Case Study

内閣府様

働き方改革とは単なる「残業削減」ではなく「生き方を考えること」
心理的安全性を確保しながら“楽しく”取り組みを進める内閣府

霞ヶ関での長時間労働は深刻です。ここでの働き方が企業に及ぼす影響も大きいため早急に改革する必要がありますが、さまざまな障壁に直面しやすいのも事実。弊社では経済産業省、総務省、財務省、外務省、防衛省、警察庁、人事院、環境省、厚生労働省といった中央官庁のコンサルティングや研修に多数関わっており、中でも本格的に取り組んでいる事例のひとつが内閣府です。“聖域”といわれる国会待機問題も含めて一歩ずつ取り組み、広がりを見せている内閣府の働き方改革。示唆に富んだ「改革体験談」をご紹介します。

霞ヶ関で「真の働き方改革」に取り組む内閣府・担当者の本音

霞ヶ関の働き方改革は急務ですが、実行するには多くの困難を伴います。単独では片付けられない事柄が多い上、「国民のために働いているのだから、自分のことは後回し。ワーク・ライフバランスなんて考えることはできない」と感じる職員も少なくありません。霞ヶ関の働き方改革は、ひと筋縄ではいかない複合的な事情を抱えているのです。

しかし、「今よりもっといいやり方ができるはず」「目の前のことだけでなく、未来をどうしたいかが重要」と考えて、改革に乗り出したのが内閣府です。「内閣府を変えることで霞ヶ関全体を変えていけるかもしれない」──そんな風に思えるすばらしい取り組みが続く中、改革のキーパーソンお三方に、本音で語っていただきました。


左から、再就職等監視委員会事務局 髙田(たかた)悠二さん、賞勲局(取り組み初年度は大臣官房人事課)笹川朋子さん、大臣官房人事課 長野浩二さん。弊社コンサルタント 松久晃士、二瓶美紀子、吉田拓真。

国会対応をはじめ働き方改革を推進する上で困難な要素が多い環境の中、いかにして取り組みを進め、成果を上げていったのか。同じような状況に直面している方々にも、多くの気づきを与えてくれるインタビューです。

エンゲージメントの低さに愕然とし、強い危機感を覚えたのがきっかけ

事務局担当者として、弊社と二人三脚で働き方改革を推進しているのは人事課の長野さん。個人的に10年以上前から「ワーク・ライフバランス」に関心を寄せ、弊社代表・小室淑恵のセミナー等々、何度も講習するなどして見聞を広め、働き方改革によるメリットも身をもって経験してきた、という人物です。長野さんが3年前に人事課に異動したのを機に、内閣府の働き方改革は本格的に動き始めました。

実はそれ以前にも、残業削減、業務効率化などを目標に掲げた取り組みを行ってはいたといいます。しかし、その結果が現場にフィードバックされることも、実感できるような変化もなく、結果として「何をやっても変わらない」「取り組みに時間をとられるだけムダ」という意識が蔓延する状況になっていたそうです。そんなときに長野さんが人事課へと異動になったのです。


大臣官房人事課 長野浩二さん

「人事課で様々な人事情報を入手できる立場になり、過去の職員意識調査や研修レポートなどを読んで愕然としました。この組織の職員には、エンゲージメントに大きな課題があることがわかったんです。エンゲージメントが低い組織では、組織も個人も成長は困難だし、優秀な人材の確保にも影響が出ます。待ったなしの状況を前に、“このままでいいわけがない”と強い危機感を覚えました。当初は誰も賛同者がいない状況でしたが、とにかく動くしかない!と走り出しました」

4課でトライアルを始め、11課→25課と順調に拡大できた背景

弊社との取り組み初年度は、4課5チームの小規模体制でトライアルをスタート。このチーム選定にあたって、長野さんはまず総務課や人事課など管理業務を担う官房4課に協力を要請します。「働き方改革への抵抗感が強いことは容易に予想できたので、まず管理業務を担う部署から始めて、どんどん広げていこうと考えました」

その言葉通り、取り組み2年目には11課に、翌年は25課に対象を拡大。その中で長野さんは、毎年夏の“ゆう活”(働き方改革の一環として、明るい時間が長い夏の間は朝早くから働き始め、夕方には家族などと過ごせるよう、夏の生活スタイルを変革する取り組み)期間時に各トライアルチームの経験・実績・情報を、内閣府の全部局に周知し、横展開をはかってきました。

