Case Study

山崎醸造株式会社様

【最終共有会】社員1人ひとりの自主性・積極性がアップ!残業を減らし賞与還元も行った新潟県の老舗味噌・醤油メーカーの働き方改革

山崎醸造株式会社様インタビュー10

山崎醸造では働き方の見直しに向けてキックオフを実施し、これまで各部署がさまざまな取り組みを行ってきました。約11か月後に、共有会が行われましたので、その内容をお届けします。

【製造部】

◎作業効率アップを目指す

製造部では、ありたい姿を「全員が同じ目標に向かい、意思疎通を図りながら仕事をする。作業効率が上がることで残業が減り、心身ともに余裕が生まれ思いやりのあるチーム。」としました。

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◎これまでに実施したアクション

これまで実施したアクションは以下の4つです。

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◎各チームで取り組んだこと

ここからは、チームごとの活動について発表します。

(機械)

充填室インクジェットプリンターの目盛りが分かりづらいところにあり見づらかったため、目安の印をつけて高さを合わせました。これにより、印を見ながら誰でも設定できるようになりました。また、日付設定のマニュアルは8月末完成を目標に作成しました。

梱包室のインクジェットプリンターは担当者以外設定することができなかったため、設定工程のマニュアルを作成しました。

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(作業)

味噌の台車タンク洗浄のマニュアルを作成し、洗浄場所の壁に掲示しました。未経験の社員がマニュアルを見ながら問題なく作業を完了することができました。また、台車洗浄できるようになった人数が6名から9名に増加。作業を行った社員からは「写真がついていることで作業内容が理解しやすかった」との感想があがりました。

加工品部門の事務処理作業をマニュアル化し、パソコンの共有フォルダからいつでも確認できるようにしました。マニュアル作成の際には、担当者以外の社員に口頭で内容を伝え、担当外の社員が作成することで、よりわかりやすい内容を目指しました。加工品部門の担当ではない社員でも、マニュアルを見ながら事務処理作業ができるようになりました。

酒粕醤油の製造作業(仕込み、圧搾、粕抜き、ろ過、充填)のマニュアル作成にあたり、分担して実際の作業を見学し、見学者がマニュアルを作成しました。しかし、見学時間の確保が難しく、現状では仕込み工程のマニュアルのみの完成となりました。

醤油の製造作業の動画を細かく撮影し、現場にタブレットを導入して動画を保存しておくことで、マニュアルを動画で確認できる方法を検討しています。タブレットの導入後に実施予定です。

成果としては、タブレット導入にもつながり、醤油製造作業以外の作業のマニュアルも動画に残せるようになるため、いいきっかけとなりました。

(資材)

以前はダンボール包材関係の注文は、担当者に口頭またはメモを渡してお願いしていました。担当者の負担が大きく、メモ紙をなくしたり、口頭で聞いた情報を忘れたりして再確認する無駄も生じていました。また、どれがいくつになったら発注するのか周知徹底しなかったので、「数が少なくなったから慌てて発注した」といったことも起きていました。

そこで、包材ごとに発注プレートを作成。注文する場合は、プレートを注文担当者に渡します。注文担当者は、これを荷受けのところに置き、荷受け担当者が荷受けします。荷受け担当者が荷受けすれば、日付を入れて在庫の方にあげます。

発注→荷受け→在庫管理が1枚のプレートで完結し、発注が非常に楽になり、発注もれが減りました。今までは残業で確認しながら作業をしていましたが、その作業がなくなり、月平均4時間程度削減できました。今後はダンボール以外の資材関係もプレートを作成・活用する予定です。

(包材)

89商品分の味噌詰め作業準備手順書の工程及び書式の見直しをしました。

現在使用している作業手順書を見直しして、実際の作業に合わせたマニュアルに修正しました。
修正点は「変更があった項目・作業の修正」「具体的な指示内容に変更」「文章の書き方の統一」「矢印や枠線等を削除し、見やすい表にした」です。

文章の分かりにくい部分や変更点を修正することで、初めて作業する人に手順書を見ながら説明するのに時間がかからなくなり、作業への理解度も上がりました。手順書を見直すことで、例えばダンボールのラベルの貼る位置は大まかで確認しながらの作業でしたが、貼る位置を具体的な記載にしたため、確認作業が減りミスも起こりづらくなりました。

