Case Study

内閣府様

働き方改革とは単なる「残業削減」ではなく「生き方を考えること」
心理的安全性を確保しながら“楽しく”取り組みを進める内閣府(4ページ目)

<心理的安全性を確保しながらの取り組みがもたらした好影響

笹川さんの「強制はしない。楽しく実践して、みんなが自然と参加したくなる環境を作る」という試みも、髙田さんの「何を言ってもいい。グチは大歓迎」という姿勢も、働き方改革に必須の「心理的安全性」を確保した上での見事な進め方といえます。

こうした試みを通じ、業務の効率化・労働時間の削減といった実務上の効果が顕著に表れていますが、ほかにはどのような変化が見られたのでしょうか?

●楽しく取り組む様子を見せ、参加したくなる空気に!─笹川さん

『部署内での取り組みには、積極的に参加する人もいればそうでない人もいましたが、先ほどもお話ししたようにとにかく楽しくやるように心がけました。人の意識は外からでは変えられないと思っています。まずは楽しく、参加したくなる空気を作り、自らの意思で意識を変えてもらおうと考えました。

それが良かったのか、最初は参加に前向きではなかったメンバーが、休暇を取る際に「だって、月1回有休取得ですから」と自分から言ってきてくれたんです。あれはとっても嬉しかったですね。

まだ取り組みを開始して1年も経っていないので、具体的な効果として現れるのはこれからだと思いますが、周囲には「何かを変えたいと思っている人だ」という認識は持ってもらえたと思います(笑)。“これまで通りに”実施していたものでも、疑問や改善の余地があればメンバーから何でも言いやすい雰囲気は作れているかなと。

良くなることならどんどん「やりましょう!」と賛同・実行していますし、そういったポジティブな環境づくりは、長い目で見たときに重要だと考えています』

●“カエル会議”で決めた3つのルールが業務上でも定着。─髙田さん

『トライアルチームとしての“カエル会議”は半年間だったのですが、その最終回にメンバーから“このまま続けましょうよ”という声があがって、感動しました。

今も隔週で“続 カエル会議”を続けていますが、アイデアを出すのも動くのも、いまやメンバーが主導してくれます。そのスピードに追い付いていくのがやっとです。メンバーの皆様には感謝と敬意の気持ちばかりです。

具体的な業務の改善にもつながりました。たとえばチームの業務のひとつに、全国各地の説明会での講師活動があるのですが、基本となるシナリオはあるものの、実際に講師を行った後、3人ともフィードバックや経験の共有を一切していなくて。“カエル会議”を機に、何に困ったか、何を求められたかを毎回共有し、そこから得られた結果をさらにフィードバックして…という作業を繰り返すことにしました。

その結果、従前のシナリオ・時間配分の大幅な見直しや確認テストの導入、受講者のニーズに応えた説明ポイントの思い切った変更などなど、細かな点を数え上げるとキリがないほど多くの改善を行うことができました。

何を言っても否定しない、という姿勢もメンバー全員に身について、業務上も「なぜ失敗したの?」と責めるのではなく、「問題点を発見できたね」「改善策をみんなで考えよう」という思考回路で動くように。カエル会議の3つのルールが定着した感じです』

●エンゲージメントを高め、今を変えていくきっかけとして。─長野さん

『働き方改革を志す仲間が見当たらない状態から3年経って、「同じ志の人はいるんだ」というのはだんだんわかってきました。今までのように、「やっては、やめて」を繰り返していたら職員は「いつか終わるだろう」と傍観しているだけ。ずっと続けていけば「今回は本気らしい」と感じて声をかけてくれたり、行動しようとしたりします。昨年夏から“ポジ活”も開始していて、メンバー個々が実際に現場で働き方改革の取り組みを行い、また様々な勉強会なども開催しており、雰囲気は徐々に変化しています。

とはいえ「まだまだこれから」という部分が多いのは確かです。“カエル会議”は「ありたい姿を考えましょう」という場ですが、組織の性質上からか「ありたい姿はありません。言われたことをやり遂げるのが自分たちの仕事です」という思考になりがちなんです。これはこれで尊い意志なのですが、その上で更に、ありたい姿を持つというのは必要です。ありたい姿を持つということは、自分軸を持つということ。それがないと業務の棚卸しもできないし、優先順位も付けられません。どこに向かうのか明確でなければエンゲージメントが高くなるわけもないし、今を変えようという意識には到底なれません。

だからこそ、“カエル会議”は働き方改革に必須のツールだと思います。早く「帰る」だけでなく、まさに自分たちを、そして現状を「変える」わけですから』

内閣府から霞ヶ関全体を変えていきたい!

最後に、今後どういったことに取り組んでいきたいかを語っていただきましょう。

●内閣府で働けて楽しい!と思えるような仕組みづくり。─笹川さん

『働き方改革について、個々でコツコツ取り組めることは今後も継続しながらも、一人でも多くの人が「内閣府で働けて楽しい!」と思えるような仕組みを考え、最終的には組織的な活動として取り組めるよう発展させていきたいです。それが大目標。

とはいえ、まずは身近なことでいうと、「今のPCでもどんどんできる時間短縮・業務効率技勉強会」、ボウリング大会、食堂を利用した交流会など「職場内交流イベント」の企画を画策中です』

●働き方は変えられる。変えることはワクワクして楽しいこと。─髙田さん

『私が今の仕事を目指した理由は「通勤の満員電車を笑顔にしたい」というものでした。今の取り組みを続けることがその一助になると確信していますし、自分にとっても成長できる機会をいただいていると思います。できることからコツコツ取り組んでいきたいです。そして、笹川さんのボウリング大会、私も参加したいです(笑)。

今回の取り組みを通して「変えられること」「変えることは楽しいこと」に気づきました。今後の仕事や人生で継続してきたいと思っています。自分もメンバーも、今後部署が変わっても、各自で取り組みを継続していければいつかはすごい広がりを持つようになると今から楽しみです』

●エンゲージメントを高め、今を変えていくきっかけに。─長野さん

『おふたりの取り組みの中に「楽しみながら」というキーワードがあったように、チームとして協力しながら仕事をしていくんだという意識・関係性を築いていくことが大切だと思います。そのためのツールとして“カエル会議”は有効だったと思います。毎週実施すればそれだけコミュニケーションが密になる訳ですから、メンバーは自分を分かってくれているという安心感から、さらに良い関係になっていったと思います。

働き方改革とは本来なら誰かにやらされてやるものではないと私は思っています。個々の人生に直結するものなので、自分で考えて自分で行動するのが当然なんです。どう生きたいかという「生きざま」がまずあって、その中でどう働きたいか、があるわけですから。自分の人生の主役は自分だという意識をもっと持つべきだと思います。自分勝手にワガママになろうということではなく、自分の人生を真剣に考えてほしいのです。

人事課としても様々な取り組みを行っていきます。考えるための場も提供します。でも、やっぱり実行するのは自分自身です。残業削減だけを議論する時期はとっくに終わっています。もちろん、長時間労働によって健康を害するようなことは良くないので、残業削減も大事な取り組みですが、考えるべきは自分らしい人生であり、そのためにどうイキイキと働くかだと思っています。そうすると自ずと残業削減の方向に進んでいきます。もうそういう視点で考えるべき段階に来ているんです』


※内閣府様は平成30年度「ワークライフバランス職場表彰」において、「ポジ活・官房人事課」の連名で、国家公務員制度担当大臣賞を受賞されました。

※このインビューは、組織における働き方改革を実践した3名の個人的な意見をお聞かせいただいたものです。

撮影/SHIge KIDOUE
文/山根かおり

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担当コンサルタント

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