Case Study

衆議院議員「国光あやの事務所」様

議員事務所での働き方改革
パートタイムやテレワークなど適材適所の働き方で多様な人材を確保。
残業を減らしながら多大な効果!国会議員でも「やれば、できる!」(2ページ目)

登壇者からのメッセージを一部ご紹介!

大塚倉庫株式会社
代表取締役会長 大塚太郎さん


「どの業界も同様かと思いますが、物流業界は厳しい状況にあります。貨物の市場規模は大きいものの、現状ではまだまだアナログな部分が根強いです。“Digitize or Die”、デジタル化するか終わるか。危機感を持ちながらも先手を打つことが、働き方改革にもつながるのではないでしょうか」

いいインプットがなければいいアウトプットはできません。仕事も遊びも一生懸命、というのが私のポリシーです。自分自身もキリマンジャロに登ったりポロの競技で一位になったりとプライベートを充実させていますが、そうしたバランスを社員にも伝えていくことが重要だと考えています。

実際に、社員は「1ヶ月の有給休暇を取り、世界一周旅行」「男性役員が1ヶ月の育児休暇を取得」「2ヶ月の北極冒険へ」など夢を実現させることでいいインプットを得て、すばらしい仕事へとつなげています。「そんなに休めるなんて余裕ですね〜」と言われることもありますが、そうできるために必死で考え、必死で動いているのです。変えられるかどうかで悩むのではなく、どう変えていくかだと思います。

働き方改革は、それ自体が「目的」ではなく、積極的に取り組むことが自社の強みになると考えています。一発KOできるような秘策はありません。ジャブの連打で少しずつ、着実に前進していくことが大切です。たとえば、「遅くまで仕事したらえらい」という既成概念をぶちこわすための「最終退出表」、多様に働けるための「テレワーク&テレビズ」などもジャブのひとつです。

テレビ会議に関しては、通常はアポをとってその時間帯につなげるのが一般的ですが、弊社は全事業所とリアルタイムで常につながっています。必要なときすぐに会話ができるので、イメージとしては「まるで一つの大きなオフィスにいる」ような状態。効率のいい運営をするために非常に有用なしくみだと思います。


講話中、大阪のオフィスとテレビ電話をつないで、いつも通りの会話の様子を披露してくださる場面も。

■さまざまな取り組みのおかげで達成できた効果の一例

  • 改革前の2010年の売り上げは344億円であったが2018年は548億円まで成長。
  • 10日以上有給取得率74.4 %(6年で47%up)※2018年度末実績
  • 業界の巻き込みも推進。積み荷に来るドライバーの待ち時間を最大1.2時間(65%)削減

大塚倉庫の働き方改革:弊社のコンサルティングも受けておられる同社は、自社の社員ではない外部ドライバーの働き方を含め、多面的で包括的、かつきめ細やかな取り組みを精力的に続け、多大な成果を上げておられます。オフィシャルページの「大塚倉庫の魅力」もぜひご一読ください。

●厚生労働省 大臣官房人事課
課長補佐 久米隼人さん


東京大学経済学部卒業後、厚生労働省に入省し、医療政策・障がい者政策・働き方改革などを歴任した久米隼人さん。現在は大臣官房人事課にて、厚生労働省の組織改革を担当。2019年8月、改革に関わる若手チームの一員として「厚生労働省を変えるために、すべての職員で実現させること」と題した緊急提言を提出。この日は、その際に語られた現状と解決策をシェアしていただきました


「厚生労働省を変えるために、すべての職員で実現させること」はこちらからご覧いただけます。赤裸々に語られた内容から、緊急性と真摯な想いがダイレクトに伝わります。ぜひご一読ください。

厳しい人手不足と労働環境の中で、厚生労働省を辞める人が少しずつ増えています。人材が失われることで誰に不利益が生じるか、それは国民のみなさんです。「働き方改革を」と言っても、「国民のためには長時間労働でも働かないと」と考える職員も多いのですが、それで優秀な人材が流出し、組織のパフォーマンスが低下するのでは、本末転倒です。国民の暮らしを良くしていくためにこそ、霞が関と永田町の働き方改革を一体になって行うことは極めて重要だと考えています。

緊急提言の内容はpdfの資料もご覧いただきたいと思いますが、この提言を実現させるために必要なのは、幹部・職員一人ひとりの気持ちと行動を変えていくことです。

たとえば、職場や業務をほんの少し改善することで、気持ちよく働けるということを実感してもらうこと。「室内環境が暗かったが、提案によって明るくなった!」と実感してもらえれば、気持ちよく働けるようになるだけでなく、「言ったら変わるんだ」と、改革に対して前向きになれます。

社内報を出すなどして、「ちょっと動けば変えられる」ということ、改革が進んでいるんだという変化を地道に広めていく活動もはじめました。今は、我々の提言を踏まえた組織改革の工程表を、事務次官トップでまとめる動きにつながっており、自分もその作業の一端を担っています。

小泉先生が厚生労働部会長を務めておられた際に、われわれ若手チームが結成され、緊急提言の発表もできました。今、小泉先生とともに動ける環境省のみなさんがうらやましいくらいです(笑)。反発は少なからずあるかもしれませんが、ぜひトップダウンで一気に改革を進めていただきたいです。そうして各省庁で連携しながら、ひとつひとつを確実に変えていきましょう。

環境省の働き方改革も進めています。一緒に変えていこう!