その他、6か月以外の賞味期限一覧表とガムテープの色・種類の一覧表を作成し、充填室のわかりやすい場所に貼りました。

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◎取り組みを通じて分かったこと、気がついたこと、学んだこと、変化したこと

(1)マニュアルを作成する際に、担当者が担当ではない人に伝達を行い、担当ではない人がマニュアルを作成することにより、お互いに業務内容の理解を深めることができました。
(2)醤油製造の業務内容を見学しに来てもらう際に、なかなか業務時間の都合を合わせることが難しく、思うように見学に来てもらうことが難しかったです。
(3)マニュアルを現場に置いたりPCに入れたりしておくことで、急な人員配置の変更があっても作業にある程度対応できるようになりました。特に現場にマニュアルが置いてあることによって、事務所などに戻らなくてもその場で確認しながら進めることができるようになりました。
(4)マニュアル作成等の作業分担が偏ってしまうことがあり、割り振りの均一化が難しく感じました。
(5)定期的にアイスブレイクをすることで、普段の仕事中はほとんど関わる機会がない社員同士が定期的にコミュニケーションを取るきっかけができました。

◎これから取り組むこと

(1)残業時間のばらつきがあるという問題に対して、属人化している作業の振り分けをして、特定の人に残業が偏らないようにしていきたいです。具体的には、作業の振り分けや引き継ぎを会議の中で考えながら行い、残業時間の均一化を図りたいと思います。
(2)1人1人が専門的な商品知識を身につけるため、工場見学やアクションプラン・カエル会議の時間を使った勉強会を通して学んでいきます。
(3)まだ作業マニュアルが少ないので、既存の紙やワードのマニュアルに加えて、動画でのマニュアルも充実させていきたいと思います。分かりやすいマニュアルを現場でリアルタイムで見ながら作業できるようにしていきたいです。タブレットを活用しながら今後の業務に活かしていきます。

【業務課・総務課】

◎DX化による負荷削減を目指す

業務課・総務課では、ありたい姿を「みんなが定時で帰れるようにする」としました。

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◎これまでに実施したアクション

これまでに以下の9つのアクションを実施しました。

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以下、詳細を報告します。

◎勤怠管理システムの導入

勤怠管理について、「セコムあんしん勤怠管理システム」を導入。これにより紙のタイムカードを廃止すると同時に、休暇や時間外の届出もこのシステムで運用できるようになりました。

費用は、初期費用がタイムレコーダー10万円とIDカード40枚で5万7240円。
システムが月額1人330円であり、現在38名で月1万2540円。5年間で約15万となっています。

(改善された点)

・タイムカードの準備作業が不要となりました。紙のタイムカードを廃止したことにより、年間約6840円の削減となっています。
・届出をまとめる作業がなくなり、約2時間分の時短となりました。
・各所属長に回していた紙の届出書がなくなり、すっきりしました。
・自宅や出先からでもスマホによる申請ができるようになっています。
・新潟営業所、群馬の勤怠も一括管理できるようになっています。
・時間外作業の管理表を作る必要がなくなりました。
・有休休暇の残について、各自がシステムを見ることが確認できるようになっています。
・最終的には給与ソフトと連携する予定です。

(注意が必要な点)

・皆さんの申請内容について、約2時間かけて確認しています。
・スマホ、PCでの休暇、時間外作業の申請が難しいのが現状であり、慣れるまでに時間がかかりそうです。
・毎月、事前に1か月の稼働スケジュールを設定しておかないと誤作動を起こすため、注意しながら管理しています。

◎専用FAX注文書の作成

販売課の皆さんのご協力の下、お客様向けの専用FAX注文書を作っていただきました。

(改善された点)

・確認すべき場所が固定化され、誰が見ても内容を認識しやすくなりました。
・受注間違いが少なくなりました。
・電話注文の件数がかなり減り、半減しているような状況です。
・不明点を担当営業に確認する時間がなくなり、非常にスムーズに伝票発行ができるようになっています。

