Case Study

株式会社オーテック様

慣習やルールにとらわれず、新たな働き方に挑戦!(3ページ目)

中部支店 白石肇様、相沢敏宏様、高井渉太様

インタビュアー:株式会社ワーク・ライフバランス 松尾羽衣子

◎手探り状態からのスタート

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WLB松尾:1年間本当にお疲れさまでした。ご一緒してとても楽しかったです。
まず、白石さんにトライアルチームに選ばれた時の率直なご感想からお聞きしたいと思います。

白石:率直に言うと「マジか!?」です(笑)。1期目の取り組みについて、トライアルチームリーダーがどのようなことをやっているのかあまり知りませんでしたし、カエル会議に参加した経験もなく、「何かやっているな」というくらいの認識だったんです。

WLB松尾:そのような中で白石さんがリーダーに指名されたわけですね。

白石:支店長から「リーダーをやってほしい」と言われたのですが、それも寝耳に水という感じでした。何をすればいいのか全くわからなかったので、戸惑いが大きかったのを覚えています。

WLB松尾:取り組みが進むにつれて、白石さんご自身の意識も変化していったように感じていたのですが、いかがですか。

白石:そうですね。最初はとにかく不安でしたが、徐々にやるべきことも見えてきたので、リーダーとしてやらなければいけないというスイッチが入ったと思います。カエル会議についても、最初は「効率良くやるためのちょっとした話し合い」という印象で、あまり期待していなかったのですが、みんなから「ああしよう、こうしよう」という意見が出るようになったので、可能性がある場だと感じるようになりました。

WLB松尾:チーム内ではメンバーの変化も感じましたか。

白石:自分で積極的に発言するだけでなく、周りの人にも発言を促してくれるようになった人もいますし、共有会で素晴らしい発表をしてくれた人もいます。それは新鮮な発見であり、嬉しい出来事でしたね。普段からあまり積極的に発言をするメンバーではないのですが、水を向けると意見を出してくれる人も出てきました。

◎できなかった改善を次々と実現

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WLB松尾:白石さんのチームでは、分業制を導入しようとしているほか、平日に休暇を取る人の携帯電話への連絡を会社に転送するといった取り組みを行っています。組織によってはお客様のクレームを心配して進まないこともあると思うのですが、スムーズに進んだのはどうしてですか。

白石:もちろんリスクを懸念する声もありましたが、支店長がサポートをしてくれて、「やってみよう」という一声もあり、すんなり始められました。今もトラブルなく回っています。

相沢:これまでの慣習として、「お客様の電話を転送するなんて何事だ」という意識があったから変わらなかったわけですが、実際にやってみたら意外とお客様も受け入れくださることが多いんです。
自分の仕事が減ることだとわかっている取り組みは、チームの皆も受け入れやすいですし、何か1つの取り組みに成功すれば、それが成功体験となって、次の取り組みにもつながります。ですので、支店長の自分としては、皆がやろうとしたことがあれば止めないようにしようと思っていました。
ちなみに、分業制の取り組みについては、実は弊社では今まで何度も頓挫しているのですが、実際には大したことをしないまま、失敗を恐れて止めてしまっていたというのが実情です。最初の1〜2年は不都合が生じるかもしれないですが、その壁を突破した先に、本物の改善が実現します。壁を乗り越えてしまえば、断然効率が良くなるので、会社のシステムを根幹から変えるような大きな取り組みであると思います。

株式会社オーテック様事例9

◎カエル会議では口出ししないよう心掛けた

WLB松尾:相沢さんはカエル会議にも熱心に参加されていました。どのようなことを意識していましたか。

相沢:私は性格的に、会議では発言したくなってしまうところがあります。決して否定的なことを言うわけではないのですが、ちょっと発言が止まったときなどに「こうしたらどうだろう?」などと、ついつい口を挟んでしまうんです。以前に参加していたカエル会議でも、ダメだと自覚していながら発言してしまったケースが多々ありました。

そこで、今回は貝になろうと考え、我慢して発言を控えました。皆の発言に対しても頷くくらいにとどめて、自分が流れを作らないように注意しました。

WLB松尾:そのような入り方をしてくださると、メンバーは安心して進められますよね。白石さんは、支店長をうまく巻き込もうと意識されたことはありましたか。

白石:基本的には頼りすぎず、例えば何か購入する必要があるときなど、要所要所で力をお借りした感じでしょうか。

相沢:例えば、会議用のマイクを変えるだけでも、メンバーの快適度が向上してモチベーションも上がるわけですから、できるだけ提案があれば応えようと思っていました。どうしても応えられない場合でも、直接否定しないような言い方を心掛けていました。

WLB松尾:今後、支店長の立場から現場の皆さんにどんなことを期待されていますか。

相沢:中部支店全体が、普段から和気あいあいとコミュニケーションを取ることができるようになればと期待しています。報連相が足りない状況が生まれるのは、報連相をしてこない部下が悪いのではなく、そういう雰囲気にしている上司に問題があります。雰囲気が変われば、皆が隠し事をしないようになり、業務にも好影響がもたらされます。誰もが自分の意見を自由に言えるような支店になったらいいと思いますね。

◎事務局としての距離感の取り方

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WLB松尾:昨年からご一緒している弊社のコンサルタントの話では、高井さんは事務局として飛躍的にパワーアップされたとお聞きしています。何か意識の変化などありましたか。