「当時の事務次官から“全部局でトライアルを実施するべきだ”という意見が出るなど上層部のコミットメントも得られたので、組織全体で反対の声はあがらず、トライアルを拡大することもできました。でも、積極的に変えようという現場の意識は低かったですね。働き方改革にトップの参画が不可欠なのは間違いないですが、実際には組織の構成員一人ひとりに取り組んでもらわなければ意味がない。事務局としては、志を同じくする理解者がいない孤独と闘いながら、各自が目的意識を持って取り組めるよういかに働きかけていくかが重要だと再認識しました」

トライアルに参画した2名の「ネガティブな出発点」と「変化のきっかけ」

取り組み初年度に長野さんが声を掛けた4課のメンバーのひとりが笹川さん、3年目に参画したのが髙田さんでした。まずは、トライアルチームに選ばれた当初の気持ちと状況を伺います。

私の「働く」という概念をも変えてくれたコンサルタントの一言
笹川朋子さん

『長野さんが担当になる以前にも、業務改善や見直し関係のプロジェクトチームに携わった経験がありましたが、結局「何をやっても変わらない」・・・これまでの経験を通してそういったプロジェクトに対する印象を抱いてしまっていたので、今回もネガティブな立ち位置からのトライアルでした。

ましてや当時の私は「働き方改革=残業時間の削減」というステレオタイプのイメージを持っていましたので、仕事量は増える一方なのに、そこに何の対策もしないまま、ただ残業時間を減らせと言われているようで、「働き方改革」という言葉自体に嫌悪感すら持っていた状態で(笑)。

そんな中で参加した1回目の“カエル会議”で、コンサルタントの二瓶さんが「働き方改革で取り組むのは長時間労働の是正だけではないんですよ。一人ひとりの生き方を含めてみんなで考えていく場です。自分の職場や自分自身のありたい姿をイメージして、それを目指して動いていきましょう」とおっしゃったんです。働くことと自分の生き方を同じ土俵で考えたことがなかった自分にとって、その言葉は本当に衝撃的でした。

残業時間の削減だけが課題なのだとしたら、「その前に仕事量を減らしてくれないと」という受け身の発想になると思うんです。でも、ここでいう「働き方改革」は、まず自分や職場のありたい姿をイメージして、そのためにどう仕事をし、何を変えていくのかブレークダウンしていくこと。能動的なんです。残業削減はその結果としてついてくるもの。それに気づかせていただき、大げさかもしれませんが、自分にとって働くことの意義・概念を変えてくれる大きなきっかけとなりました』

せっかく取り組むなら本気で取り組もう
会議をつまらないものから楽しいものにカエル!
髙田(たかた)悠二さん

『実は、働き方改革というフレーズについて「主語は誰?誰のための改革?」と以前は感じていました。自分たちがするのか、もっと上の人が何かやるのか。自分のためなのか、組織のためなのか、と。それは、私自身が「職場における働き方とは職場の業務内容や上司の考え方によって定まっているもの、所与のもの」と考えていたので、「本当に変えられる?そもそも変えていいのかな?」という率直な疑問もありました。改革によって働き方の選択肢が増えるのならいいけど、例えばとにかく早く帰ろうとか、あるひとつの働き方の価値観を押しつけられるとしたらイヤだな、という気もしましたね。

そんな中、カエル会議の研修に参加する機会をいただいたのですが、正直半信半疑で(笑)。ですが、カエルには、早く「帰る」の意味のほかに、これまでを振り「返る」、そして生き方を「変える」といった意味もあると聞いて、目から鱗が落ちました。職場の中だけにとどまるものでないんだ、自分の人生をカエルものなんだ、とすごくいいチャンスだと思いました。よし、とにかく精一杯やってみよう!と。

そして、会議って暗くてつまらないことがよくあると思いますが(笑)、せっかく時間を費やすのだから「いい時間にしたい、何かを掴みたい」と心から思いました。

また、カエル会議の取り組みでとてもありがたかったのは、上司にも参加してもらい、部下に期待する言葉を伝えるという機会を作ってくれたことです。そうすることで「今までとは違う?上司にもちゃんと伝わっていくのかも」と期待しながら参加できた。上司のコミットメントがあることを自覚しながら動ける、それもよかったと思います』

まずは週一の“カエル会議”を開催し、トライアンドエラーでとにかく前進

まず、長野さんがトライアルチームのリーダーに依頼したのは「一週間に一度、30分程度でいいから“カエル会議”を継続的に開く」ということ。それ以外の条件はつけず、「何をやりたいのか自分たちで考えてほしい」という姿勢で任せたといいます。

「霞ヶ関の人はとにかく考えるタイプ。ずっと考えて、“できない事柄・できない理由”を挙げてしまうので、なかなか行動に移せない。だから逆に自分たちで取り組みを考えれば“できない”思考に陥らないのではないかと思ったんです。そして“まず動こう。経験も前例もないことをやるんだからトライアンドエラーで進めるしかない”と考えていました」

長野さんの想いを受けた笹川さん・髙田さん。改革に対して消極的なメンバーたちをどのように誘導し、効果を上げていったのでしょうか?

