行いました。

  • ・「カエリMonday」の設定…月曜日にみんなで定時に帰る取り組みです。
  • 「集中ボード」の作成…仕事に集中しなくてはならない時間帯を見える化しました。

フクヤ建設様事例1


フクヤ建設様事例2

■整理整頓では以下のような整頓術を実践しました。

  • ・PCのモニターを棚に設置…デスクトップPCがスペースを取って邪魔になっていましたが、棚に収納することで、画面をみんなで共有できるようにしました。
  • ・書類をPDF化してiPad内で管理…ファイル作成・管理の手間が省け、ペーパレス化で地球環境にも優しい取り組みです。
  • ・ゴミ袋一杯になるまで捨てるTime…ゴミ捨て競争のようになりゲーム感覚で断捨離ができました。
  • ・「デスク採点表」の作成…「机の乱れは心の乱れ」を合言葉に全員で机の整頓度をポイントで評し、最低得点者は周知されやすい場所に公表することを決めました。見せしめのように受け取られることも危惧しましたが、生産性向上につなげたいという意図を共有でき、他社様にも共感していただきました。

大掃除とレイアウト変更の効果

社員数が増え、手狭になってきたため、全社で大掃除とレイアウト変更を実施。結果として移動しやすく、チーム内はもちろん、他部署とも連携が取りやすくなり、フリースペースも確保できて作業しやすくなりました。

会社内でも整理整頓が加速したのですが、一部の人が改善しないという問題を抱えていました。ところが、ある日突然きれいになっており、何か心境の変化があったのかもしれないと思っていたところ、なんと2か月後に土地家屋調査士の試験に合格するという出来事がありました。

机が整頓されたから合格したわけではないかもしれませんが、残業時間短縮を中心とした働き方改革の取り組みが合格につながったと考えています。現在は全社的にもみんなで定時に帰る「カエルデー」の設定など「早く帰る意識」が浸透しているのを実感しています。

人材の確保・育成の取り組みも加速!

人材確保と育成ができないために、個々人の負担が大きくなるという課題を解決するため、ハローワークの求人票やホームページの見直しを行いました。

求人票に「高知県ワークライフバランス推進企業」と追記し、今回の取り組みをホームページに掲載したほか、WEBエントリーを導入し、中途採用フローなども明確にして公開したところ、中途採用者の応募者が急増しました。ハローワーク経由の応募は10倍近くにもなっています。

フクヤ建設様事例3

フクヤ建設様事例4

ただし、履歴書や面接だけではお互いのことがわかりません。そこでNMT(ノット・ミスマッチ・ツアー)を開催。いわゆる転職者向けの職場体験であり、このツアーに参加してもらうことで、転職者の不安解消やミスマッチ防止につなげる意図があります。

人材育成に関しては、全職種の業務を洗い出して見える化しました。マニュアルやスケジュール、スキルマップを作成し、みんなで会社全体の業務を共有することで、属人化を解消する試みです。そのほかにも、メンター制度やセルフ・キャリアドック制度など人材育成につながる各制度の導入が決定しています。

人材確保から生産性向上へ

上記の取り組みを開始して以降、4か月半のあいだに22名の応募をいただき、10名の中途採用につながりました。UIターン者2名、全国的にも人材獲得が難しいと言われる有資格技術者も5名入社しています。

これは会社として非常に大きな成果であり、財産となりました。面接などでは、働き方や生活スタイルを見直したいという方が多く、そのような方々にフクヤ建設を選んでいただけたことをとても嬉しく感じています。

また新卒採用のエントリーも増え、県外の大学生からの応募が3.5倍に増加するなど、反響の大きさを実感しています。

フクヤ建設様事例4

働き方改革の取り組みは思い通りにならないことも多いですが、面白がりながら誰でもできることから取り組むと周りも巻き込めますし、皆も共感してくれて結果的にうまく進むと感じました。今後も楽しみながら人材確保、業績・生産性向上へつなげていきたいと思います。

フクヤ建設様事例5ワークライフバランス実践支援事業前と比較して10.3時間の平均残業時間の削減に成功

担当したコンサルタント 滝沢雄太の総評

営業チームは、平岡さんが当初から働き方改革に熱意をお持ちで、最初のカエル会議*でも積極的にファシリテーターをしてくださり、チームの皆さんが話しやすい雰囲気を作ってくださっていました。

ただ、当初から順調だったわけではなく、みんなで集まってカエル会議を実施できない期間もありました。そんな中でも、集まりやすい時間を話し合い、フレキシブルに時間を捻出しながら取り組みを進めてこられました。

働き方改革の取り組みを社会に発信されたことで、採用が大きく変わったことも大変素晴らしい成果だと思います。建設業で採用が増えた事例は珍しく、いかに優れた取り組みであるかを示していると思います。今後とも期待しております。

 
 


【発表2】 フクヤ建設株式会社デザイン課設計チーム 竹村春香さん

4つの取り組みを実践

「個人の目的・目標を明確にして楽しみながら仕事をする」「作業効率を上げ、定時に帰るとともに、プライベートを充実させる」。この2点を目標に取り組みを行ってきました。以下、4つの取り組みについて発表します。

