Case Study

岩手県/盛岡市

1人の熱意と行動力が市と県を変える原動力に!
自治体事業の重複を避けながら共同で改革を進めた岩手県と盛岡市

「働き方改革とは、“都会”の“大企業”の話だ」と距離を置いて考えてしまう方たちは少なくありません。企業でさえそうなのですから「地方自治体」となると、たとえ改革の必要性が明らかだったとしてもなかなか第一歩を踏み出せずにいるのが現状です。しかし、中央官庁や学校の変革が重要なのと同様に、地方自治体の働き方改革も急務といえます。高齢化と人材不足が深刻化する地域であればあるほど、早急な改革が必須なのです。当HPでは、これまでに「内閣府」「静岡県教育委員会」「岡山県教育委員会」「大阪府四條畷市役所」などの実例を掲載してきました。今回は、岩手県と盛岡市の取り組みをご紹介いたします。

市職員が夜行バスで霞が関の勉強会に自主参加!

岩手県盛岡市の取り組みは、あるひとりの職員の行動力と熱意がきっかけでした。その方は、NHKの番組で2014年に弊社を知り、代表・小室淑恵が開催する「霞が関勉強会」という私塾に申し込みました。名前の通り、霞が関の役所に勤務する方々の働き方改革を考えるための小さな勉強会です。そこに、「霞が関ではないが、同じ公務員として盛岡市でも働き方改革をしたい」という熱意を持って毎月夜行バスで上京し、参加されていました。

そして、働き方改革のために交付金を活用する三重県の事例を参考にされ、「地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)」を活用する企画を上司に提案。また、小室による職員向け講演会をスケジューリングし、市職員・上層部のキーパーソンが出席するよう働きかけたところ、改革の意義に対して組織内での理解が進み、さらには交付金事業への国の財政支援も追い風となって、2015年に事業がスタートしました。

「トップセミナー」と「養成講座」を実施し、大きな成果をあげる

盛岡市が実施したのは、企業経営者に向けたトップセミナー(200名が参加)と、「ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座」の開催です。養成講座は、信幸プロテック株式会社の専務をはじめ、市内の企業経営者や人事担当者、のべ60名以上が受講しました。

注目したいのは、弊社が本格的なコンサルティングに入らずとも、講座を受講してノウハウを持ち帰った各企業がさまざまな取り組みを実行し、成果を上げていることです。中でも、社長や専務などの経営陣が「ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座」を受けた企業では高い成果が出ています。

たとえば、
●残業時間を年間で6割減少させながら、利益率を5%上昇させた「株式会社北日本朝日航洋」(従業員89名、建設関連技術サービス業)
●残業時間を62%減少させながら、対前年比で売上48%アップ、利益が赤字から黒字に転換した「株式会社悳とくPCM」(従業員5名、建設コンサルタント業)
などです。

養成講座の1日目、ある中小企業の社長は取り組みに対して非常に懐疑的でした。ところがその日の宿題として「働き方改革の必要性を社員に話し、アンケートをもらってくる」という課題を実行したところ、従業員から「待ち望んでいた改革です!」「ようやく取り組んでくださるんですね!」といった歓迎の声が上がったそうです。

中小企業の社長と言えば、大きな商談時に同席して契約をまとめる「トップ営業」の役割も求められます。しかしこの方は岩手の方言を話すことができなかったため、営業に同席しても会話の内容すら分からない状態。「自分が会社に貢献できることは何だろう」と悩んだ末に、この講座を受講されたのです。

そして社員の「待ってました!」の声を受け、「自分が担うべき役割はこれだ」と働き方改革を決意しました。この企業も、残業削減と利益率の改善を同時に実現されています。

市と県が連携・協力し、働き方改革等推進事業を実施

岩手県では、政府の「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」の閣議決定において、自治体における働き方改革の方向性が示されたことを受け、該当する事業の検討をしていました。そこで、先行して事業を実施していた盛岡市と連携・協力し、事業の展開を進めることになりました。

まず国の交付金を活用して、2016年度から「いわて働き方改革等推進事業」を実施。若者の就職支援をサポートする「ジョブカフェいわて」と協力し、「いわて働き方改革推進運動」を展開しています。

2016年10月には岩手県と盛岡市との共催で「いわて働き方改革推進セミナー」を開催。2017年1月には盛岡市の「ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座」と岩手県の「働き方改革見直しコンサルタント養成講座」を共同で開催し、県は北上市の会場でもサテライト形式で中継しながら実施するなど、県と市が協力して事業を進めていきました。

2017年度には、取り組みを全県域に拡大させるべく、県はさらに予算を増額し、「いわて働き方改革サポートデスク」の設置や、「働き方改革モデル企業創出事業(コンサルティングの実施)」など、県内企業の働き方改革を後押ししています。

岩手県・盛岡市の成功ポイント3
  • 上層部を動かし、事業をスタートさせた担当者の熱意
  • 自治体事業の重複を省き、相乗効果を生み出す県と市の強力な連携
  • 働き方改革を通じて地方創生を推進するための交付金を最大限に活用

※こちらの事例は、弊社代表 小室淑恵の著書『働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社』からまとめ直したものです。


担当コンサルタント

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