部署内で行った有休取得・文書管理の“楽しい試み”と
有志で交換し合った“働き方改革の失敗事例”
笹川さん

『大きくわけると、3つのことを実施しました。最初の2つは部署内(自分も含めて7人のメンバー)で実施、3つ目は有志のメンバー8人で行ったものです。3つとも以下のことを意識しながら進めました。

  • それぞれに親しみやすい名称を付けて、参加しやすい雰囲気を作る
  • なぜその取り組みを行うのか目的と理由を最初に必ず伝えて、参加メンバーの目的意識を明確に
  • 強制ではなく「楽しく参加したくなる」ように、自分自身も楽しむ

■最低月1日有休取得キャンペーン
本来、有休は理由なく自由に取れるものですが、「誰かに迷惑をかけてしまうので体調不良などの理由がないと休み辛い」という雰囲気があり、まずは「休むことに慣れる」ことを目的としました。休む人の仕事を誰かが引き受けることになるため、マニュアル化したりワークシェアリングしたり、周囲の仕事に意識を向けたり、書類を日常的に整理したり、休む側も残る側も業務の効率化を考えるようになります。また、誰もが月1日は必ず休むので“お互い様精神”が生まれ、休みやすい雰囲気が作れているのではないかと思います。

■文書管理月間〜宝探し大作戦〜
「仮に1日3分間、資料探しに時間を取られるとしたら、1年(営業日)で約12時間のロス。その無駄を無くそう!」と理由を説明した上で、業務が落ち着いている時期に1か月集中して文書の整理を行う旨、メールで呼びかけました。ただ単に文書を整理するのではなく、埋もれているかもしれない有益資料を「お宝」と称して探し、ゲーム感覚で楽しめる工夫を取り入れました。所狭しと置いてあった書類が目に見えて整理されていくので効果を実感しやすかったと思います。

■「ナナコロビヤオキの会」
有志による内閣府働き方改革プロジェクトチーム“ポジ活”(ポジティブな活動の意。平成31年3月現在メンバー約50名)で「今までに働き方改革で転んだ(失敗した)人、いませんか?」と呼びかけて、集まったメンバーで転んだ事例から起き上がる方法を検討する会を結成。転んだ原因を経済分析にも用いられるようなクラスター分析やロジックツリーにより分類・分析し、その結果、先に転んだ者として具体的な働き方改革別に「実行する際のワンポイントアドバイス」などを付したナナコロビヤオキ帳を作成しました。個人的には転んだ原因に「働き方改革の仲間がいなくて精神的につらくなった」など周囲とのコミュニケーションに改善の余地がある事例が多かったことが印象的でした。この活動はポジ活顧問でもある事務次官から「ベストofポジ活賞」をいただきました』

「グチはグッドチャンス」
“カエル会議”はグチから出発して解決策につなげる!
髙田さん

『“カエル会議”はスタートの切り方が大切だと考えていました。メンバーは、私自身がそうだったように「本当に変えられる?やっても意味がないのでは?」、もっと言えば「ずっと続いているものを変えていいの?」と少なからず感じているとわかっていましたから。

カエル会議の場を職場の打ち合わせの雰囲気ではなく、全く別の空間にしたいと思いました。ですので、開催場所は執務室とは別の会議室にしました。そして、会議のルールとして、以下の3点をメンバーに伝えたんです。

  • 否定しない→どんなグチやどんな意見をどう述べてもOK!
  • 無礼講→グチが出ないと何も始まらない。愚痴大歓迎!
  • 挑戦する→グチを吐き切ったら、前向きに考えてみよう!

グチは後ろ向きで非生産的でNGと思いがちですが、“グチはグッドチャンス!”、グチを言ってくれてありがとう!という感じでどんどん言ってもらったほうがうまくいくと思います。グチをこぼしてスッキリすると次には「そうなったのはなぜだろう?」と考える突破口が見つかりますし。前向きになれるためのグチなんです。

具体的には、グチが出たらその原因を考え、さらに自分たちでできること・できないことを整理してもらいました。すると自分たちでできることの範囲内で、何らかの改善案が出てきます。どんな小さな効果でもいいんです。それをみんなで実行します。小さく取り組めてすぐ成果の出ることをすぐやろう!と取り組んだことで、小さな成果が、ですが確実な成果が積み重なりました。「変えられるんだな。変えていいんだな」と実感できたと思います。その瞬間からテーマやアイデアがメンバーから次々出るようになりました。私たちのチームは3人でこじんまり進められたのもよかったのかもしれませんね。