①共有フォルダの整理

共有データがフォルダ管理されているものの、どこに何があるのかわからず、同じ資料がいろいろなところに散在していました。そこで内容ごとに番号をつけて整理し、フォルダの作り方も周知徹底しました。

結果として、他部署も含めてデータを共有しやすくなりました。自分の担当物件以外でも目的のファイルを見つけやすくなったのが良かったと思います。

フクヤ建設様事例設計1

②標準仕様の整理と図面の標準化

設計の仕様や図面の書き方などの標準が定まっていなかったため、新人が入ってきたときの育成に時間を要していました。

そこで標準仕様の内容を整理・見える化し、お客様にもお見せできる資料として作成しました。またベースとなる図面も作成することで、新人スタッフも仕様と仕上がりイメージを共有しながら図面を書くことができるようになりました。

フクヤ建設様取り組み事例設計2

③「火曜日帰るデー」と「目標退社時間宣言」

定時に帰れないという課題を改善するため、早く帰る日と、目標時間の設定を行いました。

火曜日帰るデー…設計チームは比較的水曜日の休みが多かったため、前日の火曜日を帰るデーに設定。目標退社時間を18時に設定し、18時になったら帰る雰囲気を作っています。取り組み開始後、意識が高まり、他部署に認知されたこともあり、早く帰る人が増えたと感じています。設計スタッフ全員の平均残業時間も、半年で約20分減少しました。

目標退社時間宣言…朝礼時に行っていた作業予定の発表に加え、目標の退社時間を報告するようにしました。

効果としては、

  • ①その日のゴールを設定することで、時間軸でのスケジュールを考えるようになった
  • ②皆の目標退社時間を知り、周りもその時間を意識することで帰りやすい雰囲気になった
  • ③その日作業が詰まっている人の作業分担や、作業の優先順位の調整ができるようになった
  • が挙げられます。時間に対する意識が高まり、チーム内での協力体制もできてきました。

フクヤ建設様事例設計3

④設計会議の役割分担

会議時間の短縮と全員の参画意識を上げるため、会議に必要な役割(司会進行、議事録、スケジュール表の更新・修正、会議室事前準備)を決めて毎週ローテーションで作業分担を行いました。

役割を持ったことで会議での発言回数が増えた」「若手社員でも役割を持って会議に臨めた」「時間の設定をしてから会議を始めるため、スムーズに会議を進行できた」という効果が挙げられます。

それまでは会議に平均2時間かかっていたのですが、最近ではおおよそ1時間で終わるようになりました。

フクヤ建設様取り組み事例設計4

メンバーの感想とメッセージ

取り組み後、次のような感想が寄せられました。

  • ・「特に実感したのは、目標退社時間宣言です。毎日目標を設定することで作業内容の把握や管理がしやすくなり、忙しい人をフォローすることでチーム力が上がったと思う」
  • ・「火曜日帰るデーができ、火曜日に対するモチベーションが上がった。就業後のプライベートを楽しむ時間を確保できるようになった」
  • ・「会議時間の短縮につながり、帰宅時間が自然と早まった。帰りやすい雰囲気ができてよかった」
  • ・「図面の標準化を行ったことで、図面の整合性が取れ、全体をまとめやすくなった。図面に統一感が出た」

今後に向けたアクション

残業時間は以前よりも減りましたが、定時退社はまだ難しいところがあります。引き続き時間に対する意識を高め、作業効率アップを目指していきます。また、現状の作業の見直しと作業の単純化、アウトソーシングの検討を進めるつもりです。

取り組みをオープンにすることで、会社全体への周知、個人の意識付けにつながり、時間を少しずつ生み出すことができました。この機会を利用して取り組めば、少しずつでも何か変わることがあると感じています。

担当したコンサルタント 滝沢雄太の総評

「目標退社時間の宣言」や「火曜日帰るデー」といった施策の効果検証をきちんとされているところが素晴らしいと思います。平均で20分残業時間が減少し、一番多い月と少ない月で平均51分も下がったとのことで、意識することで変えられる部分がかなりあり、他部署への好影響もあったと感じました。

カエル会議の雰囲気も当初とは大きく変わり、皆さんが次々に意見を言い合い、確実に良い変化が生まれたと思います。ほかにも、会議で紙を一切使わずにiPadを活用されているのが印象的でした。入社されたばかりの方もiPadを使いこなしておられて、素晴らしいと感じました。


*カエル会議…働き方について議論する会議。最初に「どんな働き方を目指すのか」「どんな成果を作っていくのか」について意見を出し合い、「ありたい姿」を決め、そこに向かって、「課題となっていることは何か」「できることは何か」を議論しながら取り組みを進めていきます。

 
 

フクヤ建設様カエル会議動画

フクヤ建設の社員の社員の皆様による「カエル会議」の様子もご覧いただけます。
・動画はこちらからご覧ください。

担当コンサルタント

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