Case Study

株式会社オーテック様

慣習やルールにとらわれず、新たな働き方に挑戦!(2ページ目)

総務統括部 小山田忠央様

インタビュアー:株式会社ワーク・ライフバランス 滝沢雄太

株式会社オーテック様事例5

◎不安を抱えながらのスタート

WLB滝沢:まずは御社で2期目となるCCプロジェクトのトライアルチームに選ばれたときの率直な感想からお聞かせください。

小山田様(以下、小山田):当時はチーム内に、産休・育休・育休予定者がいて、「同じ認識で課題解決を進められるだろうか。課を跨ぐメンバー構成であり、せめてもう1期遅らせてもらえないだろうか。」と感じたことが正直な気持ちでした。

ただ、「カエル会議」は他社実績があるため会社も導入判断したのであろうとも考え、私達を推薦していただいた人の思いも勘案し、不明な段階で出来ないと言うのは止めよう、と考え直しました。「メンバーの意見を否定せず、全員の意見を載せた目標に取り組む」こととしました。

最終共有会を終えた現在、全員の意見を載せた目標は実現に近づくのだろうか、この目標は本当に全員のありたい姿だろうかなどと、思うところもあります。ただ、その点を含めて皆で追求していければ良いと考えています。

◎心理的安全性が社内に浸透

WLB滝沢:御社には1期目のトライアルチームもあって、その情報が入ってくることもあったと思います。1期目の取り組みをご覧になっていて感じたことや、ご自身のチームに取り入れたことはありますか。

小山田:「心理的安全性」という言葉が社内に浸透し始めていました。私達の相談も受け止めてもらえる環境が整いつつありましたので、1期目に比べると進めやすい環境があったと感じます。

以前は、社内から「これはできるのか」「よく考えた結果か」という問い掛けがありました。現在は、話を聞いて頂ける機会も増えたことがあり、私も準備期間を確保し十分に説明しなければならないという、意識の変化に繋がりました。

◎プロジェクトがチームにもたらした変化

WLB滝沢:CCプロジェクトに取り組んだことで、チームメンバーにはどんな変化がありましたか。

小山田:取組み前は、積極的に発言するメンバーに注目が集まりました。取組み途中からは、慎重意見でも課題解決を図るメンバーの存在感も増してきた印象があります。会議の雰囲気が安定してきますと、課題進捗を考慮して発言したり、「この部分は私がやります」と積極的に引き受けるメンバーも現れ、心強く感じます。

WLB滝沢:プロジェクトの取り組みを通じて、メンバーの新たな一面を発見されたということですね。

小山田:そうですね。総務は、自分の持ち味を強調するより、相談者が力を発揮する関わりを求められます。総務全員が課題を探す場面では、各自がリーダーシップを発揮し、課題解決に取り組んでくれたことは嬉しい発見です。「縁の下の力持ち」に例えられる部署ですが、課題解決に誘導する力がなければ組織は支えられません。次世代の成長を感じることができ、嬉しく感じています。

WLB滝沢:リーダーである小山田さんご自身には、どんな変化がありましたか。

小山田:私自身は、それほど変化した自覚がありません。ただ、課題の一つに「集中札」という取組みがあり(札を立てている時間、周囲は話し掛けない)、部内に話しかけ難い場面があったのだなと感じて、以前よりも話しかけてもらえる雰囲気づくりを意識するようになりました。

◎カエル会議は自分を出すことができる場

WLB滝沢:私から見て、小山田さんがメンバーとお話をするときに笑顔が増えたのを感じていましたし、会話の中にユーモアをたくさん交えていらっしゃる姿が目立っていたと思います。

小山田:仕事のスタイルは受けてきた教育の環境で異なりますし、成果の要求度合いもそれぞれです。相手や自分に「楽しむ」要素がなければ、お互いの違いを突き付ける作業になるとも考えています。カエル会議でも、何か楽しめる要素を掛け合わせていきたいと意識しています。

WLB滝沢:最初の方ではあまり見られなかった小山田さんのウィットな側面がだんだん垣間見えるようになってきた印象があります。

小山田:プロジェクトの目的は、私たちに変化を求めるものかもしれません。ただ、求められて無理に自分を変えなくても、自分の特長やコミュニケーションの在り方を正しく表現できるようになるだけで、周囲から大きく変化したように映ると感じています。自部署の課題は状況をよく把握できているはずなので、自分自身の表現や在り方に意識を向けられる機会であることは、カエル会議の良い点かもしれません。