●自由民主党所属衆議院議員、環境大臣、内閣府特命担当大臣(原子力防災)

小泉進次郎さん

自民党厚生労働部会長を務めていた際に、久米さんをはじめとする若手チームが本気で働き方改革に取り組む姿を間近で見てきました。今日はその想いを応援したいと思ってかけつけました。環境大臣となった今も、私は久米さんたちと同じ想いでいます。

私自身もできることから働き方改革を進めています。たとえば、これまで議員への資料はすべて紙で、しかも手渡しというのが基本だったのですが、これはあまりにも非効率で職員の負担が大きい。環境部会と話し合って、データでの受け渡しを基本にしました。この改善は、環境省の職員とのランチミーティング中に、妊娠中の女性から出てきた課題でした。「紙で手渡しのスタイルを続けていく余裕は環境省にはないよね」と。

紙資料については、早急に対策すべき課題のひとつです。先日も環境大臣の出張に持参する資料を揃えてもらおうと思ったら、これが膨大な量なんです。「これ、全部持っていくの!?」と驚いて、データにしてもらったのですが、結局そのほうが職員の負担も大幅に軽減できたんです。

もちろん、無理なペーパーレス化、タブレット化は避けるべき。データにするために余計な負担を増やすのは本末転倒ですが、今は多くの書類が電子ファイルなのでタブレット化は特に手間ではありません。今後もぜひそうしよう!ということになっています。

役所によって「職場のPCを出張に持って行けるかどうか」のルールが違うのも問題だと思っています。環境省は出張専用のPCしか持って行けないので、効率的ではないですよね。トップランナー方式で、進んだ取り組みをしているところにほかの省庁が合わせるべきだと考えています。お互いに学びあって、課題はクリアして、最良の方向に持っていかないと。

環境省の職員に悩みを聞いてみると、「会議室が足りない」という声もあります。会議室を取る順番待ちをみんなでするから、そのことで結果的に残業になることもあるわけです。環境省と厚労省は同じビルですから、お互い融通して連携できないかな、とも思っています。

※小室より補足:経済産業省のコンサルティングをさせていただいた際、たまっていた資料を片付けたら会議用のスペースがかなり見つかりました。そもそも、極秘情報などがない通常の会議のための部屋は必要なくて、机を集めさえすれば会議はすぐにできます!

国会の働き方改革を進めるために「質問通告※を2日前に提出すること」という取り決めがされていますが、あまり守られていないのが現状です。私が質問通告を受けた場合、朝7時には出勤します。私が7時に行くということは、一体官僚は何時に行っているのか。そもそも帰宅できているのか、眠れているのか。将来、国の重要な役割を担うことになる若手が、この状況で今後も働き続けられるのか。早急に解決していくべき問題です。国民のみなさんの理解を得られるよう、実態をお話ししていく必要もあると思います。

※質問通告:国会における政府の正統な答弁や建設的な議論のため、国会での質疑に先立って、議員が政府側に質問内容を事前に通知するもの。2日前の正午までに通告するという紳士協定があるが、実際は形骸化。答弁を準備する官僚の長時間労働を引き起こしている。

育休については、私自身の課題でもあります。自分の育休を検討するのはもちろんですが、職員が取りやすい環境を整えることが重要だと考えています。夫婦で働いている職員がいますが、「同じ職場でふたり同時に育休を取ることに後ろめたさがある」と言うんです。どうやってクリアしていくか。私にとっても挑戦です。ちなみに、2人いる秘書官のうち1人はテレワークを実践しました。秘書官だって、テレワークが可能なんです。育休問題も必ず解決できると思います。

小泉環境大臣は、第一子誕生後3ヶ月の間に、合計2週間分の育児休暇を取得する旨を正式に発表されました。
男性育休は制度だけを充実させても前に進みません。
要職に就く立場の方が最大限の工夫をし、率先して育休を取得することで、流れは大きく変わります。
今回の小泉さんの決断は非常に意義のあることで、弊社も心から応援したいと思います。

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担当コンサルタント

撮影/SHIge KIDOUE
文/山根かおり

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