Case Study

株式会社銚子丸様

外食産業での働き方改革にチャレンジする「すし銚子丸」
39.5%増益しながら業務改革に風土改革も実現!
~大手回転寿司チェーン「すし銚子丸」が働き方改革を推進しながら前年同時期比39.5%増益。
5か月間でオンライン化推進、会議費360万円削減・教育生産性のUP、オンラインで魚の買付けも実施 。
男性育児休業取得コンサルティングで常務が100時間の育児休業を取得、働き続けやすい風土へ~

大手回転寿司チェーン「すし銚子丸」を手がける株式会社銚子丸が、注目すべき働き方改革を実践中です。取り組みを先導する堀地元(ほりち はじめ)常務と事務局の三浦正嗣(まさし)課長に、弊社の担当コンサルタント田川拓麿原わか奈がオンラインで伺いました。

「真っ正面から本気で向き合わなくては」と決意するまで

今から20年以上前に、店舗のアルバイトからスタートしたという堀地常務。店長をつとめていた頃に三浦課長が入社されたそうです。 当時は長時間労働も休みが取れないのも当たり前。「働き方にたとえ矛盾を感じたとしても何をどう変えたらいいかわからないし、みんながやっているから仕方ない」──そうした考えが主流であり常識だった時代を経て、現在は働き方改革で大きな成果を出している同社。その道のりをたどります。

株式会社 銚子丸が働き方改革に取り組むまで

回転寿司を関東1都3県で多店舗展開する「すし銚子丸」。外食産業として顧客の要望に応えることを最優先する中で、現場の長時間労働や休暇の取りにくさが常態化。アルバイトをはじめとする多様な従業員がシフトを組みながら勤務する業界的な特性もあり、同社でも離職率が高かったため、実効性のある働き方改革が急務だった。

改革が難しいとされる外食産業で、働き方を変えながら増益も!
■働き方に関して労働局から呼び出しがかかる

長時間労働や有休取得をはじめとする働き方について、指導を受ける。
当初は管理部が中心となって対応していたが、堀地常務が一念発起。
労基署の担当者に相談しながら、すすめられた資料などを熟読。マネージャーにも共有し、「みんなで意識を変えよう、実行しよう」と呼びかける。

堀地常務:「それまで働き方改革には真っ正面から取り組んでいなかったと思います。まわりの人たちが相次いで辞めるようになり“一体何が起こっているんだ?”このままではいけない”と自分が本気で動くことを決意しました」

■「新生 銚子丸」に必要な改革を宣言し、実行していく

退職者にも「何が足りなかったか、何を変えるべきか」を聞き、やるべきことをすべて棚卸しして書き出し、常務が「これを全部やるよ」と宣言。

堀地常務:「働き方改革を議論する際“売上に直結するのか?”と経営者は考えがちです。でも、従来のやり方でうまくいかないのは明白でしたし、社員の満足度をあげて離職率を下げ、人材も確保し、より良いサービスを提供していくための先行投資として、早急に取り組む必要がありました」

三浦課長:「何をやるにしても、“誰が発言するか”は重要です。大きな舵取りはトップが行い、担当者は実務的に動いていく。常務が自ら宣言し、行動していくことで、現場に伝わる温度感は明らかに変わったと思います」

■2017年から「働き方改革本部」が始動

店舗の営業時間短縮、繁忙期の営業形態変更、繁忙期開けの店舗休業日導入などにより、長時間労働を是正。
一方、営業を統括する本部では依然として「仕事の属人化」「長時間労働」の課題が残っていた。

■「仕方なく・・・」から、「幸せ追求」のネクストステージへ

常務自ら動いたことで、現場も「仕方ない。やるしかない」と動き始める。「休みの確保、手当で不満解消」といった第一ステージから、「健康、趣味の充実、幸せ」という第二ステージへ移行。

堀地常務:「私自身が見本になろうと思い、まずは健康追求の視点でダイエットに挑戦しました。成功したので、みんなにも、と。ライザップさんと企業契約を結んで、店長たちも食事管理など努力してもらいました」