WLB滝沢:確かに「自分自身の在り方や表現を見直せる」というのは非常に大事なことですよね。会社の中では、どうしても周りの目や上司の評価を気にしてしまいがちです。本当の自分を出して会話できるようになると、仕事も楽しくできるのではないかと思います。

小山田:そうですね。仕事の場では、定型の業務は定型のコミュニケーション、「こういう人」とお互いに決めがちです。会議で気付いた自分の特長やチームのコミュニケーションを日常にフィードバックしていければ、その日に会議を開催した以上の成果を持ち帰れると感じます。

株式会社オーテック様事例6

◎取り組みを1つに絞り、チームを立て直す

WLB滝沢:総務統括部ではいくつか大きなテーマに取り組む中で、分科会形式で役割を分けながら進められるなどの工夫をされていました。振り返ってみて大変だったことは何でしょうか。

小山田:中間共有会の発表形式にあわせて取組みテーマも複数にしてしまったこと、組織テーマから会社全体テーマに広げてしまったことがありました。これにより、最終共有会までに複数の結果を出す必要性が発生し、一時期は分科会形式で進める必要がありました。

ただ、限られた時間の中で業務と並行して進めたこともあり、会社全体テーマを掲げているのに結果を出さなくて良いのかと考えるグループ、普段の業務と関連性が低く進捗速度が苦痛に感じるグループに分かれてしまい、会議の開催自体が次第に重く感じる展開もありました。

WLB滝沢:そのときは、どのようにチームを立て直したのでしょうか。

小山田:全員で話し合い、取り組みを1つずつに絞り、皆で課題を共有しながら解決していくスタイルに変更しました。複数の取り組みが並行したときは、会議中に各課題を掘り下げる時間が相対的に少なくなり、前回報告を繰返すだけの会議に陥りました。今回課題は全員が当事者でありますので、速度を落としてもコンセンサスを取りつつ進めたことにより、意見が出る会議が復活し、課題解決にも進捗がみられました。

WLB滝沢:事務局は小山田さんやチームにとってどんな存在でしたか。

小山田:事務局は管理職と管理職に近いメンバーで構成されていました。議論が立ち止まったときや、進め方に迷いのあるときにアドバイスをいただくことができ、過去の事例や取組手法を共有してくれるなど、とてもありがたい存在でした。

最初のほうは、事務局の方にカエル会議の司会進行をしていただきました。進め方も手探りでしたので、非常に助かりました。他部署の管理職の皆さんが貴重な時間を割いてサポートしてくださる姿を見て、こちらも成果を出さなければ、という気持ちになりました。

◎これからチャレンジする人へのアドバイス

WLB滝沢:これから働き方改革やカエル会議に取り組まれる方へのアドバイスをお願いします。

小山田:今回の取り組みは、諸先輩から教育された課題解決スタイルをいったん脇に置き、皆の意見を否定せず尊重する、ブレインストーミングの進め方でした。会議後も必然的にその関わり合い方が継続するため、「どうしていいのか」との戸惑いや、「こんなの続けられない」と否定したくなる気持ちが生まれると思います。

しかし、これも1つの仕事であると割り切ることをお勧めします。従来よりも成果の見極めが曖昧になることや、自部署の統制が緩んでしまうことがあるかもしれません。しかし、それを含めて成立させる力が、リーダーに選定された人には備わっていると思います。同じ環境下で成長してきた部下やメンバーも、きっとリーダーの立場を理解し、尊重してくれるでしょう。

自分を守るために取り組み自体を否定してしまうことは簡単ですが、異なる環境下で自分の力がどれだけ通用するか試してみる良いチャンスでもあります。これは将来、他企業とプロジェクトを進めたり、部署異動や役職定年などの際に、役立つ力かもしれません。取り組みが上手くいかなければ、その時に否定しても良いと思います。まずは、会社が期待し、投資することを決めてくれたのですから、どこまで通用するのか楽しんで取り組みましょう。

WLB滝沢:ありがとうございました。

担当コンサルタント

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