何がダメだと指摘するより、「これが解決したらこうなるね!」と楽しい結果を思い描いたほうがうまくいきます。否定ワードではなくワクワクワード。ワクワクは必ず相手に伝わります。「目的はこうである」と難しく考えるより、「楽しくやろう。どうせならもっといい時間にしよう」という言葉のほうがフィットするんですよね。

カエル会議では、自分のアイデアが実現することも重要です。テーマや問題点は提示するとしても「じゃあこれをやろう」と私から改善策を提案することはあまりしませんでした。

(私)「どうしたらいいと思う?」→(メンバー)「これはどうですか?」→(私)「それいいね!やってみる?」→(メンバー)「やりますか!」という感じで。

今ですから明かせますが、最後の「やりますか!」という言葉もメンバーから言ってもらうように会議を進行していました。自分がやるという意思表明を自らしてもらうことも重要と思っていたからです。(メンバーのみなさん、すみません!)

あと、カエル会議の初回に会議のルールを伝えるとともに、メンバーに私のカエル目標も伝えました。仕事とプライベート(ダイエット)のそれぞれの目標です。カエル会議をきっかけに自分をカエルという決意表明のつもりでした。私の本気度が伝わったのか、メンバーの反応が変わった瞬間のひとつだったことを覚えています。ダイエットの目標はただいま延長戦ですが(笑)』


2枚の木の葉と木漏れ日をモチーフにした内閣府のシンボルマーク。木の葉は内閣府の2つの機能を表現し、後ろから差し込む太陽の光によって希望に満ちた経済社会を創る様子を表しています。

<心理的安全性を確保しながらの取り組みがもたらした好影響

笹川さんの「強制はしない。楽しく実践して、みんなが自然と参加したくなる環境を作る」という試みも、髙田さんの「何を言ってもいい。グチは大歓迎」という姿勢も、働き方改革に必須の「心理的安全性」を確保した上での見事な進め方といえます。

こうした試みを通じ、業務の効率化・労働時間の削減といった実務上の効果が顕著に表れていますが、ほかにはどのような変化が見られたのでしょうか?

●楽しく取り組む様子を見せ、参加したくなる空気に!─笹川さん

『部署内での取り組みには、積極的に参加する人もいればそうでない人もいましたが、先ほどもお話ししたようにとにかく楽しくやるように心がけました。人の意識は外からでは変えられないと思っています。まずは楽しく、参加したくなる空気を作り、自らの意思で意識を変えてもらおうと考えました。

それが良かったのか、最初は参加に前向きではなかったメンバーが、休暇を取る際に「だって、月1回有休取得ですから」と自分から言ってきてくれたんです。あれはとっても嬉しかったですね。

まだ取り組みを開始して1年も経っていないので、具体的な効果として現れるのはこれからだと思いますが、周囲には「何かを変えたいと思っている人だ」という認識は持ってもらえたと思います(笑)。“これまで通りに”実施していたものでも、疑問や改善の余地があればメンバーから何でも言いやすい雰囲気は作れているかなと。

良くなることならどんどん「やりましょう!」と賛同・実行していますし、そういったポジティブな環境づくりは、長い目で見たときに重要だと考えています』

●“カエル会議”で決めた3つのルールが業務上でも定着。─髙田さん

『トライアルチームとしての“カエル会議”は半年間だったのですが、その最終回にメンバーから“このまま続けましょうよ”という声があがって、感動しました。

今も隔週で“続 カエル会議”を続けていますが、アイデアを出すのも動くのも、いまやメンバーが主導してくれます。そのスピードに追い付いていくのがやっとです。メンバーの皆様には感謝と敬意の気持ちばかりです。

具体的な業務の改善にもつながりました。たとえばチームの業務のひとつに、全国各地の説明会での講師活動があるのですが、基本となるシナリオはあるものの、実際に講師を行った後、3人ともフィードバックや経験の共有を一切していなくて。“カエル会議”を機に、何に困ったか、何を求められたかを毎回共有し、そこから得られた結果をさらにフィードバックして…という作業を繰り返すことにしました。

その結果、従前のシナリオ・時間配分の大幅な見直しや確認テストの導入、受講者のニーズに応えた説明ポイントの思い切った変更などなど、細かな点を数え上げるとキリがないほど多くの改善を行うことができました。

何を言っても否定しない、という姿勢もメンバー全員に身について、業務上も「なぜ失敗したの?」と責めるのではなく、「問題点を発見できたね」「改善策をみんなで考えよう」という思考回路で動くように。カエル会議の3つのルールが定着した感じです』