◎ドライバー、車両別の配送基本マニュアルの作成

配送業務におけるドライバーや車両ごとのノウハウが共有されていないため、統一のためのマニュアルを作成しました。2トン車、4トン車、大型車の車両別、そして倉庫作業内での作業マニュアルも作っています。将来的には新人教育にも活用できると考えています。

ドライバーからは「自身の作業の振り返りの機会となり、他の人と作業方法のすり合わせができました。細かい部分をみんなに周知できた。正しい作業方法を再確認できた」という声が上がっています。

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◎製造依頼の電子化

今まで製造依頼は、紙で出荷係から製造部に依頼していましたが、その電子化に向けて取り組みました。製造部の皆さんとの打ち合わせから出たアイデアをもとに、キントーンのアプリを作成していただき運用を開始しました。ただ、使いにくい部分もあったため、紙と並行する時期がありました。

そんなとき、お付き合いのある業者様からシステム作成のご提案をいただき、出荷係と製造部の皆さんにヒアリングした上で、現状に合ったシステムを作っていただきました。8月から正式導入を決定しています。月額保守料金は1万円と破格であり、ありがたく思っています。

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◎取り組みを通じてわかったこと・気がついたこと・学んだこと・変化したこと

(1)意見の出やすい手法や準備が重要です。ワーク・ライフバランスさんの指導でアイスブレイクを始めたことで、皆さんの個人的な面を知ることができましたし、雰囲気作りにも役立ちました。
(2)他部署の協力を得られたことが、いい結果につながっていると思います。
(3)同じチームの中でも、それぞれどんな仕事をしているかわからない状況でしたが、今回の取り組みを通じてお互いを知ることができました。それを踏まえ、今後は属人化した作業を減らしていければと思います。
(4)見やすい受注書式ができ、再確認などの無駄な作業の削減ができました。
(5)市内の配送が前日締め切りになったことで、不安や焦りが解消されました。
(6)帰りやすくなりました。定時に帰ることは良いことだと思っています。

◎私たちがこれから取り組むこと

(1)倉庫管理の改善

問題点……協業組合の倉庫から製品を出荷する際、置き場が分からなかったり、搬出しにくかったりする状況があります。

目指したい状況……製品を探したり入れ替えをしたりしなくてもよい状態を目指しています。

これからの展望やすでに決まっているアクション……現状の問題点をまとめ、協同組合との会合を実施しています。

各所に協力してもらいたいこと……経営層に協業組合への要望事項を伝えてほしいと思います。

(2)物量の平準化

問題点……4トン車について、曜日ごとの物量差が大きくなっています。

目指したい状況……週間の物量を平準化することを目指しています。

これからの展望やすでに決まっているアクション……荷物の多い得意先を曜日にこだわらず配送することで、日々の物量を平準化します。

各所に協力してもらいたいこと……販売課と相談しながら進めていきたいと思います。

(3)FAX注文書の書式統一

問題点……受注用のFAX注文の書式がお客様ごとに違っています。

目指したい状況……将来的には全部同じ書式で統一できればと考えています。

(4)情報の共有

問題点……お客様の情報、ルートなどが配送員を含めて共有されていないことが問題です。

目指したい状況……キントーンなど、技術を使って仕組み作りをしたいと考えています。

【販売課】

◎営業活動を促進する

販売課のありたい姿は、「コミュニケーションを自発的に発言しながら、会議内で議論を活発に行い、効率の良い営業活動と売上目標を達成するチームを作る。」としました。

山崎醸造株式会社様インタビュー20

◎これまでに実施したアクション

以下の6つのアクションを実施しました。

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以下、詳細について発表します。

◎合同ミーティングの開催

本社、新潟営業所、群馬の出張所をリモートでつなげながら、顔を合わせての会議を実施しています。また、営業エリアが固定しており、長期休暇の際の対応に不都合が生じていたため、2人での同行営業を実施しました。これから定例化したいと考えています。

山崎醸造株式会社様インタビュー22

◎営業以外の業務を削減

営業以外の仕事を書き出した中で、最も止められそうなものとして挙がったのが営業配達です。特に遠方配達は時間のロスも大きかったため、一部の地域をすべて発送に切り替えました。また、エリアの統合も行っています。