■社員の健康を追求する中で表彰され、弊社小室と出会う

会社を挙げた取り組みが評価され、ライザップから表彰される。
その表彰式で小室淑恵の講演を聞き、翌日電話。

堀地常務:「当社の社長が小室さんの話を聞いて“会ってみたらいいんじゃない?”と。YouTubeで小室さんの動画を片っ端から見て、自分がやりたいことばかりだ!と感銘を受け、翌日すぐに電話してもらいました。」

■2020年1月〜、弊社の「働き方改革コンサルティング」スタート

「鮮度追求のこだわり」と「生産性向上」の両立を達成!
環境整備部、営業企画部、商品部3チームで取り組みを開始。
・5ヶ月間でオンライン化を推進し、会議コストを約360万円削減
・オンラインで「魚のさばき方」を研修するなど教育面の生産性も大いに向上
・業界内で困難とされる魚介類のオンライン買い付けも実現し、
これまでにないスピード感で新鮮な食材を提供できる環境を整備

■9〜10月、常務自ら育児休業を取得

弊社からの男性育休取得促進コンサルティングにより、堀地常務が100時間の育休を取得するなど、経営幹部自らが改革の必要性・有用性を強く発信。 全体の取り組みをスムーズに進める環境整備が進む。

■新しい働き方を推進しながら増益も実現

2021年5月期第2四半期は前年同期比で39.5%の増益

弊社コンサルタントとともに実施した、具体的な取り組みとは?
●「朝メール.com」で時間の使い方を見直し、コミュニケーションも活性化
「朝メール.com」で「業務と時間の見える化」を実践。自身の働き方や時間の使い方に関する課題を振り返りながら、効率化と助け合いを促したことで、本来の主業務にあてる時間が増え、チーム全体で効率的に動けるように。本部だけでなく、社長、常務、店長も使用し、ここでのやり取りを通じて部門や役職の垣根を超えたコミュニケーションが活発化した。

●「カエル会議」の定期的な実施と付箋ワークによる議論
部署ごとに課題を見つけ、具体的な解決策を議論していく「カエル会議」を定期的に開催。弊社の推奨する付箋ワークを取り入れたことで、誰もが平等に意見を出し合い、全員で決める会議へと変貌。
また、一部の店舗にも付箋ワークを導入した結果、パートの方が提案したお土産チェックリストを導入する事で、南船橋店のテイクアウト前年対比が186.4%に。

●さまざまな場面でのオンライン化の推奨と定着
コロナ禍に必須の対応として、研修、会議、勉強会のオンライン化を推進。
会議コストや研修費を大幅に削減できたほか、現場の店長から「シフトが組みやすくなった」「有休が取りやすくなった」といった感想も。

創業以来こだわっている「日本全国の港から直接魚を仕入れる」ことが難しくなる中、オンラインでの買い付けにも成功。漁港であがったばかりの魚を映像で詳細に確認し、その場で金額交渉をして、従来にないスピード感で新鮮な食材を入手できるように。

これまでの歩みを振り返って思うこと、今後のこと

Q:取り組みの中で「難しい」と感じることはありましたか?

堀地常務:やってみればいいだけなので、難しさというのは特に感じません。あえて言うなら、私自身を変えることが一番難しかったかな。自由にやってきましたから(笑)。でも本気で取り組むなら自分もやらないと、ロールモデルになってチャレンジしないとダメだな、と。

最初は朝メールにスケジュールを書くことにも違和感がありましたが、やっているうちに効果が実感できました。社員のコミュニケーションも徐々に盛んになってきて、「あ、これだな」と腑に落ちる。そのうちみんなの入力も増え、一気にトランスフォーメーションが起きました。

付箋ワークについては最初から感銘を受けました。みんなの意見を吸いあげられるし、腹落ちした上で次に進めます。それがあるべき姿だし、うちの会社にフィットする方法だと思いました。店舗でもやってみよう、と私が講師になって広めたくらいです。