●エンゲージメントを高め、今を変えていくきっかけとして。─長野さん

『働き方改革を志す仲間が見当たらない状態から3年経って、「同じ志の人はいるんだ」というのはだんだんわかってきました。今までのように、「やっては、やめて」を繰り返していたら職員は「いつか終わるだろう」と傍観しているだけ。ずっと続けていけば「今回は本気らしい」と感じて声をかけてくれたり、行動しようとしたりします。昨年夏から“ポジ活”も開始していて、メンバー個々が実際に現場で働き方改革の取り組みを行い、また様々な勉強会なども開催しており、雰囲気は徐々に変化しています。

とはいえ「まだまだこれから」という部分が多いのは確かです。“カエル会議”は「ありたい姿を考えましょう」という場ですが、組織の性質上からか「ありたい姿はありません。言われたことをやり遂げるのが自分たちの仕事です」という思考になりがちなんです。これはこれで尊い意志なのですが、その上で更に、ありたい姿を持つというのは必要です。ありたい姿を持つということは、自分軸を持つということ。それがないと業務の棚卸しもできないし、優先順位も付けられません。どこに向かうのか明確でなければエンゲージメントが高くなるわけもないし、今を変えようという意識には到底なれません。

だからこそ、“カエル会議”は働き方改革に必須のツールだと思います。早く「帰る」だけでなく、まさに自分たちを、そして現状を「変える」わけですから』

内閣府から霞ヶ関全体を変えていきたい!

最後に、今後どういったことに取り組んでいきたいかを語っていただきましょう。

●内閣府で働けて楽しい!と思えるような仕組みづくり。─笹川さん

『働き方改革について、個々でコツコツ取り組めることは今後も継続しながらも、一人でも多くの人が「内閣府で働けて楽しい!」と思えるような仕組みを考え、最終的には組織的な活動として取り組めるよう発展させていきたいです。それが大目標。

とはいえ、まずは身近なことでいうと、「今のPCでもどんどんできる時間短縮・業務効率技勉強会」、ボウリング大会、食堂を利用した交流会など「職場内交流イベント」の企画を画策中です』

●働き方は変えられる。変えることはワクワクして楽しいこと。─髙田さん

『私が今の仕事を目指した理由は「通勤の満員電車を笑顔にしたい」というものでした。今の取り組みを続けることがその一助になると確信していますし、自分にとっても成長できる機会をいただいていると思います。できることからコツコツ取り組んでいきたいです。そして、笹川さんのボウリング大会、私も参加したいです(笑)。

今回の取り組みを通して「変えられること」「変えることは楽しいこと」に気づきました。今後の仕事や人生で継続してきたいと思っています。自分もメンバーも、今後部署が変わっても、各自で取り組みを継続していければいつかはすごい広がりを持つようになると今から楽しみです』

●エンゲージメントを高め、今を変えていくきっかけに。─長野さん

『おふたりの取り組みの中に「楽しみながら」というキーワードがあったように、チームとして協力しながら仕事をしていくんだという意識・関係性を築いていくことが大切だと思います。そのためのツールとして“カエル会議”は有効だったと思います。毎週実施すればそれだけコミュニケーションが密になる訳ですから、メンバーは自分を分かってくれているという安心感から、さらに良い関係になっていったと思います。

働き方改革とは本来なら誰かにやらされてやるものではないと私は思っています。個々の人生に直結するものなので、自分で考えて自分で行動するのが当然なんです。どう生きたいかという「生きざま」がまずあって、その中でどう働きたいか、があるわけですから。自分の人生の主役は自分だという意識をもっと持つべきだと思います。自分勝手にワガママになろうということではなく、自分の人生を真剣に考えてほしいのです。

人事課としても様々な取り組みを行っていきます。考えるための場も提供します。でも、やっぱり実行するのは自分自身です。残業削減だけを議論する時期はとっくに終わっています。もちろん、長時間労働によって健康を害するようなことは良くないので、残業削減も大事な取り組みですが、考えるべきは自分らしい人生であり、そのためにどうイキイキと働くかだと思っています。そうすると自ずと残業削減の方向に進んでいきます。もうそういう視点で考えるべき段階に来ているんです』


※内閣府様は平成30年度「ワークライフバランス職場表彰」において、「ポジ活・官房人事課」の連名で、国家公務員制度担当大臣賞を受賞されました。

※このインビューは、組織における働き方改革を実践した3名の個人的な意見をお聞かせいただいたものです。

担当コンサルタント

撮影/SHIge KIDOUE
文/山根かおり

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