製造との連携において、欠品についてキントーンで確認できるようにしましたが、使いにくいとのことでいったん中止しました。新たに導入したシステムをうまく使いながら営業に生かしていきたいと思います。

結果として、遠方営業は8件削減し、本社エリアは南魚沼、北魚沼、上越でそれぞれ6件、5件、1件減らすことができました。配達を1件30分と仮定して、10時間削減できた想定です。

◎電話注文顧客の注文方法の変更

電話応対の時間削減や聞き間違いなどを防止するため、フォーマットを作成し、顧客のもとに持参し、FAX発注を推進しました。

電話注文は10日あたり168件から74件に減少しました。電話対応が3分とすると、9.4時間の削減となります。その時間を営業活動の商談に生かしたいと思います。

◎伝票作業の見直し

伝票作成にかかる時間を削減することで、営業(商談)にかける時間を確保しました。商談件数1日2件増加を目標としましたが、実際に売上につながることが増えています。

本社の業務部の皆さんに協力いただき、業務代行も検討しましたが、作業の削減にまでは至らなかったため見送りました。今後は、配達件数の見直しを行うなど、伝票作成の数を減らす取り組みを継続していきたいと思います。

◎スキルアップ

製造部の皆さんにも協力いただき、お客様が見学されたときに案内できるマニュアルを作成しました。積極的にお客様に工場を見ていただき、自分の口で伝えたいという思いが出てきていますので、作ったマニュアルを今後しっかり活用していきたいと思います。

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◎業務の平準化

まず、各営業がそれぞれにしかできない仕事を書き出し、16件の属人化している仕事を抽出。その後、重要度で分けました。重要度の高い業務が6件、低い業務が10件になり、高いもの6件はOJTで後輩の皆さんに伝達しています。具体的には銀行の入金やPOPの作成などを伝達しました。引き継ぐ人を決め、決められた期日までにしっかり伝達していく予定です。1人しかわからない業務を最終的には0件にしていくことが目標であり、新人教育にも生かしていきます。

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◎取り組みを通じて分かったこと、気づいたこと

(1)営業職になったばかりのときは先輩と同行する機会もありますが、自分で担当を持つとその機会は大幅に減ります。同行を通じて先輩などのやり方を見ることができ、日々の自分の活動にもつながりました。また、営業所間のコミュニケーションが活性化しました。 (2)各部署のアクションプランと連動し、業務内容の改善ができました。業務課と協力するなど、自分たちで解決できないことにも取り組んだことも収獲です。新しいシステムなどを活用しながら、作業の軽減につなげたいと思います。 (3)電話注文を減らすことは、課を超えた作業軽減につながります。これからも力を合わせて取り組んでいきたいと思います。 (4)伝発を減らすための取り組みは今後とも継続したいと思います。 (5)工場見学のためのマニュアルを作成したことは自分たちのスキルアップにつながりました。しっかり営業に生かせるように、日々勉強していきたいと思います。 (6)業務をリスト化することで特定の個人しかできない仕事があることがわかりました。これから解消していきたいと思います。

◎これから取り組むこと

(1)推進力の向上
営業活動において新規開拓などの推進力が不足しており、具体的な行動を決めて取り組んでいきます。

(2)訪問件数の増加
タイムマネジメント不足を解消し、訪問件数増加に向けて具体策を検討していきます。

(3)新商品開発
チームを作って話し合い、決めた時期までに商品しっかり出すように活動していきます。

時間外作業の変化について調べた結果、平均値が57分(23年7月)→32分(24年7月)へと約44%削減しています。さらに少ない時間で仕事をして帰れるように取り組んでいきます。 有給取得に関しては少しダウンしており、今後増やしていきたいと思います。

各チームの発表後に経営層、コンサルタントから激励のコメントをさせていただき、今後もカエル会議を続けていくことを確認し、会は終了となりました。

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▼山﨑社長へのインタビューも掲載していますので、ぜひご一読ください。

【トップ対談】社員1人ひとりの自主性・積極性がアップ!残業を減らし賞与還元も行った新潟県の老舗味噌・醤油メーカーの働き方改革

担当コンサルタント
桜田陽子
村上健太
原わか奈

 

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