三浦課長:これまでにもコンサルティング会社にお願いしたことはありましたが、長期的な効果を実感できることはほぼなくて。でも、WLBのみなさんは本気でうちの会社をよくしていこうという思いが伝わってきますし、何か質問をすれば必ず適切な返事がかえってきて、動くことができます。それに沿って進めていけばいい、と思えました。

事務局としては実務が多々あり、同時に「なぜこれをやるのか」を現場に伝えて盛りあげていく責務もあります。最初は「朝メールに使う時間がもったいない。なんでやる必要があるの?」という反応も多かったですが、「常務がやっていますから、やりましょう」と(笑)。

取っかかりは「あ、常務がやっている。こわいから自分もやろう」でもいいのです(笑)。今では、自分たちで自走できていますから。早い段階で影響力のある常務が自ら実践し、改革の必要性を伝えていくことは本当に重要だと思いました。

Q:とくに印象に残っている出来事や変化はありますか?

堀地常務:付箋ワークでみんなが平等に意見を出せるようになったことは大きな変化でした。今までは、もともと発言力のある人、話が得意な人の意見に賛成してしまっていたのが、付箋なら誰もが発言できます。

本部の3部署もがんばっていましたし、店舗も本気でしたよ。なにしろ、普段は何も言わないパートさんが付箋で意見を書くわけですから。「あ、こんなことを思っていたのだな」というのがようやく伝わってきたり。

たとえばコロナ禍で「おみやげを増やそう」というとき、ある店舗でチェックシートを作って管理することになったのですが、それもパートさんの意見がきっかけでした。ひとりの声が売上まで変えたわけです。

小さな意見をふくらませて、みんなが愚直にやることで数字にも出てきます。イノベーションというのはこういうことから起きるのだなと思いました。

Q:常務は100時間の育児休暇を取られましたが、いかがでしたか?

堀地常務:出産には立ち会いたいと思っていたし子育てにも主体的に臨みたかったので、育休は個人的にもよかったし、今後みんなが休みやすくするための見本にもなれたと思っています。

休んでしまって大丈夫か?と心配する人も多いと思いますが、実際ね、自分が休んだって何の問題もありませんから。「オレがいないと困るだろう」と思っていても、電話すらかかってこない(笑)。自分がいないとダメだと思い込んでいるだけで、しっかりとまわっていくものなんですよ。

とはいえ、WLBのみなさんに出会わなかったら、育休なんて取ってなかったですよ。みなさんがさらっと「お子さん生まれるんですね。育休はいつ取られるんですか?」とおっしゃる。それで初めて、検討し始めたんですから。

三浦課長:小室さんの書籍『男性の育休』を常務からもらって、「法律でもこうなっているのだ、男でも休めるんだな〜」と初めて実感しました。どのくらい休むのが普通なのかも知らなかったのでWLBさんにご相談したら「100時間がひとつの目安」と。あとは常務のスケジュールを見ながら相談しました。

前例ができたので、今後はうちでも男性育休が増えると思います。実際、弊社で一番の繁盛店の店長が6日の育児休暇を取得し、奥様からは感謝の言葉を頂きました。他の店舗の店長やスタッフも取得するようになりましたし、出産予定のある社員には常務が「いつから休むの?奥さんに協力してあげなさいよ」と話したりして、休むのが当然という雰囲気を作っています。

きっちり休みたい人もいれば、常務のように15時以降は休んで時短勤務したいという人もいて、WLBの男性育休取得促進コンサルティングによって、いろいろなパターンがあるということにも気づいたので、柔軟に対応したいですね。

2021年以降も、「一人ひとりが自律して、ワクワクしながら働ける楽しい職場をつくっていきたい」と語ってくださったおふたり。私どもも引きつづき併走させていただき、外食産業全体を牽引するようなすばらしい働き方を実現していきたいと思います。

担当コンサルタント

文/山根かおり

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