高井:実際のところ、自分ではそれほど変わっているという自覚はありません。ただ、1年目はとにかく手探り状態で、何が正解かもわからないし、どこまでトライアルチームに関わればいいのか、どこまで話せばいいのかわからないまま進めていましたが、1年経って距離感がようやく明確になってきました。

WLB松尾:具体的にどのような距離感を意識されたのでしょうか。

高井:なるべくチームの中で意見が活性化するように意識しつつも、自分が思っている方向に誘導しないように注意していました。もちろん困っているときには「こうじゃないですか」という話はしますが、それ以外はなるべく距離をとって、自発的に意見が出てくるのを待つことを心掛けました。

WLB松尾:私たちから見ても、高井さんの距離感の取り方はとても上手だなと思っていました。

高井:1年目は会社として初の試みということもあって「結果を出さなければ」というプレッシャーもあったと思いますが、2年目は少し余裕も出てきて、口を出すべきところと、あえて見守るところの判断ができるようになってきたと思います。

WLB松尾:白石さんの立場から、高井さんの存在はどのように映っていたのでしょうか。

白石:とても助かりました。序盤は本当に何もわからず、ほぼお任せ状態でした。

高井:途中からチームでカエル会議を回していけるようになってきたので、徐々に私の役割を手放していったという感じでしたね。

◎取り組みが進むためのポイント

WLB松尾:働き方改革の取り組みが進むためのポイントはどこにあると思いますか。

高井:よく「小さいアクションから取り組む」と言われることがありますが、実際に小さいアクションを積み重ねることで前に進むし、大きなアクションにもつながるのを実感しました。やはり成功体験という土壌を作ることが大事ですね。カエル会議に関しては、しっかり時間を決めて習慣化することと、会議に出たいと思えるような心理的安全性を担保することがポイントだと思います。

あと、各部署には「皆わかっているけど、解決できてない」課題があって、あきらめて見ないようにしていることも多いですよね。そういう課題を顕在化させる土壌ができれば、取り組みは大きく進んでいくと思います。分業制の取り組みなどは、課題が顕在化した最たる例ではないでしょうか。

WLB松尾:顕在化の決め手となったのは何でしょうか。

高井:リーダーである白石さんの危機感だと思います。白石さんが「何かしないと変わらない」という言葉を繰り返していたのを覚えています。みんなが目を背けている課題を表に出すには大きなパワーが必要となりますが、危機感が強い原動力となったからこそ、課題が顕在化されたのだと分析しています。

白石:チーム内には反対したメンバーもいたので、納得してもらえるよう、支店長も含め丁寧に対話をしていきました。

WLB松尾:相沢さんは、白石リーダーをどのように評価されていますか。

相沢:「会社を変えていくにはどうすればいいか」という視点で考えることができるし、人の話も受け入れようとする姿勢が良かったと思っています。

白石:人の話はいったん聞いてから発言するように気をつけていました。ずっと聞いていることも多かったですね。ただ、若手の本音を引き出すことはまだできていないように感じているので、そこは今後の課題だと思っています。

◎カエル会議をやって良かったこと

WLB松尾:改めてカエル会議の良さや、カエル会議を体験して感じたことを教えてください。

高井:一般的には決まった項目について話をするような会議が多いと思いますが、これでは本当の議論にはなりません。全然決まっていないことについて、みんなで話をしながら形づくっていくカエル会議はとても新鮮な体験であり、有用な時間の使い方だと感じました。普段の業務とはちょっと離れたところで「この人、こんなことを考えていたんだ」と発見できるのもいいですね。

相沢:通常の会議だと、時間内に決めなければいけないと、ついついまとめる方向に走ってしまいがちですが、時間制限がない中でとことん討論できるところが良いと思います。

白石:みんなが何を考えているのかというのが、なんとなくわかったように思います。もっともっと本音でぶつかり合えるような関係になりたいと思いますし、そうなれば、仕事でももっとうまくやっていけると思うので、そこがカエル会議に期待しているところですね。

◎これから取り組む人へのメッセージ

WLB松尾:これから取り組まれる方へのアドバイスをお願いします。

白石:言いたいこと、やりたいことはまず口に出して発言しましょう。良い・悪い、やる・やらないは別として、なんでもいいので自分が思っていることを人に伝えることが一番大事だと思います。

相沢:やりたいことがあっても、どうしてもリスクを考えてしまうことがあるので、まずはリスクを考えずに「こうなったらいいだろうな」という思いを前面に出すべきです。その上で、リスクをどうやって解消するかをみんなで話し合っていけば、前に進むと思います。

高井:普段とは違う会議の形をまず体験してほしいと思います。心理的安全性を担保した上で、みんなで意見を出し合い、チームの問題を解決する。それにより、今までにはなかった時間の使い方を実感できるはずです。

あとは、1人ひとりのメンバーが、チームや他人に興味を持ち、新しい意見や自分と違った考え方を発見したり理解したりすることを楽しんでほしいです。楽しみがあれば継続できますし、楽しみながら得たものが、何かを変えるきっかけになると思います。

人によっては、この会議でやっている議論に意味がないと思うかもしれませんし、期待したような即効性がなかったり、変化が見えにくかったりするかもしれません。でも、心理的安全性を担保しながら主体的に参加していけば、確実に変化を感じることができると思います。

通常業務が忙しい中で、会議を継続していくことはハードルが高いと感じるかもしれないですが、継続することが一番大事です。常に楽しむことを忘れずに取り組んでいってほしいと思います。

WLB松尾:ありがとうございました。

株式会社オーテック様事例11

担当コンサルタント

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