Case Study

新菱冷熱工業株式会社様

「長時間労働が当たり前」の建設業界で、いち早く改革に着手!
若手からベテランまでが自ら問題に気づいて改革に向けて行動し、業界にも働きかけ(3ページ目)

いつでも気軽に相談できる環境を整えて、非効率な時間をなくしていく

もっと効果的なコミュニケーションを取るため、朝メールのコメント欄を使って気軽に相談できる雰囲気を作りました。「仕事で不明な点があれば遠慮せず、すぐにいつでも聞くこと」とリーダーが宣言した現場もありました。困って問題を抱えている時間は非効率でもったいない。そう考えての「すぐ聞いて宣言」です。

こうした取り組みで、「上司や先輩は忙しそうだから、なかなか聞けない」「今さら恥ずかしくて聞けない」「こんなことを言ったら怒られるかも」「言わなくてもわかるだろう」「若手は何を考えているのか分からない」といったコミュニケーションの課題を乗り越えることができたのです。

若手が気軽に質問でき、ベテランが答える・伝える環境ができあがったことで、若手の発言や意見自体が増えたのも好ましい変化といえるでしょう。

働き方改革とは、長時間労働の改善だけではなく、なりたい姿を実現する取り組みである!

「働き方さわやかProject」は、常態的な長時間労働の改善を念頭にスタートしました。しかし実際に開始してみると、時間短縮・効率化だけでなく、やりがいや満足度、技術力やチームワークの向上といった自主的な目標が数多く上がってきました。働き方改革は、長時間労働の改善だけではなく「自分たちのなりたい姿」を実現する取り組みなのだと気づいたのです。

トライアルチームの活動が進むとともに、事務局「さわP12」のリーダーたちの話し合いは本質的になっていきました。会社の強みである誠実さ、まじめさ、確かな技術、行動力、創造力、そうしたものを最大限発揮するために、新菱冷熱の働き方を今一度、議論していったのです。

限られた時間で最大の成果を出すことはもちろん、やりがいを感じながら成長し続けることも目指すべき姿。そして、風通しの良い職場でありたい──働き方改革の意義は、どんどん厚みを増していきました。

プロジェクトと並行して、会社では半日単位での有休取得、有休積立制度の適用拡大、キャリア採用の推進といった柔軟な働き方を支援する制度の導入も推進していきます。その結果、ノー残業デーモデル現場142カ所におけるノー残業デーの実施率は97%に到達しました。

さらに、それまでなかなか減少することのなかった全社の残業時間も3.3%減。有給休暇取得率も、全社で前年比プラス3.7ポイント上昇の60.0%になりました。

10月に開催したトライアルチームの取り組み報告会では、メンバーから「この取り組みを社内に広めていきたい」という声が上がりました。自主的に部内で展開を開始したというリーダーも出てきました。さらには「働き方をもっと良くするために、業務改革を進めてほしい」と会社への提言を出すに至っています。

プロジェクト開始当初は「こんな取り組みは無駄」という声が上がっていましたが、たった数カ月で大きく意識が変わったのです。

自社での取り組みだけに終わらず、業界全体への働きかけにも波及する大きな流れへ

同社の取り組みで印象的なのが、「業界への働きかけ」も強く意識しているところです。トライアルチームの成果は確実に現れていましたが、複数社の「連帯」で取り組む大きな現場では、1社での改善に限界があることもわかってきました。

ある現場では、リーダーが「この現場は働き方改革に本気で取り組む!」と宣言し、情報共有、現場のコミュニケーション改善と、繁忙期に備えてできる限り業務の前倒しを行うなどの工夫をしていましたが、急な仕様変更や工事工程の再調整といった大きな繁忙の波に呑まれ、計画通りに進まない、と悔しい思いをしたのです。

これもプロジェクトの結果の一つです。よい成果だけを報告しても、きれいごとで終わります。現場のトライアルチームでは、うまくいかなかった事例も発信していこう、という意見が出ました。

2017年9月には、建設業界の複数の団体が集まり、建設業の働き方改革をめぐって初の意見交換が行われました。業界全体で働き方改革に対応する動きが加速しています。今後、予定されている法改正では5年間の猶予が設けられるものの、建設業でも「法律による上限が罰則付きで設けられる」ことになります。適用除外でなくなるインパクトは大きく、週休2日制の徹底や長時間労働の是正に、業界全体が動き始めています。

こうした業界の動きに呼応し、新菱冷熱工業株式会社はトライアルチームから出た現場改善への意見を吸い上げ、業界団体への意見申し入れを行いました。トライアルチームの取り組みが会社全体の業務改善に発展する。そしてその取り組みを建設業界にも届け、広げていきたい──さわやかで風通しのよい職場を本気で作りたいというマインドは確実に浸透し、実を結びつつあります。

新菱冷熱工業株式会社の成功ポイント3
  • リーダーが本気を示し、カエル会議で意識改革
  • スキルアップとコミュニケーションの活性化を実現
  • 働き方をもっと良くするために、100人を超えるメンバーの意見を会社に提言

※こちらの事例は、弊社代表 小室淑恵の著書『働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社』からまとめ直したものです。
※文中でご紹介している弊社の「講演」についてはこちらをご覧ください。

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担当コンサルタント

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